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    ru_za18

    @ru_za18

    とうらぶやtwstのSSや小説を書いています。
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    ru_za18

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    限定公開作品。
    フ/ロ/イ/ド×カフェ店員

    以前ネップリしていたものの長編。
    街に行ったフロがカフェの女の子に一目惚れしたお話。
    ⚠️捏造たくさん

    鯉から恋で愛になる「アズールー、ジェイドー。明日暇?」
    「どうかしましたか?」
    「……僕は暇じゃないんだが。一応、聞きましょう」
     モストロ・ラウンジ終わり。ゴロリとソファへ寝転びながら、二人の予定を確認する。
    「オレ、街に行きたいんだけどー……二人共一緒に行かない?」
     明日、明後日は学校は休み。だから何処かへ、と考えて思い付いたのが街だった。丁度、靴を買いたかったのもあるし、他にも気になっているところが幾つかある。一人でふらりと行っても良いのだが、せっかくならばと声をかけた。
    「僕は明日、モストロ・ラウンジで少し見直すことがありますから遠慮しておきます」
    「おや、お手伝いしましょうか?」
    「大丈夫ですよ。そこまで人がいることでもありませんし……。二人で行ってきたらどうです?」
     その言葉にちらりとジェイドを見れば、少し考えているようだった。けれど、次に出てくる言葉は知っている。
    「そうしましょうか。それも面白そうです」
    「オッケー。そう言うと思ってた」
     思わず上がった口元でそう伝えれば、『おやおや』と言いながらも嬉しそうなジェイドがそこにいた。
    「あ、アズールにも何か買ってくるから」
    「……普通の物にしてくださいね」
    「おもしれーもんにする」
    「良いですね」
    「フロイド!ジェイドも乗るんじゃない」
     そんな話をしながら、来る明日を楽しみにしていた。


