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    subaru_no_iine

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    subaru_no_iine

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    以ぐだ♀
    ・現パロ・転生なし・坂本探偵事務所
    ・ゆるふわ土佐弁
    ・ぐだ子は立香
    ・元ストーカーぐだと綺麗な水で育った以
    ・続きものの1つだけど単体でも読めるはず

    前提条件を気にせず読めるラブラブ以ぐだです。少しだけ性行為匂わせ注意。

    #FGO
    #以ぐだ♀

    あまくあまく、あまいプリン「以蔵さんを自分のごはんで作り上げたいわたしですが」
    「誰に向こうて話しゆうがか」
     立香と以蔵は以蔵の家のキッチンに立っている。ペアルックのエプロンは、それぞれオレンジ色と黒だ。
     シンク横の作業台には卵が二つと牛乳パック、砂糖の袋に加えてボウルが一つとマグカップ二つが載っている。
    「お店のスイーツもとってもおいしいけど、そういつもは買えないからね」
    「それはげにまっことその通りじゃ」
    「経済的な問題とわたしの欲求をwin-winにするために考えた結果が、これから作るプリンなのです!」
    「ほにほに」
     楽しそうな立香を見ると以蔵も嬉しい。
    「わしが手伝う意味はなさそうな気がするけんどの」
    「でもわたし、以蔵さんと作りたいの」
     立香はきらきらした笑顔で以蔵を見上げる。この顔に弱い自分を自覚している。臭い野菜を切るとか、極端に心理的負荷がかかることでなければ手伝ってやりたい。
    うても、うちにはオーブンだのなんだの洒落たもんはないがぞ。おまんも知っちゅうろう」
     この家にあるのは、グリルつき二口ガスコンロと電子レンジくらいのものだ。
     米を炊いて缶詰を開ける程度の調理しかしない以蔵も、お菓子作りには多種多様な器具や設備を使うのは知っている。
     しかし、
    「大丈夫、以蔵さんちでもできるレシピ調べてきたから!」
     自信満々の立香の言葉を、以蔵は信じることにした。この少女がいつも以蔵のことを考え、より以蔵が幸せになるようにと努めているのをわかっているからだ。
    「じゃぁ、聞こうかの」
     立香はマグカップを引き寄せた。
    「レンジでできるおいしいプリン! 早速カラメルソースから作るね」
     その華奢な手には、見慣れないものがある。計量スプーンも計量カップも泡立て器も、この家では見たことがない。
    「必要なものは持ってきました」
     なるほど。さすが、家主よりもこの家に詳しいだけある。
     小さじ一杯の水と、大さじ一杯の砂糖を二つのマグカップに入れ、電子レンジにかける。
     その間に、ボウルに卵二つを割り入れ、牛乳と砂糖を注ぐ。
     一分経って、レンジが軽やかな音を立った。
    「そしたら、水を加えてかき混ぜるの……あちっ」
     マグカップの持ち手からとっさに手を引っ込めた立香に代わって、以蔵が両手でカップを取り出し、作業台に置く。
    「あっ、ありがとう……」
    「何のためにわしがおる。危なっかしいことはわしがしちゃる」
    「頼りになる……」
     うっとりする立香だったが、すぐに、
    「ソースが冷めちゃいけないから」
     と、水道の流水から小さじに水を取った。
    「急に冷水入れるとはねちゃうんだって」
    「わしがやっちゃる。寄越しぃ」
     立香から小さじを受け取り、熱々のマグカップに水を足す。ぱちぱちと音を立て、カラメルソースがはねた。以蔵の手にも飛沫がかかり、思わず顔をしかめる
    「熱っ」
    「いいよ、わたしがやる」
    「わしも引っ込みつかんくなっちゅうがよ」
     痛みを少しは我慢できるようになったのも、立香と逢って変わったところだ。スプーンで焦げ色のついた液体を混ぜる。
    「いい感じになってきた。次は卵液を作るんだけど」
    「これか」
     以蔵は作業台の上のボウルを見た。
    「ハンドミキサーがあればよかったんだけど、さすがにうちにもなくて」
    「わしが混ぜた方が早いろう」
    「あんまり何もかも任せっぱなしっていうのも」
    「おまんはおまんのもんを好きに使えばえい」
    「えーとそれは……」
     一拍遅れて、立香の頬が染まる。
    「そういう、モノ扱いはいかがなものかと」
    「おまんもわしんもんやき、お互い様じゃ」
     視線を泳がせる立香に、触れるだけのキスをする。
     泡立て器の先で黄身を割り、卵と牛乳が馴染むようにと速度を上げて回す。こういうことは、腕力のある男がやった方が後々効率もいい。
    「どうじゃ」
     中身がすっかり混ぜ合わされたボウルを見せる。
    「いい感じだと思う。さないとダマになって食感が悪くなっちゃうんだけど……」
    「濾す」
     あまり日常生活では意識しない手法だ。泥水を大きな石から砂へ順々に通して、ある程度綺麗な水にする手順を思い浮かべる。
    「急須あるじゃない。あれの茶濾しならなんとかなりそう」
     立香は洗いかごに上がっていた茶濾しの短い柄を持ち、
    「以蔵さん、ボウル持ってくれる?」
     言われるままに、立香が構えた茶濾しの上でボウルを傾ける。ほどよく冷めたカラメルに重なって、茶濾しを経由したきめ細かい卵液がぽたぽたとカップに落ちる。なるほど、濾すとはこういうことか。
     二つのマグカップの片方に軽くラップをかけ、レンジに入れて加熱する。
     くるくる回るカップをドア越しに見ながら、
    「うん、たぶんうまくいく。たぶん」
    「自信ないのう」
    「まだ一回しか試してないし」
    「失敗したかえ」
    「成功したよ。でも、以蔵さんにめったなものを食べさせるわけにはいかないじゃない」
    「腹に入ればみんな一緒じゃ」
     以蔵の言葉に、立香は頬を膨らませる。
    「それはそれで作りがいがない」
    「ほがな意味やない、プレッシャーかけたらおまんが気負う思うて」
    「わたしは以蔵さんにおいしいもの食べてほしいの!」
     以蔵を見上げてくる金色の瞳の健気さに、我慢できず腕を引く。柔らかい身体からは砂糖とミルクの匂いがした。
    「えいのう」
     扱いを間違えれば折れてしまいそうでいながら、以蔵を包み込んでくれる温度もある身体。頬に髪をすりつけ、繊細な貝殻のような耳に息を吐く。
    「まっことえい」
     赤く染まる耳を舌先でつついてやると、立香は甘く鳴いた。
    「やぁっ……」
    「厭ながか?」
     腕の力を強めたところで、空気の読めないレンジが音を立てた。
    「ほらぁっ……」
     立香は以蔵の腕をすり抜け、レンジのドアを開ける。
    「こっちもレンジにかけなきゃいけないんだし! ……あつつっ」
     またも持ち手を掴み損ねる立香の横から手を出し、カップを取り出す。
    「やき、ほがなことはわしがやるうたろう」
    「これは……まぁ、照れ隠しというやつなので……」
     もう一つのカップをレンジにかけてから、立香は再び以蔵に向き直った。赤い目尻が可愛い。
    「わしに抱かれとうない言うわけやないろう?」
     以蔵が首を傾げて問いかけてやれば、
    「あの……ね」
     含みのある表情だ。何かある。
    「なんじゃ」
    「プリン、あったかいままじゃ食べられないでしょ」
     確かに、立香よりも五年以上長生きしている以蔵も、温かいプリンは食べたことがない。
    「粗熱を取ってから冷蔵庫で一時間くらい冷やす必要があるんだけど……」
    「ほぉ」
    「その、プリン冷えるまで、時間あるよね?」
     立香も、以蔵と同じ角度に首を傾げる。
     可愛すぎるお誘いに、めまいがしそうだ。抱きしめざるを得ない。立香の身体も熱い。
    「プリンの味がわからのうなるかもじゃ」
    「そんなことないよ」
    「まぁ、おまんとわしじゃ味も違うき」
     舌と舌を絡み合わせれば、やっぱり甘い。
    「以蔵さんは煙草の味……」
     そうつぶやく立香の唇を、改めて奪った。


