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    ジュン

    正良が好き。思いつきを載せる。

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    ジュン

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    お話しじゃないです
    妄想メモです

    酔ったフリして漬け込む隙を虎視眈々と狙っていて
    時音と上手くいってる?→いってないと答えたら手を出そうと思ってる兄貴って良くね?って思った

    そして「上手くいってる?」なんて曖昧な言い方に優しさと臆病が滲んでる展開がいい
    ちなみに良時は清い関係、正は女遊びしてる(しかも相手が本気になる前に振ってる)くせに「振られた」って良に会う口実に使う…みたいなやつ

    大学生になり一人暮らしをしている良守
    夜、なんだか寝付けず課題をやっているとインターホンがなる

    ピンポーン

    こんな夜遅くに宅配便が来るはずもない
    もちろん約束もしていない
    ピンとくる、ろくでもない予感
    無視してペンを走らせた

    ピンポーン

    無視

    ピンポーン
    ピンポーン

    手を止め玄関を睨む

    ピンポーンピンポーン
    ピポピポピンピンピン


    「るせえ!!!!!」


    ガチャっと玄関を開ける
    そこには真っ赤な顔をした兄が、にへらと笑って手を上げて

    「やあ」

    ガチャン
    ドアを閉めようとして結界でこじ開けられる

    「酷いな、入れてよ」

    「知るか帰れ!何時だと思ってる!!」

    ジト目の良守
    気にせず笑顔の正守

    「騒いだら近所迷惑なんじゃない?」

    と半ば強引に上がり込む正守
    想定内だが不服そうな良守

    「おっと」

    正守が靴を脱ぎながらよたつき

    「ただいま〜」

    「おわ?!」

    良守の元へ倒れかかってくる。

    「やめ、ちゃんと立てってば」

    「うーん…いい香り、良守髪切った?」

    ぎゅっと抱きつかれて、良守の眉間のシワが深まる。
    ものすごく酒臭い。

    「何しに来たんだクソ兄貴」

    「いやぁ良守どうしてるかなって」

    良守は、ため息を零す
    それは何度聞いたか分からない見え透いたウソだった

    「このあいだ様子見に来たばっかだろ…俺は元気に学生やってるから心配要らねえっての」

    「へえ?元気に学生やってるんだ…」

    手が、服の隙間に伸びてきてビクッとする
    けどその手を弾いて止めさせる

    「要件は」

    肩を叩いて尋ねる
    どうせまた、ろくでもない理由だ
    正守が酩酊して家にくるときはいつもそう

    「別に、なんでも」

    ぎゅっと力を込められて体が軋む
    良守はまた深いため息をつき、面倒くさそうに正守の腕を掴んで肩に担ぐ
    そのまま正守を部屋まで引きずって、ベッドに投げる

    「はぁあ…」

    ベッドに寝転び腕で顔を覆う正守
    それを横目で睨みつつ良守は布団を敷く

    「おい。布団」

    お前はベッドで寝るな。という意味で叱るものの無視される。

    「寝ーるーな」

    正守の耳を掴んで引っ張ると煩わしそうに手を振り払われる
    そしてそのまま首根っこを腕で捕まえられてベッドへ引きずり込まれ、もがいているうちに押し倒されてデジャブ
    赤ら顔の酒臭い兄が覆いかぶさって、こちらを見下す
    こうして至近距離で正守を見上げるのも、もう何度目だろう…とぼんやり思う良守
    蛍光灯が眩しい


    「振られた」

    「は?」

    唐突に本題に入る正守
    そんなことだろうとは思った、と呆れる良守

    「お前これで何度目だよ…」

    「わからん。過去は忘れた」

    不服そうな顔をされて、良守きつく眉をしかめた
    振られるたびに家に来られては困る
    そもそも、正守と良守はそんな仲じゃなかったはずなのに

    「俺さ…兄貴の口から何度てきいても、未だに信じられん」

    「そうだよなぁ。俺の何が駄目なんだろ…誰か教えてくれ」

    「いやそうじゃなくて、」

    どさっと坊主頭が胸元にのしかかってくる
    そのまま擦り寄られ抱きしめられて、良守は顔を背けた
    正守は人肌を恋しがっているけれど、良守は何もしない
    抵抗も慰めも、なにも

