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    もろごりら

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    もろごりら

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    全然書けてないです。チマチマ進めます。
    左馬刻が両目右腕右脚を失った状態からスタートしますので身体欠損注意。
    何でも許せる人向け。

    #サマイチ
    flathead

    左馬刻が目を覚ますとそこは真っ暗だった。真夜中に目覚めちまったかとも思ったが、何かがいつもと違っている。ここが自分の部屋ならば例え真夜中であっても窓は南向きにある為カーテンの隙間から月明かりがうっすら差し込んでいるはずだ。しかし今は何も見えない。本当の暗闇だった。

    なら、ここはどこだ?

    耳を澄ましてみる。ポツポツと雨の音が聞こえる。あぁ、だから月の光が届いていないのか。
    他の音も探る。部屋から遠い場所で、誰かの足音が聞こえた気がした。
    周りの匂いを嗅いでみた。薬品と血が混ざったような匂い。これは嗅ぎ慣れた匂いだ。それにこの部屋の空気…。もしやと思い枕に鼻を埋める。
    やっぱり。
    枕からは自分の匂いがした。良かった。てことはここは俺の家の俺の部屋か。ならばベッドサイドランプが右側にあるはず。それをつければこの気色悪ぃ暗闇もなくなるは、ずっ…
    押せない。スイッチを押すために伸ばした右腕は何にも触れないまま空を切った。おかしい。動かした感覚がいつもと違う。右腕の存在は感じるが、実態を感じない。失っ…?
    いやいやまさか。落ち着け。枕と部屋の匂いで自室だと勘違いしたが、ここが全く知らない場所の可能性だって十分有り得る。腕の感覚は何かの薬を打ち込まれたのかもしんねぇ。
    遠くに感じた足音は、俺がここから出ないようにするための見張りかも。
    となると、迂闊に声を発さなくてよかった。起きているとバレると色々面倒なことになりかねない。
    とりあえず右腕の無事を確認しねぇと。
    麻酔か何か打ち込まれたようで、右腕の感覚は鈍かった。
    ゆっくりと、感覚の正常な左手を右腕の位置に近づける。
    「……」
    一気に左馬刻に緊張が走った。
    左手は、右腕があるべき位置を通り越して、右腰を触った。腕が、なくなっている。どこからどこまで……?
    右首から肩をなぞって、二の腕、肘……。明らかに左腕の肘よりも高い位置で腕は途切れている。

    マジか。あー…マジかぁ…。
    左馬刻は大きく深呼吸して、現状把握に努めた。
    冷静になれ。ショックを受けている場合ではない。今この場所が安全かどうかを先に確かめろ。

    いや待てよ、じゃあさっき腕が無くて届かなかった右側にランプがあれば俺の部屋ってことだよな。

    左馬刻は左腕だけの力で起き上がり左手でランプのスイッチを押そうと右側に体を捻った。
    が、何故かバランスが取れなくてベッドから落ちた。受け身が取れなかったためモロに顔面を強打し、ドスンと派手な音を立ててしまう。
    音に気づいた足音がバタバタと急いで近づいて来る。
    ヤベッ、建物内にいるやつが敵か味方かわかんねぇのに…!早く立たねぇと!
    うつ伏せ状態から起き上がろうと左腕と右脚に力を込めようとして───

    「は?」

    起き上がれない。右側が重たくてバランスが取れなかった。というか、右腕だけでなく右脚の感覚もなくなっている。
    俺の身体今どうなってんの?もしかしてけっこうヤバい?
    混乱と動揺から思考が上手く回らない。頭のテッペンから爪先まで冷たくなって自分が一本の冷たい鉄の棒になった心地がした。

    バンッ!!