    「ねぇ、ジェイドー……俺喉乾いたぁ……」
    「では、そちらのカフェにでも入りましょうか」
     朝から街に繰り出し、欲しかった靴を買う。その後も気になったところを見て回り、ジェイドも『見たい』と言った山やアクアリウムに関するところも寄りつつ歩き回る。そうして気付けば、太陽は天辺に登っていた。朝から歩いていれば、流石に喉も乾いてくるもので。ジェイドが指したのは落ち着いた雰囲気のカフェだ。
    「そうするー……」
     カフェの扉を開ければ、カランカランと軽快なドアベルの音が鳴り、こちらに視線が幾つか向く。俺等を見て、何人か女が近寄ってきては“一緒にどうか”とか言ってくる。
     ――オレもジェイドもお前等に興味ねぇし……。
     どいつもこいつも同じような化粧に同じような言葉。無視しながらオーダーカウンターへ向かえば、カウンターにあったメニューに目が行く。コーヒーに紅茶、ジュースもある。どれにしようかと視線を動かしていれば、前のレジでごそごそとしてる音が聞こえた。『うるせぇなぁ……』なんて、視線をそちらへ遣れば。
    「お決まりですか?」
    「……あ……ううん、まだ……」
    「お決まりになりましたら、仰ってくださいね」
     視線が合い、にこりと笑いかけられた。女に笑いかけられたことが無いわけじゃない。むしろ、多い方だ。なのに一瞬、言葉が出なかったほどに目を奪われる。彼女が、キラキラとしていて。
    「ジェイド……人をキラキラさせる魔法ってあんの?」
    「キラキラ……ですか?」
     不思議そうに言葉を返すジェイド。オレはそんな魔法があるなんて見たことないけど、『もしかしたら』と思って聞いてみた。でも、この反応ということはジェイドも知らないというわけで。
    「うん。……それか、オレの目おかしくなった……?あの子、すっげぇ見たくなる……」
     思ったことを正直に言っただけなのに、横のジェイドはぷるぷると弱い雑魚みたいに震えだした。その姿に少なからず、ムッとする。笑いを堪えているんだろう。
    「ふふっ……フロイド……。それが、恋ですよ……」
    「は?鯉?何で魚になんの?」
    「スー……。ふー……そういうところですよ、フロイド。とりあえず、連絡先でも聞いてみたらどうです?」
     少し呆れながらも、そんなことを言うジェイドが理解出来ずに疑問が増える。
    「……ま、良いけど。ねぇ」
    「はい、どうされましたか?」
    「あのさぁ……ケータイの……」
     じっとこちらを見られている。しかも微笑み付きで。店員なんだから、それが当たり前なんだと自分がよくわかってるはずなのに、緊張するのは何故だ。
    「……え……と、ケータイの……やっぱ、コーヒーください」
    「ぶふっ」
     彼女が輝いて見えて、目を真っ直ぐに見ることが出来なかった。そして、連絡先さえも聞けず、コーヒーを頼むのみ。横でジェイドが吹き出したけど、真っ直ぐに見れなくても、今は彼女を視界の何処かに入れておきたくて。
     ジェイドは、とりあえず後で締めることにした。笑っていられるのも今の内だ。
    「お待たせしました、コーヒーです。素敵な一日を」
    「……ん、ありがとう」
     コーヒーを受け取る時に触れた指先。チリっと熱さを感じながらも、嫌じゃなくて。けれども、気恥ずかしさを感じながら、少し下を向く。軽く手も振ってみたりなんかして。
     ――女にそんなことするなんて柄じゃない。
     そう思いながらも、彼女の反応が見たくてちらりと目を遣る。すると、先程よりも花が笑うような表情をしているものだから、心臓は簡単に跳ねてしまって鼓動がうるさい。
    「ありがとうございました」
     手を振り返してくれた彼女に、胸が温かくなる。愛想笑いだとしても、嬉しくて仕方がないくらいに。
     ――もうちょっと見てたかったんだけどなぁ……。
     残念に思いながら、扉を出る。後ろ手に扉を閉まったのを確認した瞬間、未だに横で肩を震わせているジェイドに蹴りを入れた。
    「痛いです、フロイド」
    「あ?ジェイドがしつこいからだろ」
     イラッとしたのも、その時だけ。手に持つコーヒーカップを見れば、先程のことを思い出して心が穏やかになっていく。それを感じ取ったのか、又してもジェイドは面白そうにしていて。
    「おやおや……」
    「なーに、ジェイド」
    「いいえ。……可愛らしい方でしたね」
    「……ん、そう思う」
     僅かに引っかかるところはあったけれど、何故かこの時は、少し素直に。そう、ほんの少しだけ素直になれた気がした。“可愛らしい”。そう思ったことは嘘ではないから。
    「また、会えると良いですね」
    「……“会えると”じゃないんだよなぁ」
    「それはまた……。彼女が気に入ったんですか?」
     ジェイドが何を言いたいのかはわからない。けれど、オレ自身の気持ちももっとわからないのだ。彼女のことは気に入ったと思う。けれど、それはキラキラと輝いていた、花のような彼女に興味を持ったからであって――。
    「大した意味じゃねぇし……」
     何故か熱くなってきた顔に気を取られて、そう言うので精一杯だった。


