すてきなわたしの夢 7 金曜の夜、イタリアンバルのドアの前で、会計を済ませる立香を待つ。
ほどなく、上機嫌の立香が出てきて以蔵の腕にしがみついた。
「いぞーさん、お待たせ~」
ハートの絵文字が見えるような口調だ。
「そしたら、行こっか。いいお茶買ったの、淹れて飲もう」
「茶か……茶なら、ちっくと飲むがが遅れたちえいろう?」
「え?」
以蔵の言葉が思いがけなかったのだろう、立香は目を丸くした。
「ケーキ買うてあるがじゃ。今夜はうちん家に来んかえ」
「ケーキ……なんで?」
「おまんと食いとうて」
「なんで、うちじゃなくて?」
「おまんと話いとうて」
「何の話だろ……」
「着いたら話す。おまんがえいなら行くぞ」
「はい」
以蔵の腕に掴まり、立香はふわふわと歩を進めた。
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