    誰かが勢いよく部屋に入って来た。
    敵か?味方か?わからない。何もわからない!もしかして右腕もこいつに切られたのか?逃げねぇと、あ、脚、動かない。逃げられない!
    ひ、足音が近づいて来る…やめろ…やめろ…

    「やめろ!来るな!!うぁぁぁ!!」
    「左馬刻!大丈夫か!?」
    「!!」

    この声は知っている。聞き間違えるはずがねぇ。うつ伏せ状態から動けなかった左馬刻は声の主に抱きかかえられ、優しくベッドに寝かされた。
    混乱状態だった左馬刻を落ち着かせようと、お腹を優しくトン、トン、と一定のリズムであやすように叩く。

    「一郎…」

    左馬刻は真っ暗で孤独の中、一郎が来てくれたことに安堵し、しかしいまいち状況が飲み込めないので不安げな声を出した。
    一郎は何か言おうとし、やっぱりやめて普通の朝の挨拶みたいなことを返した。

    「……やっと起きたな。おはよう」
    「はよ。え?え?」
    「落ち着け」
    「なぁ、ここどこだ?」
    「左馬刻の部屋」
    「あ、やっぱり?じゃあちょっと部屋の電気つけてくれねぇか。俺右腕失っちまったみたいでよ、思うように身体動かせねぇんだわ」
    「……左馬刻、今な、お昼の12時なんだわ」
    「うん。……うん?」

    俺の部屋の窓は南向きなわけで、例え雨が降っていても昼間の12時に真っ暗になることなんて有り得ないわけで。
    つまり…?

    「お前、俺に目隠しつけてる?」
    「……いや」

    一郎がぽんぽんをトントンしている手を止めさせて、左馬刻は左手をそっと自身の目元に持っていきペタペタと触った。コツンと自分のものではない硬い感触。義眼が埋め込まれていた。

    「……俺さ、右腕失ってるわけよ」
    「うん」
    「右脚の感覚もない」
    「…うん」
    「目の前は真っ暗」
    「……うん」

    一郎は必要以上の言葉を返さなかった。返せなかった。左馬刻の唇が震えていたからだ。

    「なぁ、俺どれくらい眠っていた?俺の身体はどうなってる?詳しく教えてくんね?」
    「……」

    声も、震えて上擦っている。きっともう自分でもどうなっているのか気づいている。だが確証がないから、見えていないから一郎に聞くのだ。まだ微かな希望を持って、一郎に縋っているのだ。俺の身体は思っているより無事だよな?と。
    一郎は正直に答えていいものか悩み、静かに左馬刻の頭を優しく撫でた。

    「…腹減っただろ。何か食べるか」
    「言え!!」

    今の左馬刻には話すべきではない。一郎はそう判断し誤魔化そうとしたが、左馬刻の声が、表情があまりに悲痛だったので、覚悟を決めるしかなかった。
    深く息を吸って吐く。

    「…気づいている通り、右腕は二の腕の半分くらいから先がない。右脚は膝上から先が。目は、両目とも失明した。そのままだと腐るから切除し、今は義眼が入れられている」

    一郎は左馬刻の顔を見れなかった。次に紡ぐ言葉が見つからなかった。
    長い沈黙。先に言葉を発したのは左馬刻だった。

    「…おれ、もう一生お前の顔見れねぇの?」
    「……」
    「両腕で抱きしめることも…?」
    「……」
    「一人で立つこともままならねぇ」
    「……俺が支える」
    「お前がずっと傍にいる保証なんてない」
    「そんなことない」
    「ある。あるんだよ。お前は離れていく」
    「なんっ」

    反論しようと勢いよく顔を上げて、ハッとした。左馬刻は一郎に顔を背けていたが、声も肩も震えていた。あの左馬刻が、泣いている。

    「俺の言葉はそんなに信用ねぇか…?」
    「違ぇ。お前を信じてねぇわけじゃない」
    「…俺に左馬刻を支えさせてくれ」
    「無理だ」

    左馬刻にとって、自分の価値は強さだと自負していた。一郎に憧れられるような強くて格好良い碧棺左馬刻はもういない。一郎に支えてもらわないと生きていけない情けない自分の姿が、真っ暗な瞼裏に鮮明に浮かんだ。
    今の俺は、一郎にとってお荷物以外の何者でもない。一郎には他に守らなければならないものが多い。きっとこの関係は長く続かない。
    なら、決断は早い方がいい。決心が鈍る前に。