     一時間以上冷やしてしまったプリンを、冷蔵庫から取り出す。洗いかごに立てかけたプラスティックスプーンを二つ取り出してトレイに載せ、ボクサーショーツ一丁の以蔵は上機嫌に給仕する。
     寝室のドアを開けると、しどけなく寝乱れた立香がベッドから身を起こして以蔵を見た。シーツで胸を隠しているが、白い肩には以蔵の独占欲がいくつも刻まれている。
    「ありがと」
    「なんちゃぁない」
     この寝室にはサイドテーブルなどはない。トレイをマットレスに置いて、マグカップのひとつをスプーンと一緒に立香へ差し出した。
     カップを合わせて、ひと口頬張る。
    「おまんが作るもんはまっことうまいけんど……おまんには負ける。おまんはどうじゃ」
    「うん……以蔵さんの後に食べれば、甘さが際立つ。もちろん、以蔵さんの方がおいしいからね?」
    「食い比べるがは大事じゃな。ひと口寄越し」
     立香の手首を握り、プリンの載ったスプーンを以蔵の口に運ばせる。
    「中身同じだよ?」
    「おまんが食わせてくれるがに意味があるがじゃ」
     スプーンを舐めた勢いで、慎ましく彩られた爪先にも指を這わせた。
    「えっち」
    「えっちって感じる方がえっちながじゃ」
    「屁理屈……んっ……」
     立香は肩を震わせた。
     せっかく燃やし尽くしたはずの欲望に、再び熱が点る。
    「責任取りや」
     手首の裏の血管をたどりながら、プリンをまた冷蔵庫にしまうべきかと考える。
     余裕のなくなる前に片づけた方がよさそうだとわかっているのに、柔肌から舌を離せない。
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    subaru_no_iine

