生日快乐!『君に色とりどりの祝福を』 (魏無羨誕生日)
花の匂いがする。
甘いもの、清々しいもの、纏わりつくほど濃密なもの。咲き誇る花々の多種多様に入り混じった香りは、雲深不知処ではあまり馴染みのないものだった。
不思議に思いながら魏無羨は自室の扉を開く。その瞬間、百花繚乱の香りが部屋から溢れてきた。
それと同時に、視界を埋め尽くす花、花、花!
薄紅、紅蓮、山吹、鶸、浅葱、縹、紫紺、そして白。色とりどりの花が部屋いっぱいに飾られ、頭上からもはらはらと舞い落ちてくる。
予想外の出来事に魏無羨が茫然と立ちすくんでいると、暗がりから現れた黒い影が魏無羨に向けてふわりと花を投げかけてきた。
その影に腕を掴まれて、魏無羨は部屋の中へと引きずり込まれる。
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