    「一郎、別れてくれ」
    「は?なんで!嫌だ!!」

    左馬刻はこれまで見せたことのない優しい笑顔で「お願いだから、な?」と念押しをした。

    「な、んでこういう時にそんな顔するんだよ!そんな言い聞かせるみたいな言い方するんだよ!お前が、俺に簡単にお願いとかするなよ…」
    「……別れよう」
    「お前、今どんな顔をしてるかわかるか?分かんねぇよなぁ。見えないもんな」
    「……」
    「笑顔作れてる気でいんだろうが、顔が引きつってんだよ。別れたくないって言ってるようなもんだぞ」
    「んなわけ、イッ!」

    一郎は左馬刻の左腕と左脚に自分の右手と右膝を乗せ、思いっきり体重をかけた。180㎝超え男性の体重が二点に集中しているのだ。普段でも痛いのに、視力が奪われている分左馬刻の感覚は研ぎ澄まされていた。だから相当めちゃくちゃ痛い。逆に涙が引っ込んだ。

    「イダダダダ!痛い痛い!無理!」
    「はは、痛いだろ?なんで痛いかわかるか?」
    「お前が上に乗ってっからだろうが!早くどけ!」

    体重の乗せられていない右腕で普段通り一郎を殴ろうとした。サッと空気を撫でただけで、一郎の身体には掠めもしなかった。
    左側を押さえられただけで俺はこんなに無力になっちまうのか。わかっていたことだが、現実を思い知る。

    「もうわかったから離してくれ。俺が弱いからこんな痛てぇ目にあってんだろ?普段ならすぐ返り討ちにできてる」
    「は、はは、ははははは」
    「んだよ。そんなに可笑しいか」
    「いや、なんでもない。腹減ったな。何か食おうぜ」

    一郎は腕と脚をゆっくり左馬刻の上からマットレスの上にずらし、先程と打って変わって割れ物を扱うような触れ方で左馬刻に体重をかけないようにそっと抱きしめた。

    「誤魔化すな。離れろ。俺はお前と」
    「別れねえよ。お前が本心から俺と別れたいって思うまでは俺から離れる気はねぇ」
    「俺は本心から別れたいと思ってる」
    「ヘタクソ」
    「あ?」

    一郎はおもむろに左馬刻の左手をグーの形に握り込ませ、殴りやすいように自分の頬に触れさせた。ちょうど、一郎が左馬刻の顔を覗き込んでいるような体勢になった。

    「本当に別れたいなら、本気で殴れ」
    「…おう」

    左馬刻は本気で殴るつもりだった。言葉で言っても聞かないし、一発殴って解決するならそっちの方が性に合っている。
    勢いよく腕を引く。

    ぽたっ


    頬に水が落ちてきた感触。
    あー…。見えなくてもこういうのってわかるもんなんだな。

    「雨漏り?ってボケ言った方がいいか?」
    「いやいい。気にせず殴ってくれ」
    「そうか。じゃあ」

    グッと腕を引き、力を拳に込めて、やめた。掌を一郎の目にゆっくり伸ばす。
    ぽたっぽたたっ、と連続して水が掌に集まる。

    「……お前は別れ話くらいで泣くようなやつじゃねぇ。何に泣いてる」
    「お前だってさっき泣いてたじゃねえか」
    「俺は身体の半分と視力を一気に失ってんだ。泣きたくもなる」
    「俺は左馬刻を失うかもしれなかったんだ。生きていてくれて、嬉し涙くらい出る」
    「え」
    「お前、記憶はどこまである。いや、どこからない?」
    「え」