    INFO昨日スペースで話に上った、推し香水を発注した際の依頼を残しておいたので見ていただくて流します。書生さん×お嬢さんの、6年間のすれ違いを香りにしていただけてハッピーでした。香りの解説も最高なんですよ…見て…
    推し香水発注メモ明治後期~大正~昭和初期をモデルにしたゆるふわデモクラシー時代

    男性:2月生まれ。女性の家(裕福な商家)で貧乏書生を2年務める→大学を卒業、官僚に。書生時代から女性を好きだったが、身分差によりアタックを諦めていた。政略結婚させられる女性の結婚式前夜に一度だけ結ばれた。新郎へのちょっとした意趣返しのつもりで女性の結婚式を台無しにしたことを悔いていた。6年間罪の意識に苛まれたまま現実逃避で勉学に励み、就職が決まったので女性へプロポーズ。

    女性:生年月日不明。高嶺の花のお嬢さん。勉強が好きだが、『女に学はいらない』と女学校を辞めさせられ、政略結婚することに。密かに恋い慕っていた男性に夜這いをかけて純潔を捧げるが、男性の自分への好意に気づき、未練を抱かせてしまったことをずっと悔いていた。結婚式で新郎とその元恋人に逃げられて笑いものになり、縁談が途絶えて嫁き遅れる。男性と結ばれることを諦めて隠棲しようと決めていた。しかし6年後、大学を卒業した男性にプロポーズされる。
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    subaru_no_iine

    PROGRESS以ぐだ♀ オメガバース β×α
    ・ゆるふわ土佐弁
    ・ご都合主義
    ・メリバの予定
    クリフハンガー的な場所まで公開して残りを本に収録いたします。
    今後、反倫理的・微グロ・死ネタが含まれますので、どうぞお気をつけてご覧ください。以ぐだちゃんはハッピーです。たぶん。
    わたしのすてきな夢 9 立香と逢うことを考えに入れなくても、昼夜逆転していいことは何もない。
     編集者やクライアントは昼間仕事をしているのだから、即座に連絡を取るなら合わせた方がいい、というのは道理だ。
     だから以蔵も、相手の都合のない時は昼間に行動しよう、と心がけている。
     コミッションのラフをクライアントに送り、新しいネームを切っていたら夕方になった。液タブを立てかけてデッサン人形を置き、ポーズを取らせて鉛筆を執った。
     男女兼用の人形の腰を細め、ヒップを張り出させてスケッチブックに落とし込む。
     えい感じじゃ、と思いながら鉛筆を動かしていたら、外で車の停まる音がした。ほんの少し集中が途切れる。
     繁華街ならともかく、駅から徒歩十五分の住宅地にわざわざ来る者はそういない。以蔵の家の表は道路で、裏もアパートに隣接しているから、近所に駐車できるスペースはない。
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    subaru_no_iine

    PROGRESS以ぐだ♀ オメガバース β×α
    ・ゆるふわ土佐弁
    ・ご都合主義
    ・ふたなり
    ・メリバの予定
    ジュンブラで本になります。
    両想いになります!話自体は両想いで終わる予定なんです(すれ違いも盛り込まれますが)幸せな空気を目いっぱい吸っている以ぐだちゃんだけを見ていたいですけどこの話オメガバなんですよ(ゲス顔)お互いに相手をわかり合ってるのいいですよね🙆‍♀️
    すてきなわたしの夢 7 金曜の夜、イタリアンバルのドアの前で、会計を済ませる立香を待つ。
     ほどなく、上機嫌の立香が出てきて以蔵の腕にしがみついた。
    「いぞーさん、お待たせ~」
     ハートの絵文字が見えるような口調だ。
    「そしたら、行こっか。いいお茶買ったの、淹れて飲もう」
    「茶か……茶なら、ちっくと飲むがが遅れたちえいろう?」
    「え?」
     以蔵の言葉が思いがけなかったのだろう、立香は目を丸くした。
    「ケーキ買うてあるがじゃ。今夜はうちん家に来んかえ」
    「ケーキ……なんで?」
    「おまんと食いとうて」
    「なんで、うちじゃなくて?」
    「おまんと話いとうて」
    「何の話だろ……」
    「着いたら話す。おまんがえいなら行くぞ」
    「はい」
     以蔵の腕に掴まり、立香はふわふわと歩を進めた。
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