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    sigu_mhyk

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    1日1ネファネチャレンジ 24
    魔法舎 ネロファウ

    ##1日1ネファネチャレンジ

    花占い花占いです、とミチルとリケに差し出された花を握り、ファウストは魔法舎の裏庭に座り込んでいた。

    花占い。幾つかの選択肢の一つを、花弁を一枚ずつむしった最後の一枚で決めるおまじないの一種。
    『今日のおやつはなんでしょう?パンケーキ、クッキー、プリン……』
    何とも可愛らしい占いをしていた二人の傍をたまたま通りかかったファウストは、ファウストさんもやってみてください!と満面の笑みで白い花を渡された。きらきらと輝く二人の眼差しにいや僕は、と断ることも忍びなく、言われるがままに受け取ってしまった。
    『今すぐには思い付かないから、後で考えてやってみるよ』
    嬉しそうに顔を見合わせた二人がキッチンへ駆けていく。どうやら今日のおやつはパンケーキという占い結果が出たらしい。仲睦まじい後ろ姿を見送りながら、微笑ましくて何よりだとファウストは顔を綻ばせた。

    さて、どうしたものか。
    ファウストは渡された白い花を弄びながら息をついた。猫舞の穗と勘違いした猫がじゃれつこうとするのをだめだよと諌める。
    占いといっても、星の動きを読んだり、呪術的な要素が絡むものではない。言ってしまえば、花弁の枚数さえ分かっていれば望む答えを得ることができる。ここまで花弁の多い花では困難だが、その程度のままごとめいた戯れだ。
    「お前たち、何かあるかな」
    ころころと転がる猫達を撫でてやりながら、ファウストは返答の望めない問いを投げかける。にゃあん、なおん。よく晴れた空の下で、平和そうな鳴き声だけが響く。

    いい天気だ、本当に。
    雲ひとつない空は、あの子の髪色に似ている。

    「…………」
    どちらの結果が出たとしても、所詮お遊びだと笑い飛ばせるように。
    本気じゃなかったと、目を背けられるように。
    ファウストは、白い花弁のひとつを指でつまんで、ぷちりとむしった。

    「……ネロは、僕のことが」
    好き。
    好きじゃない。
    好き。
    好きじゃない。
    好き。
    好きじゃない。

    ファウストの足元に花弁が積もってゆく。
    最初は一緒にいて過ごしやすい相手だと思っていた。互いに必要以上に介入しない距離感と、時折向けられる年長者らしい気遣い。少しずつ距離を縮めていって、晩酌を共にするようになって。心根に抱えた優しさと寂しさに触れて。
    ファウストの中でネロという存在の輪郭がはっきりしてきた頃には、既に好意を抱いていた。重ねた時間が信頼から好意に変わっていたことに驚きはしたものの、腹落ちはした。人として好意的に思っているのだから、それはそうなるだろう、と。
    ネロに訊ねたことも、訊ねるつもりもない。これはファウストだけの、なんの根拠も無い身勝手な占いだ。自己満足とも言う。

    「……好き」

    だから、最後の一枚がそういう結果になっても別に構わなかったし、今後彼との接し方を変えるつもりも無かった。何も変わらない。いつも通りを重ねていくだけ。



    「大好き」



    背後からするりと伸びた腕が最後の一枚をぷちん、とむしる。
    突如さした影に天を見上げれば、今しがたずっと考えていたその人が立っていて。
    名前を呼ぼうとした。それより早く、身を屈めた彼とファウストの距離がゼロになる。

    はらり。茎と葉だけになった花がファウストの手から滑り落ちた。
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    sigu_mhyk

    DONE1日1ネファネチャレンジ 85
    魔法舎 ネロ+ファウスト(まだ付き合ってない)
    発火装置晩酌の場所が中庭からネロの部屋に。
    テーブルに向き合って座ることから、ベッドに並んで座るように。
    回数を重ねるごとに距離は近付き、互いの体温も匂いもじわりと肌に届く距離を許してもなお、隣に座る友人の男は決心がつかないらしくなかなか手を出してこない。
    手を僅かに浮かせてこちらに伸ばすかと思えば、ぱたりと諦めたように再びシーツの海に戻る。じりじりと近付きながら、数センチ進んだところでぎゅうとシーツを握り締め、まるでそこにしがみつくように留まる。
    ベッドについた二人の手の間、中途半端に開いた拳ひとつ分の距離。ネロの気後れが滲むこの空間をチラリと視線だけで伺って、密かに息をついた。
    よく分からないが魚らしき生き物も、毒々しい色をした野菜らしき植物にも。鋭く研がれた刃物にも、熱く煮えた鍋にも、炎をあげるフライパンにすら恐れることなく涼しい顔で手を伸ばすネロは、そのくせファウストの手を同じように掴むことができないでいる。刃物よりずっとやわらかく、コンロに灯るとろ火よりも冷たいファウストの手は、ネロの手の感触を知らないで今日まできた。
    2216

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