    左馬刻と一郎は付き合って四年目で、互いの家に行き来する生活にも慣れてきていた。
    お互い何があるかわからない商売なので同棲はしていない。
    二人は、和解から四年経っても独裁政治に苦しめられているこの世界を変えるべく、革命を計画していた。とはいえまだ初期の段階で仲間集めなどにも手を付けていない状態だった。
    だったのだが……。
    目の前には震える手でノコギリを持ち、息をふーっふーっと荒くした一郎が立っている。
    左馬刻は手術台の上で大の字に身体を固定され、手足をベルトできつく縛られていた。
    力技で解こうと暴れるが、革製の頑丈なベルトはギュイギュイと特有の音を鳴らすだけで一切緩みもしない。それでも引きちぎらんと腕に力を籠めれば、革が食い込んで血流を止める。段々手の色が赤から青になり感覚が失われる。それでもなお引き続ければ一郎が止めに入った。

    「おい一郎、突っ立ってないでこの拘束解けや。てか何してんだてめえ」
    「ごめん、左馬刻。ごめんな、後でいくらでも俺を憎んでいいから、今は、今は耐えてくれ」

    一郎がなにを言っているのか意味がわからなかった。
    しかし左馬刻の頭上に設置されたモニターには東方天乙統女と勘解由小路無花果が映っており、どうやらこちらの様子を監視しているらしいことと、一郎が中王区の命令で左馬刻を害しようとしていることは明らかだった。
    一郎の顔色は蒼白で変な汗を全身から吹き出してガタガタ震えている。精神攻撃を生業といている一郎は当然強靭な精神力を持っているはずなのだが、今の一郎の怯え方は尋常ではない。

    「一郎、中王区に俺と何を天秤にかけられた?」
    「……この国すべて」
    「は?」
    「悪いのは全部俺だ。俺がお前を巻き込んでしまった」

    全てを背負おうとした一郎に苛立ちを覚えた。
    わけわかんねえこと言ってんじゃねえぞと怒鳴ろうとしたところで、モニターから勘解由小路無花果の音声が発せられた。

    「グダグダとお喋りの時間はここまでだ。山田一郎、伝えた通りに早くやれ」

    その言葉で一郎の肩はビクリと跳ねた。と同時に部屋の外から白衣を着た女たちが入って来て左馬刻に猿轡と何かの薬を注射した。そのうちの一人が一郎にぼそぼそと耳打ちしてから何かを手渡した。
    女たちは作業を終えると即座に退出し、また一郎と二人きりにされる。
    固定された体に猿轡、相対する人物の手にはノコギリ。これから何をされるのかだいたいの予想は付くが、打ち込まれた薬品は身体のどこにも痺れをもたらさなかった。
    麻酔ではない……?じゃあ何を投薬されたんだ。
    人間にとって一番の恐怖は「わからない」ことだ。左馬刻は今何もかもがわからない状態にあった。一郎の立場も、自分の立場も、これからの自分と一郎の関係がどうなってしまうのかも。
    視線を一郎のほうにやると、下唇を血が出るほど噛んで拳は強く握りこまれていた。左馬刻に見られていると気づくと、腕で目を拭う仕草をしたので泣いていたのかもしれない。
    左馬刻は一郎の涙を見たのはこれで二回目だった。一回目は一郎とセックスをしたとき。
    互いの身体を繋いだ状態で、もう無理いっぱいいっぱいだと全身を震わせる一郎にキスをしながら腰を揺らすと、もはや声になっていない声をあげて絶頂しながら目尻から雫をこぼした。一郎は滅多に泣かないので、この生理的に出た涙以外で一郎が泣いているところを見たのは今回が初めてだった。
    完全に目元の水分を拭って、一郎が左馬刻にゆっくりと近づいた。途中、作業台にノコギリを置き、先程女に手渡された何かだけを持って手術台の上に膝をかけた。左馬刻の身体を踏まないように台の上に膝立ち、左馬刻の真正面に自分の顔を持っていく。
    静かに見つめ合った後、一郎は先程拭ったはずの水分を左馬刻の頬にぽた、ぽた、と落とした。ああだめだな、拭っても拭っても溢れてしまう、そう言いながら一郎は不細工な笑顔を作って左馬刻にお願いがある、と告げた。

