空っぽの家 ガチャリ。金属音を落として鍵が回る。建て付けの悪くなった戸を開けば、木の軋む音がした。
「っ、ゲホッ。さすがに埃っぽくなってるな〜〜」
戸を大きく開くと、埃が舞い上がった。うっかり埃を吸い込んで、軽く咳き込む。
アルディアからの攻撃は収まっているとはいえ、日々小競り合いやモンスターの出現など、自警団はサニア公女不在の間も目まぐるしく動いている。ここに来るのももっと早く……と思っていたのが、随分と日が空いてしまった。ヴァリオが自警団を去ってからも、なんとなく放ったらかしにするのも嫌で、こうして時折家の掃除に来ていた。
いつも通り、手当たり次第に窓を開けていく。まずは空気を入れ替えたい。それから、箒で床を掃く。バケツに水を汲んで床も磨いていく。まだ夏本番とは言えない時期だが、それでもこうやって動けば汗ばむ。
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