「……飲みすぎ」
「仕方ない、でしょう……」
「まあ仕方ねェかもしれねえけど……ホレ、水」
「……ありがとうございます」
急に寮時代のルームメイトである鳴上嵐に呼び出されたかと思えば、散々に泣きつかれてしまった。理由は聞けなかったが、話の内容からおおよそ推察できるものであったし、聞く必要はなかったのだろう。
ただ彼――あるいは彼女は自身の話を聞くだけ聞いてくれて、それを言いふらさない相手を求めていて、それがたまたま今回自分の役目になっただけだ。呼び出された時にはすっかり酔っていたせいで、ぐるぐると同じ話題を繰り返していたが、『HiMERUちゃん、急なのに来てくれてありがとうねェ』だなんて言われてしまったら帰ろうにも帰り難くなってしまう。流石にあまりの酔いっぷりに放っておけなくなってしまって、タクシーを呼び出しておいたが、無事に帰れただろうか。後でメッセージを送らなければいけないと、アルコールでぼんやりする頭で考える。
「……横ンなる?それとも座ったままでいい?」
「……このまま、で、いい……」
吐き気がある訳じゃない。ただ意識が蒸発していっているようで頭がくらくらして、痛い。
「……あ、まぎ、」
ぎゅ、と甘えるように裾を掴んでしまう。何をしているのだろう、自分は。