     それから数日。ぼうっとして、何とも気が乗らない。けれど、どれもこれもいつも以上によく出来てしまう。そんな矛盾を抱えながら、今日も一日が過ぎていく。
    「ジェイド。フロイドはどうしたんです?」
    「それが、病にかかってしまったんですよ」
    「は?病?……大丈夫なんですか?」
    「えぇ。“恋の病”というものです」
    「はぁ……聞いて損した」
    「え⁉面白いでしょう⁉聞きたくなりませんか⁉」
    「なりません。そもそも、そんな野暮なことしません」
     周りが騒がしくても気にならない程に、考えてしまうのはあの子のこと。
     ――ジェイドは“鯉”だって言ってたけど、何で魚なのかわかんねぇし……。
     『鯉の人魚がいるのか』と考えてみたけれど、あの子は普通の人間だった。更に謎は深まるばかり。そうして考えていれば、尚の事思考はそちらに寄っていく。
    「フロイド、恋煩いも結構ですがちゃんと働いてください」
    「アズール、何言ってんのー?恋煩いなんてしてねぇし」
    「恋煩いでしょう。その女のことをずっと考えているなら、お前がその子に思いを寄せているということでしょう」
     そう言われて考える。
     ――そもそも、何でオレあんなにあの子のことばっか考えてんの?
     『可愛かった』 『笑顔が良かった』 『キラキラと眩しかった』 『真っ直ぐ見てくれた視線が好き』そこまで思い至って、動きが止まる。
    「……好き?」
     口にした瞬間、発火したかのように全身が熱くなる。信じられなかった。まさか、俺があの子のことを好きだということが。けれど、口にすればぼうっとしていた思考がスッキリとしたように鮮明で。
     ――何だ、オレ……あの子のこと……。
    「誰だ……“鯉”なんて言ったやつ……」
     そう呟くが、勘違いしていたのはオレだ。ジェイドは“恋”だと言っていた。
    「フロイド。自覚しました?」
    「……ジェイド、ごめん」
    「いいえ、許しません」
    「……は?」
     そこは『仕方ないですね』と言いながら許してくれるものかと思っていた。なのに返答は、満面の笑みに似合わない、トーンの落ちた否の言葉。
    「僕はきちんと伝えていたと言うのに、勘違いされた挙げ句に蹴りまで入れられて……。心が痛みました」
     何ともわざとらしい、大袈裟すぎる泣き真似。勘違いしたのは、確かにオレ。だけど――。
    「しつこいくらいに笑ってたのはジェイドじゃん。それくらい良くね?」
    「無理です。許せませんねぇ」
     こうまで頑なということは、多分当分引きずってくる。それもまた面倒であるからして。つきたい溜め息をぐっと堪えて、ジェイドを見遣る。
    「……それじゃ、何かアクアリウムの物でもプレゼントしたら良い?」
    「あの子と連絡先を交換して来てください」
    「…………はぁっ⁉」
    「交換してきてくれたら許します」
     ――うーわ……本気じゃん……。
     目を見てわかる、自らの兄弟のこと。『あ、玉砕しても許しますよ』とも言い出すが、知ったことか。要は『突撃してこい』と言うことなのだから。自覚してすぐに、兄弟からこんな仕打ちをされるとは――。思い悩んだ末に口に出したのは『わかった』という一言だった。


