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    kow_7726

    @kow_7726

    忘羨、曦澄に日々救われる。

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    kow_7726

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    下戸藍湛×バーテン魏嬰
    〜パニック編〜

    #忘羨
    WangXian

    ノンアルコール・モヒート!(7) 何の疑いなく、酒を口にした藍湛はというと。
    「友達になってくれて、ありがとう…」
     と言って俯いたきり、動かなくなった。流石にこのリアクションは初めてだった。
     え、大丈夫か?息してる?
     慌てて近寄り呼吸を確認する。結論から言うと、寝ているらしい。生きてる事に安堵したのも初めてだった。
     マジか……マジか。このひと口で寝るのは…想定外だった。これは、うん、立派な下戸だ。
     起きるまでこの姿勢でいるのか…と考えながら寝顔を眺める。寝顔まで美しい。触れていいのか、と考える前に手が出ていた。
     横髪をそっと耳に掛けてやり、長い睫毛が落とす影を眺める。ぶっちゃけ、誰かに触れられるのは嫌いだし、自分から触れる事すら嫌だった。けれど藍湛には、吸い込まれるように触れてしまう自分に驚きを隠せない。
    「藍湛………」
     名を呼ぶ。口付けをしたい衝動に駆られる。どうして人は、口付けをしたくなるのだろう。どうして人は、好きな人に触れたくなるのだろう。どうして人は、人を好きになるのだろう…
     そんなことを考えて、はっとして手を離そうとした瞬間。その手を掴まれた。
    「…ッ!起きてたのか…?」
     目を開け、常と同じ冷静な瞳で見つめられる。間近にある琥珀色の瞳は美しく、吸い込まれそうな程に澄んだまま己を見ていた。
    「……藍湛?」
     握られた手は指を絡めるように、握り直される。心臓が張り裂ける程に忙しなく鼓動を脈打つ。握ったその手に、その手の甲に…頬を寄せた。
     もしかして、もしかしてだけど…酔ってる…?
    「藍湛、大丈夫か?」
     目の前で空いた手をひらひらさせる。しかしその舞う手は視界に入らないと言うように真っ直ぐ、俺の瞳を見つめてきていた。
     ……酔ってる。寝てから酔った……
     手を振るのを止めて、頬に触れる手の甲に意識が行く。思いの外熱い。ギュッと胸を鷲掴みにされたように動けなくなる。藍湛は真っ直ぐこちらを見たまま、立ち上がる。
     距離を余計に詰められて、俺は一歩後退る。その分、いやそれ以上に藍湛が詰めてきて、どんどん後退する。カウンターの椅子にぶつかり、それを避けてカウンターギリギリまで退る。詰め寄ってくる藍湛に、とうとう追い詰められた。
     あれ、何でこんな事になってんだっけ…
     パニックになる頭の中で、冷静な俺もいて。そんな事をぼんやり考えながら間近の顔を眺める。きりっとした眉に通った鼻筋。厚過ぎない唇。そして、綺麗な目。
     その顔が、近付いてきて唇が触れ合った。
     その瞬間、俺はもう、完全パニックだ。唇なんて誰にも許した事がない、ファーストキス。厚い胸板を押すも、それ以上の力で抱き締められる。握られた手にも力が込められた。
    「……んん!」
     唇を吸われ、啄まれ、舐められ。初めての感触に背筋が震える。思わず開いた唇の隙間から、舌が差し込まれた。怯えて身が竦む。硬直した体を溶かすように、口の中を舐められ舌を絡め取られる。
    「…んっ……ふ…ぁ……」
     ぞくぞくする。膝を擦り合わせたくなるような、むずむずした感じは初めてで。唾液すら啜るような口付けを、どれだけしていただろうか。
     ゆっくり唇が離れた時には息も絶え絶えになっていた。意識に膜が掛かったみたいにぼんやりする。酸欠かもしれない。くらくらする。
    「藍湛………」
     名を呼ぶと、彼の瞳に微細な変化があった。今まで揺らぐ事なかった瞳が揺らいだのだ。
    「……魏嬰……私は………」
     顔面蒼白だ。この状況で、酔いが醒めたのだ。状況から見て、何があったのかは想像に容易い。藍湛はそっと身を退いた。視点が定まらない程動揺をしているのが目に見えてわかる。
    「……藍湛、あの…さ」
    「すまない魏嬰。今夜は……帰らせてもらう」
     遮るように謝罪したかと思うと、鞄を持って身を翻す。扉を開けようとして鍵が掛かっている事に気付き、焦った仕草で解錠して姿を消した。
     怒涛のような出来事に、俺はただただ呆然とするしかなかった。
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    DONE※シブに魏嬰の分と結をまとめてUP済。
    このあとは結書く。
    実は龍の化身である藍忘機の話藍湛視点


     藍忘機は緊張していた。何故なら魏無羨と恋仲になれたのはいいが、絶対に受け入れてもらわねばならない大きな秘密があったからだ。思いが通じ合ったのは天にも昇る心地であったが、これから明かさねばならない秘密が、藍忘機の心を深く沈めていた。

     藍忘機は龍の化身である。

     いや正確に言うならば龍神の使いなのである。藍氏本家直系は龍神の使いとして代々、人の身と龍の身、この二つの身を持っているのである。

     しかしそれを知るものは直系の人間とその伴侶以外いない。

     外弟子は当然ながら、内弟子でも知らぬことだ。しかし逆に伴侶は知らねばならない。知って、この事実を受け入れなければならない。何故ならば直系の子との間に子を産めば、それは龍の身となって産まれてくるからだ。大抵の者は自らの産んだ子を見て発狂する。母が二人も産めたのは今にして思えば奇跡だと、否、二人目までは大丈夫な者も多いのだそう。次こそはと願いその希望が叶わなかった時、ぽきりと心が折れてしまうと、いつだったか聞いた。それでも愛しまぐわうならば知らねばならない。龍の精を受け入れれば、男女に関係なく孕んでしまうのだから。
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