箝口令 ちょうど休憩中なのだろうか。研究室の前まで来ると、中から楽しげな声が聞こえてきた。どうも先客がいるらしい。
「それにしてもあんた、本当に物知りよね。知識で敵う気がしないわ」
「そう? 私たちにだってハンジより知ってる事があると思うけど」
「え、何それ? 勿体ぶらないで教えなさいよ」
「お・と・こ! ハンジはまだ知らないでしょ」
「もう、知ってる」
「ほらね……って、ええっ!?」
「うっそ、いつの間に!? 相手誰よ!?」
「それは――」
オイオイオイオイ。それ以上はマズイだろうが。
リヴァイは扉を破る勢いで入室し、今まさに秘匿情報を口走ろうとしている女の頭をガシッと掴む。
「こいつに急ぎの用がある。借りるぞ。……ついてこい、クソメガネ」
そうして、あくまで兵士長として分隊長を連れ出し。
これは他人に話すようなもんじゃねぇ、と自室に引っ張りこんだハンジの口を塞いだ。