群青色の冬冬のある日、少し長めのオフを使って熱海に旅行へ行ったクレビ御一行。やけに早く目が覚めてしまったHiMERUが隣を見ると、隣の布団にいた筈の天城がいないことに気付く。どうせ自販機に酒でも買いに行っているのだろうとたいして気に留めなかったが、なかなか帰ってこないことがなんとなく気掛かりで、コートを羽織って外に出る。
まだ薄暗い旅館の廊下を抜け、外に出る。吐く息が白くなる程の気温に、マフラーも巻いてくるのだったと後悔しつつも、澄んだ空気が気持ちがいいからと歩き出す。暗闇の中、淡く光るスマートフォンの明かりを頼りに進めば、旅館の裏手にある展望台で天城が海を見ていた。
そんなところで何をしているのです?と声をかけるのも憚られる程、普段の天城とはかけはなれた静かな空気に、そういえばこの男は生まれながらの君主だったと思い出す。けれど、お前はアイドルだろうと声をかけることをHiMERUは選ぶ。
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