    「良守も思うよな?こんな色男振るなんて見る目ないって」

    「そういうこと自分で言うなよ…」

    しかも別にさっきの言葉はそういう意味で言った訳じゃない
    良守にとって『正守が恋愛をしている』そのこと自体に違和感があるだけだ
    だって正守は真面目で仕事人間、女性とは無縁のイメージだったから興味もないのかと思っていた
    そのはずが、良守が大学生になって一人暮らしを初めてから頻繁に「振られた」だの「別れた」だの「浮気されてた」だの、女性関係で弱ったときのみ絡まれるようになる
    良守は正守が嘆くすべての始まりを知らないし、知らされるのは終わったときだけ
    兄の込み入ったプライベートな事情など別にききたくないのに、毎回押し入られて無理やり会話に付き合わされてしまう

    「なんつーか。兄貴がこんな女好きとは知らなかった…」

    「そう?俺だって健全な20代男子だ、恋くらいする」

    その発言がおっさん臭い…
    いや、だとしても弟のところに来るな
    兄の男の顔なんて知りたくもねえ
    ってか相談出来る友達いねえの?とは流石にいえなくて黙る

    「言いづらいけど、ここまで酷いと兄貴に問題あるんじゃねえの」

    「俺のせい?これでもけっこう尽くすタイプなんだけど」

    「じゃあ、あれだ。“貴方は私無しでも生きてきけるでしょ”って言われるだろ?」

    「うわぁ、なんで分かる?天才か」

    正守の性格からして何となく想像がつくし、家族だから分かることもあった

    「兄貴カッコつけすぎなんじゃねえか…もっと女の人に甘えてもいいんじゃね」

    「〜良守のくせに生意気だな」

    「わっ!ちょ、くすぐるなっ!やめろ!」

    「カッコつけたいのは男の性みたいなもんじゃないか。弱いところなんて見せられない」

    「よくわかんねえけど…女の人だって正守に頼って欲しかったんじゃねえの」

    「はぁー何?今日は責められてばっかでヤになるなあ。そんなに言うなら良守が甘やかしてくれよ…」

    ごねるので良守は仕方なく正守の頭を撫でる

    「つーかそもそも、俺のとこに兄貴が恋愛相談に来るの滑稽なんだけど」

    「滑稽?難しい言葉よく知ってるじゃないか」

    ごろんと良守の横へ寝そべり、子供のように抱きつかれる

    「もしかして俺の事、ぬいぐるみだと思ってる?」

    「はは。良守がぬいぐるみ?なんだそれ」

    「だって…いや、別にいいけど」

    正守は酔うとベタベタ触れてくる
    甘えられている気がして、困惑してしまう
    なにより鳥肌が立つ

    「ほしいな、良守のぬいぐるみ」

    「あ?」

    「そうしたら俺、なにも困らないかも」

    「はぁ?」

    「いっそ粘土でもこねようかな…」

    「意味わかんねー」

    モゾモゾ動いて良守の体に顔を埋める正守
    これは相当参っている様子だ
    そんなに振られたくない相手だったのか?
    そもそも、そんな相手どこで見つけてくるんだろ…

    「つかれた」

    「おつかれさん」

    「ケーキ」

    「ない」

    「ビール」

    「先週てめぇが飲んだので最後」

    「良守」

    「もう〜抱きつくな!鬱陶しい!」

    まるで猫みたいだ
    気まぐれに来て、自分の都合で甘えて
    そのくせ、こちらから構うと遠くへ行く

    「良守は…時音ちゃんと上手くいってるのか」

    またこの質問だ
    酔って甘えて、最後は必ずこの質問をしてくる
    鬱陶しい、という気持ちを良守は隠さない
    時音とは上手くいっている
    たまに連絡を取り合って一緒に出かけたりすることもあるし、お互いの家にも行った
    昔なら考えられないことだ
    時音のことは大好きだし、ずっとそばに居たい
    時音もきっと同じことを考えてくれている、と思う
    でもそれは世間一般でいう「恋人」の枠組みとは外れている気がした
    いいように言えば「夫婦」、悪く言えば「姉弟」
    要は家族ってこと

