色々な8番出口 出口1.不動遊星の場合
「あっ、遊星〜! ここどこなんだろうね? いくら歩いても出口が見つからなくて……」
いつもの朗らかな調子の声で、しかし困った顔で問いかけるブルーノ。だが遊星はその問いに答えることができなかった。唖然とした表情のまま問い返す。
「……本当にブルーノなのか?」
「も〜、いきなり変な事聞かないでよ。ボクはチーム5D'sのメカニック、ブルーノでしょ?」
「そうか……そうだった、な」
だがブルーノはあの時、アーククレイドルでブラックホールに呑まれ消滅したはずだ。彼の遺品であるサングラスは今もトロフィーと共に飾ってある。
いるはずのない人がここにいる、それこそが異変。
それはわかっているが遊星はその場から動けなかった。ただ踵を返して走り出せば済む話なのに、どうしても一歩が踏み出せない。
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