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    sigu_mhyk

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    1日1ネファネチャレンジ 4
    現パロ ネロ+ファウスト(ネファ未満)

    ##1日1ネファネチャレンジ

    Let's nurture love, over a cup of coffee「いつものですね、先生」
    朝8時。コーヒーショップで働くネロは開店直後の店を一人切り盛りしていた。とはいえ通勤通学で人の移動が活発になる時間、オフィスビルのワンフロアに構えるこの店舗はまだのんびりとしている時間帯である。
    そんななか、目の前で怪訝な顔をしているこの人は毎朝同じ時間に来店し、同じものを注文する。
    ──日替わりを、ホットのトールで。
    僅か数秒の素っ気ないアルトは深い響きの中に甘さがのぞくような、まるでコーヒーみたいだ。毎日繰り返されるこの短いやり取りで、ネロはああ今日も一日が始まったなと感じるようになった。
    「……なに、先生って」
    「社員証。ここのビルの弁護士事務所のやつでしょう?だから先生」
    オフホワイトのジャケットの上で揺れる小さなカード。常連さんの顔を覚えるのも仕事のうちだと習慣づいているネロからすれば、この人がどの企業のどちらさまかを把握することはさほど難しくない。今回は氏名欄が見えづらく、社名だけで判断した。
    「弁護士になる試験ってめちゃくちゃ難しいって聞いたことありますよ。すごいですね」
    「……別に。試験に受かったのは運がよかっただけ」
    「んー、そうかもしれないですけど。でも試験受けるまでずっと勉強して、ずっと努力をしてきたってことだろ?そのことがすごいと思いますけど」
    努力をし続けることはとても難しい。努力をしても夢は叶わないし、言い換えれば叶うかもしれない確率がちょっと上がるだけ。かけてきた時間もお金も、全てが無駄になる場合の方が多いくらいだと思う。
    そんな不確かな足場の上でも『かもしれない』を信じ、全てが無駄になる覚悟すら背負って努力し続けられる人こそが、ネロは真の天才だと思う。
    嘘偽りはない。本当のことで、ただの事実としてネロの口から零れ落ちたのだが。
    目の前の人が驚いたような顔をしていたので、ネロの方がなんだか驚いてしまった。
    「あー……すみません、変なこと言った」
    「いや……」
    ここで渡しちゃいますね、と誤魔化すようにカウンターに背を向ける。白いカップにポットから茶色い液体を注ぎ、キャラメル色のスリーブを被せる。
    お待たせしましたといつもの笑顔を顔に貼り付けて振り向くと、目の前の人はどこかくすぐったそうな笑みを浮かべていた。
    「……そんなふうに言われたのは君が初めてだな」
    思案するように一瞬顔を背け、再びネロを正面から見据える。窓から入り込む朝日を受けて二対のアメジストがきらきらとひかっている。
    「ファウスト」
    「え?」
    「僕の名前。ファウスト・ラウィーニア」
    呆けているうちにカップがネロの手からファウストの手へと渡る。ありがとう、と受け取り際に一瞬触れた指先がほのかにあたたかかったのは、果たしてコーヒーの熱のせいだろうか。
    「君は」
    「へ?」
    「名前。僕だけ自己紹介しているとか、ばかみたいだろう」
    「え、あー……ネロ。ネロ・ターナー、です……」
    「ネロ」
    「はい……」
    しどろもどろになりながら答える。店員さん、と呼ばれることに慣れきっていたので、今更名前で呼ばれることはなんというか、友達ができたみたいで胸の奥がこそばゆい。
    「ふふ、ネロ。無理して敬語使わなくていいよ。へたくそだし」
    「……不慣れながら頑張ってたんだけど……」
    ひでぇなファウスト、と嘆くとそれがいいよと笑った。
    朝の店頭でいい年した成人男性同士が何をしているんだか、と思う。これで趣味でも聞き出したら本当にお見合いにでもなりそうだ。朝のコーヒーショップから始まるラブロマンス、とか。まぁ、悪くないけど。
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    ☺☺☺💗💗💗💗💗💗💗👏👏👏❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤👏👏👏👏
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    sigu_mhyk

    DONE1日1ネファネチャレンジ 85
    魔法舎 ネロ+ファウスト(まだ付き合ってない)
    発火装置晩酌の場所が中庭からネロの部屋に。
    テーブルに向き合って座ることから、ベッドに並んで座るように。
    回数を重ねるごとに距離は近付き、互いの体温も匂いもじわりと肌に届く距離を許してもなお、隣に座る友人の男は決心がつかないらしくなかなか手を出してこない。
    手を僅かに浮かせてこちらに伸ばすかと思えば、ぱたりと諦めたように再びシーツの海に戻る。じりじりと近付きながら、数センチ進んだところでぎゅうとシーツを握り締め、まるでそこにしがみつくように留まる。
    ベッドについた二人の手の間、中途半端に開いた拳ひとつ分の距離。ネロの気後れが滲むこの空間をチラリと視線だけで伺って、密かに息をついた。
    よく分からないが魚らしき生き物も、毒々しい色をした野菜らしき植物にも。鋭く研がれた刃物にも、熱く煮えた鍋にも、炎をあげるフライパンにすら恐れることなく涼しい顔で手を伸ばすネロは、そのくせファウストの手を同じように掴むことができないでいる。刃物よりずっとやわらかく、コンロに灯るとろ火よりも冷たいファウストの手は、ネロの手の感触を知らないで今日まできた。
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