    だから最初の頃は正守の質問にも「時音とはそういうのじゃない」と言っていた
    けど、もう何度も聞かれて面白がられているだけだとわかったから適当に答えている
    上手くいってるか?
    上手くいっているとも
    少なくともお前との関係より、綺麗だ

    「今日は黙りか?なに、喧嘩でもした?」

    「ちげぇ…上手くいってるよ。振られてばっかの兄貴が嫉妬するくらいには上々」

    「はは、なんだそれ。泣けてくる」

    「笑ってんじゃねえか」

    笑うしかないだろ、という声は良守には届かない

    「ずっと、」

    「おん?」

    「良守はずーっと、そのままでいてくれ」

    言われなくても人間、そうそう変化できるもんじゃない
    でも、正守から言われるとムカつく
    いつかを思い出してムカつく

    「何回も言うけど俺は変わるぜ。それは少しずつかもしれないけど、歳を取ればみんな変わる。お前もそうだろ」

    昔なら、こんなふうに良守を頼ってこなかった
    こんなだらしない姿を見せたりしなかった
    ここは実家ではないし、良守だけの空間だからだろうか
    狭いベッドに2人で寝転んで、隣には正守がいる
    どう考えたっておかしいだろ
    不思議な雰囲気に、いやでも飲まれそうになる


    「あーあ、まだ上手くいってんだなぁ…」

    「なに。そんなに俺がリア充だと気に食わない?」

    「なんだ?いっちょ前に若者っぽいこと言ってるなぁ」

    「俺だって健全な20代男子だし」

    「あーもう、そんなこと言うなよ…ずっと大人にならないで、ちっちゃいまま俺の周りをチョロチョロしててくれ」

    「うわ、気持ち悪いこと言うな!」

    「はぁ…嫌だ嫌だ。俺って一生このままなわけ?笑える」

    正守は腕で顔を覆う
    声が震えていて、少しずつ心配になる

    本当に、大丈夫か?


    「兄貴…」

    「何も言うな。モテない男の傷心なんて、お前には理解出来んだろ」

    「それは…」

    良守は、不思議で仕方ない
    正守が女好きだったことも
    熱烈なくせに相手にされないことも
    正直、モテない側の人間には見えない
    身内贔屓だとしても、男として悪くない…と思うのに
    これだけヘコむんだ。正守は大切に思っていたはず。それなのに相手が、その気にならない理由が良守にはわからない
    余程高望みしたのか、人のものに手を出そうとしたのか?
    それとも、靡かないような相手ばかり追いかける性癖でもあるのか

    「そもそも、本当に好きだったのか?」

    「…喧嘩売ってる?」

    「いや、ちがくて」

    しまった声に出てた。やべ。

    「ほら。ヘコむわりに切り替えは早えじゃん」

    「いい女は幾らでもいる」

    「お前やっぱそういうとこじゃ…」

    「そういうとこかー」

    ケラケラ笑うのが痛々しく見てられなくて、良守はそっと電気を消す

    「もう消灯?もっと話そうよ」

    「るせえ早く寝ろ。そんで忘れて、さっさと頭領に戻れば」

    「酷いな…ここでくらい、どこにでもいる普通の成人男性で居させてくれ」

    どこにでもいる成人男性は弟を抱き枕にして匂いを嗅いだりしない
    後ろから抱きしめられて、顔を真っ赤にしながらイライラする良守
    でも次第に人の体温でぬくぬくしてきて眠たくなってしまう
    うとうとし始めたら、ボソボソ正守が話し出す


    「もし、時音ちゃんと上手くいかなくなったときは…」

    「うん?」

    「いつでも連絡して」

    「はは、なに?慰めてくれんの」

    「当然だろ?日頃の分、たくさん礼はする」

    「ふーん。じゃあこの時間って無駄じゃなかったんだなぁ…」


    そのまま目を瞑って、眠り、朝起きたら正守は居ない
    次はいつ来るんだろ…
    とか思いながら、良守は二度寝した








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