     次の休みの日。とても楽しそうなジェイドと『結果はどちらにせよ、僕からは聞かないでおきます』なんて営業用の笑顔で言うアズールに送り出され、今はあの子のカフェの前。こんなに緊張したことがあったかと思うほど、身体に力が入る。おそらく、今覚えている限りでは、海から初めて上がったときもここまで力は入ってなかったはずだ。
     ――あれから、会いに来るの初めてだし……。オレのこと、忘れちゃってるかも……。
     そんな考えが過って、勝手に気持ちは凹む。だが仮にそうだとしても、店員という職業柄、無数の人を相手にするのだ。常連でもない限り、覚えられることはなかなか無いだろう。
     ――……そん時はそん時か。今日で覚えて貰ったら良いじゃん。
     深く深呼吸して、ドアベルを鳴らしながら扉を潜る。この間より混み合う店内を歩いて行けば、カウンターにいるのはあの子だ。どうやら今は違う客の相手をしているようで。大人しく順番を待っていれば、来たときに対応していた男の客は、まだあの子の前にいる。その時、困った顔をしているあの子が目に入った。困りながら、何処か泣きそうな――。
    「なぁ、お前何してんの?」
    「はぁ?何だテメ――ぐぁっ」
     ぷちんと何かが切れた音が鳴ったと思えば、男の客に声をかけ、殴っていた。あの子の手を握る前で良かったと思いながらも、泣きそうな顔をしていたあの子の表情が消えない。
     ――コイツがあの子に、あんな表情を……!
     怒りに燃えた表情だったのかもしれない。起き上がった男は、オレを見て店から逃げていった。
    「ごめんなさい!私のせいで……」
     カウンターから出てきたあの子は、またしても泣きそうな顔で、さっきアイツを殴ったオレの手に恐る恐る触れる。『慣れっこ』とでもいうのか、痛いほどでは無かったけれど、優しく包み込んでくれた彼女の手は温かくて、心地良かった。
    「あの……何か冷やすもの……」
    「あぁー……いーよ。オレ、すっげぇ丈夫だしね」
    「でも……」
     何かしないと気が済まないのだろうか。“お人好し”。周りにあまり見ないタイプで、珍しさについつい見入ってしまう。『これで連絡先を』と一瞬過ぎったものの、『それではさっきのヤツと同じだ』と一心に掻き消した。
    「じゃあ、オススメの飲み物教えてよ」
    「あ……はい!」
     ようやく見れた、キラキラとした満開の笑顔。
     ――そうそう、この笑顔が見たかったんだぁ。
     オレもつられて口角が上がる。ジェイドはこの結果に『残念でしたね』って言うかもしれないけれど、オレは『これで良かったかも』なんて。
    「お待たせしました。気に入ってもらえると良いんですが……」
    「ありがと。飲んでみるねぇ」
    「はい!……助けてくださって、ありがとうございました」
    「いーよぉ。それじゃあね」
     紙袋を受け取って、あの子の笑顔に見送られながら店を出る。心は柔らかく、ほわほわとして。温かさに少しくすぐったい。
     ――そういえば、何選んでくれたんだろ……。
     受け取った紙袋を開ければ、カップの飲み物と頼んでいない筈のクッキーが入った袋。そして、数字と英語の並んだ小さな紙が。

    『今日はありがとうございました。
     良かったら、飲み物の感想聞かせてください。』

    「やったー」
     どうやら、幸運の神様とやらはオレに微笑んでくれたらしい。小さな紙を宝物かのように、大切に大切にしまった。寮に戻ったら連絡しようと決意して。

     後日、恥じらう少年少女が、共に街で歩いているのを目撃されたという。
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    Replies from the creator

    ru_za18

    DONE桑さに
    青空でのお題提出作品
    あることから本丸を逃げ出そうとした主と見つけた桑名のお話

    捏造設定あり
    暗めのお話
    エゴだとしても 物音一つしない、丑三つ刻。今日は生憎の曇りで、本来ならば見えたであろう満月も今は姿を隠している。
     そんな中を小さい鞄一つを抱えて、出来るだけ足音を立てないように廊下をゆっくりと歩く。部屋から出て少し進んだところに、『風通しのためだ』と開けてもらっていた雨戸が見える。そこに辿り着いては息を潜めて辺りを見渡し、誰もいないことを念入りに確認した。
     ――見つかるわけにはいかない。
     緊張感から息をすることすら忘れて、確認出来たと同時に人が通れる程だった雨戸から庭へと下りた。素足のまま下りたものだから、庭に転がる小石たちが『自分はここだ』と存在を主張してくる。痛みを伴うそれを無視しながら、歩く速度はどんどん早まっていき、前へ前へと足を出す。終にはとうとう走り出して、目指す先は本丸の門だ。春には桜の花弁を浮かべた池の横を通り、近くに向日葵が咲いていた畑を横切り、可愛い色だと埋めたチョコレートコスモスの花壇を越え、冬には雪の帽子を被っていた椿の垣根を抜ければ、辿り着いたのは目的地。しんと静まり返る中に佇むそれは、私の最後の覚悟を問うているように思えた。
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