フェス伊×ハウスキーパーぐだ♂重い足取りでふらふらと夜道を歩く。いつもの灰色のジャケットに黒のパンツ姿だが所々に血や擦ったような跡が目立ち見た者が思わずびっくりするような出で立ち。仕事帰りであるが顔には生気がない。仕事に疲れて、というのも間違いでもなかったがそれ以上に伊織を苦しめていたのはとある人物との別れだった。
「(……立香)」
藤丸立香。つい数年まで伊織の自宅でハウスキーパーとして雇われていた人物。明るく朗らかな性格と何より家事の働き……とりわけ料理の腕に胃袋を掴まれてしまい浅慮ながら愛人としても重宝していた。それまでにも何人かハウスキーパーを雇ってはいたが自身との相性が良くなくて数ヶ月程度で皆辞めていった。そんな時にボスの口利きでとある紹介所から派遣されてきたのが立香だった。
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