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    ru_za18

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    9/5の山姥切国広の日に贈る
    うちの初期刀様、いつもありがとう!

    山姥切国広+審神者

    #山姥切国広(刀剣乱舞)

    包む膜は優しさと「まんばちゃん……っもう……無理……」
    「いや、まだ主なら出来るはずだ」
     九月に入ったというのに、まだまだ暑い室内で私は限界を迎えていた。すぐ側に立って、私を見下ろしているのは初期刀のまんばちゃん。
    「もう……もう、腕がプルプルしてる……」
    「あと十秒だ。我慢するんだな」
    「お、鬼だ……」
     私が何をしているかというと、筋トレだ。『引き締めたい』なんて言ってしまったことをきっかけに、こうしてまんばちゃんが付き合ってくれている。大変、鬼コーチではあるが――。
    「ほら、終了だ」
    「あぁ……終わった……」
     まんばちゃんからの終了の合図と共に、プランクで耐えていた腕の力がふっと抜ける。音を立てて崩れ落ち、起きる気力すらない。顔や首から止め処なく流れていく汗が、熱を持っているように感じる。
    「暑い」
    「これが良いんだろう?」
     一向に起きない私に溜め息をつきながらまんばちゃんが渡すのは、中身の入ったシェイカーと団扇だ。シェイカーは、『形からでもやろう』と思い立って用意したもの。プロテインはよく効いている――気がする。
    「ありがとう……」
     のろのろと亀のような動きで起き上がり、受け取ったシェイカーの中身を飲み干す。甘さはあるけれど、よく冷やした牛乳で作ってくれたらしい。冷たさで冷えたこともあるのだろうが、身体の隅々まで潤っていく気がした。
     そよそよと感じる風に目をやれば、団扇で仰いでくれるまんばちゃん。審神者になってかなりの時が経つけれど、初めて会った頃から今に至るまで、いつも彼の然りげ無い優しさをこうして感じている。
    「ありがとうね、まんばちゃん」
    「構わない。……まぁ、俺は鬼らしいが」
    「……ごめん」
     冗談めいたようにまんばちゃんは言うものの、ちくりと心を刺す何かから目を背けるがの如く、彼から視線を逸らした。抑えきれなかったらしい笑い声が横から聞こえてくる。ちらりと見れば、楽しそうに笑っているものだから。“最初”を知っている私としては、冗談も笑い声も楽しそうに笑っている笑顔だって、何処か感慨深く感じてしまった。
    「ん?どうした?」
    「……ううん。まんばちゃんが楽しそうで良かったなって」
    「……どういうことだ?」
    「何もないよ。ただ、そう思っただけ」
     あの頃とは時間を重ねて変わった関係。この先も薄い膜が幾重にも重なっていくように、厚さを伴いながらこの関係を包んでくれるのだろう。“優しさ”や“信頼”という膜が、これからも、これからも――。

     共に歩む、初期刀の貴方へ
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    みえろ

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    山姥切国広と大包平の短編です。おもしれー男を見つけてしまった山姥切国広。
    霊力供給(?)ネタです。キスまでの接触があります。

    某本丸を見ていいなと思った組み合わせではありますが、某本丸とは別のとある本丸の話です。

    作中で大包平→山姥切国広の呼び方は山姥切としていますが、どちらもいるときはフルネームで呼び分けているのかなあと考えています。
    一匹狼、おもしれー男に出会う1.
    「俺も行く」
     そう口にした瞬間、部隊の視線がさっと自分に集まるのを大包平は感じた。ただ一振り山姥切国広だけが、思案するようにゆっくりとこちらを振り向いた。
     感情の読めない碧の瞳、その視線を真正面から受け止める。咄嗟に口をついて出た言葉だったが、間違った判断だとは思っていなかった。山姥切は否と言うかも知れない。だとしても、大包平はあくまで主張を通すつもりでいた。
     だから、皆が静かに見守る中、山姥切が黙ってうなずいた時、大包平は思わず目をまたたいた。頭の中で組み立てていた反論が霧散する。誰にとっても予想外だったのだろう、かすかなざわめきが部隊の中を駆け抜けた。
     刀を手に、山姥切は立ち上がった。大包平もそれに続く。最後に隊長を振り返り、ひとつ大きくうなずいた。俺に任せておけという意気だったのだが、曖昧にうなずき返す隊長の顔には、期待よりも心配が現れていた。
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