    「俺は今から左馬刻を失明させなきゃなんねえ。だから、最後に俺の目の色を焼き付けてくれないか。そして俺の声を絶対に忘れないでほしい」

    なんて傲慢な願いなのだろう。失明させる宣言をした相手の目を、声を忘れるななどと。
    しかしずっと共に過ごしている左馬刻に対するお願いがそんなちっぽけで、可笑しくて、ふっと猿轡の隙間から息を漏らした。
    傷つけることで俺に怨まれることを覚悟しているからきっとそれ以上を望まないのだ。せめて一郎を特徴づけるものを覚えていてほしいという小さな願いに、左馬刻は目を細めて頷いた。
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    もろごりら

    MAIKING何も考えずに書いて気がついたら飽きてた。いっつもそう。私っていっつもそう。一郎がアホになった。
    弟たちのために仕事はきちんとこなすし、コミュニケーション能力も高いので一見しっかりしているように見えたが、生活力がアホになったのである。お察しの通り違法マイクの影響で。
    生活力がアホとは、例えば、人間は食事を取らないと栄養失調で倒れてしまうのはご存知だろう。知らなくても、腹が減れば何でもいいから食べたいとなるのが生物の本能だ。しかし一郎は夢中になると普通に食事を忘れ、そして倒れることを何度か繰り返していた。
    どこぞのリーマンみたいに強制的に社畜をやらされているわけでもなく、本当にただただ食事を忘れる時があるのだ。
    ちなみに、弟のどちらかが一緒の時はそんなことは起きない。三郎はそれこそしっかりしているので仕事のスケジュールを把握し、ちょうど良い隙間時間に「お昼にしましょう」と声をかけるし、二郎は本能が素直なのでお昼時には腹の虫が大合唱して一郎に空腹を訴えかけるからだ。
    だが学校のある平日は、弟たちは長男の仕事を手伝えない。二人は過去に「ちゃんとお昼ご飯食べてね」だとか、泊まりの仕事の時は「昼食と夕食を食べたかどうか、連絡してください」などの声かけをしたのだが、何度も 3188

    もろごりら

    MAIKINGサマイチ。おセックス描写練習中。少し肌寒いが、爽やかな風が吹き込む4月の朝。
    昨夜の営みから先に目が覚めた左馬刻は、一郎の寝顔を眺めていた。何をするでもなく、ただ、目に焼き付けるようにじぃっと見つめている。
    人の視線を感じてうっすらと意識を浮上させた一郎は、瞼を開けると左馬刻と目が合った。しばらく見つめ合っていたが、左馬刻がいつになく熱視線を向けてくることにむず痒くなり目を逸らしてしまった。
    なんか、今日の左馬刻甘いな、と思って布団に潜ろうとすると、それを阻止するように名前が呼ばれる。

    「一郎」

    とても、甘い声だった。セックスの時ですら聞いた事のない声。どうせなら昨夜の行為中にその声で呼んでほしかったな、なんて声と同じく甘ったれたことを考えた。
    左馬刻は、一郎の名前を呼んだあと何も言葉を続けなかった。呼んだだけかと思ったが、顔を上げると何かを考えるような、逡巡しているような顔と目が合った。

    「どうした?」

    何か悩んでいるのだろうか。相談に乗れそうなら力になってやろうと、言葉の先を促すと先程の甘い声とは反対に苦い言葉が発せられた。

    「別れてくれ」
    「……は?」

    一郎は一気に身体から温度が抜けていく感覚がした 1921

    もろごりら

    CAN’T MAKE独歩が母校の中学校の入学式の挨拶に呼ばれる話。
    やまなし
    おちなし
    いみなし

    続きは書けない。何をしようとしたのか覚えていない。
    桜の木

    温かい陽射しが降り注いでいる。道は新学期に胸を躍らせる新中学生の声で溢れていた。
    「眩しい…」
    観音坂独歩は、若いチルドレンのエネルギッシュさにすでに参っていた。
    「なんで俺がこんなことを…」
    独歩は母校の中学から入学式の祝辞を頼まれた。当時の俺を覚えてるやつなんて居ないくせに。シンジュク代表になってディビジョンバトルで優勝した途端これである。馬鹿馬鹿しい。校長からは「これから明るく楽しい学生生活が待っている学生たちに先輩としてエールを贈ってやってください」なんて言われたが、俺が『明るく楽しい学生生活』を送ったように見えるか?もっと適任者がいるだろ。一二三とか一二三とか一二三とか…。いや、あいつも真に『明るく楽しい学生生活』は送れてなかったな。女性恐怖症が発症したのってこのぐらいの時期だったか。今はなんとかコントロールが出来ているが、ここに来てフラッシュバックしてしまったら…ジャケットが効かなくなったらあいつの努力が水の泡だ。やはり俺がやるしかないのか…。
    独歩はたいしてこの学校が好きではなかった。学区として定められているから通っていたのであって、スクールモットーには 1080

    もろごりら

    PROGRESS全然書けてないです。チマチマ進めます。
    左馬刻が両目右腕右脚を失った状態からスタートしますので身体欠損注意。
    何でも許せる人向け。
    左馬刻が目を覚ますとそこは真っ暗だった。真夜中に目覚めちまったかとも思ったが、何かがいつもと違っている。ここが自分の部屋ならば例え真夜中であっても窓は南向きにある為カーテンの隙間から月明かりがうっすら差し込んでいるはずだ。しかし今は何も見えない。本当の暗闇だった。

    なら、ここはどこだ?

    耳を澄ましてみる。ポツポツと雨の音が聞こえる。あぁ、だから月の光が届いていないのか。
    他の音も探る。部屋から遠い場所で、誰かの足音が聞こえた気がした。
    周りの匂いを嗅いでみた。薬品と血が混ざったような匂い。これは嗅ぎ慣れた匂いだ。それにこの部屋の空気…。もしやと思い枕に鼻を埋める。
    やっぱり。
    枕からは自分の匂いがした。良かった。てことはここは俺の家の俺の部屋か。ならばベッドサイドランプが右側にあるはず。それをつければこの気色悪ぃ暗闇もなくなるは、ずっ…
    押せない。スイッチを押すために伸ばした右腕は何にも触れないまま空を切った。おかしい。動かした感覚がいつもと違う。右腕の存在は感じるが、実態を感じない。失っ…?
    いやいやまさか。落ち着け。枕と部屋の匂いで自室だと勘違いしたが、ここが全く知らない場 6126

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    左馬刻が両目右腕右脚を失った状態からスタートしますので身体欠損注意。
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    左馬刻が目を覚ますとそこは真っ暗だった。真夜中に目覚めちまったかとも思ったが、何かがいつもと違っている。ここが自分の部屋ならば例え真夜中であっても窓は南向きにある為カーテンの隙間から月明かりがうっすら差し込んでいるはずだ。しかし今は何も見えない。本当の暗闇だった。

    なら、ここはどこだ?

    耳を澄ましてみる。ポツポツと雨の音が聞こえる。あぁ、だから月の光が届いていないのか。
    他の音も探る。部屋から遠い場所で、誰かの足音が聞こえた気がした。
    周りの匂いを嗅いでみた。薬品と血が混ざったような匂い。これは嗅ぎ慣れた匂いだ。それにこの部屋の空気…。もしやと思い枕に鼻を埋める。
    やっぱり。
    枕からは自分の匂いがした。良かった。てことはここは俺の家の俺の部屋か。ならばベッドサイドランプが右側にあるはず。それをつければこの気色悪ぃ暗闇もなくなるは、ずっ…
    押せない。スイッチを押すために伸ばした右腕は何にも触れないまま空を切った。おかしい。動かした感覚がいつもと違う。右腕の存在は感じるが、実態を感じない。失っ…?
    いやいやまさか。落ち着け。枕と部屋の匂いで自室だと勘違いしたが、ここが全く知らない場 6126

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