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    eikokurobin

    @eikokurobin

    レニ/右爆/轟爆
    眠れぬ夜の小さな図書館

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    轟爆/プロヒ/R18風味

    #轟爆
    bombardment

    春の夜 まだ寒い春の日、仕事を終えて帰り支度をしている途中、見計ったようにスマホに届いたのは轟からのメッセージ。ばくごう、助けてくれって、またかこのハイエナめ。

     プロヒーローになって3ヶ月が過ぎた頃、偶然現場で出会した轟は何ともボロっちかった。捨てられた大型犬という言葉がピッタリといったところか?

     プロになって以来一度も美容院に行っていないんじゃないかと思われし伸びた髪、決して濃くはないが至近距離でチェックすれば解る無精髭、伸びた爪先の荒れはビタミン不足、

     そのあまりにボロっちさに呆れた俺から幾つもの暴言を浴びた後、ツラだけはイイ男は縋るような目をして言ったのだ、ばくごう、助けてくれと。

    『お前みたいに器用に色々やれねえ、仕事だけはしっかりやっているが後は全部おざなりになっちまう、今もスゲェ眠ぃ、腹減った、眠ぃ』

     お前も出久と一緒で飯たかりか、すると何故かギラリとした目で緑谷も爆豪のところに飯食いにくるのかと訊くから、

    『何で俺がアイツに飯食わせなきゃなんねーんだよ、引子サン所に行けって言っとるわ』

     言ってからそうだコイツには飯を作ってくれる母親は居ないんだったと思い出し、料理上手な姉ももう結婚しているだろうと思っているうちに何となく口にしてしまった、

    『飯ぐらい食わせたる』

     言ってしまってから飯だけだからなと今にも寝落ちしそうな男に念を押しておく、これはお泊まりコースだなと確信しながら。

    +++

    『助かった、ありがとうな』

     駆け出しの頃ならともかく今なら自分でも何とか出来るだろうに、こうして甘えてくる轟が一体俺に何を求めているのか、友達にしちゃ甘え過ぎだし、俺のしていることは多分世間で言うところのオカンポジ、そして同じく世間の尺度に当てはめるならきっとそのMIXは恋人ポジだ。

    (轟の恋人ねェ)

     ねェわ、だって、轟には沢山恋人がいるのだ。一度に何人もと付き合っているのか、それとも短いスパンで付き合ったり別れたりしているのか、よく知らねェし知りたくもないけど本人に聞いたらそんなのがいたなって言うからきっとそうで、

     だったらこうして飯作ってる俺はコイツにとって何なんだろう? あまつさえこの後、

    『爆豪、今晩泊まっていってもいいか?』

     終電がなくなる時間まで居座っておいてからのこの流れ、確信犯なのかそれとも本当に天然なのか?天然じゃねェか、飯だけじゃ食い足りねェと俺の身体にまで手を出す花より団子なこの男に、今夜も身体を開かれてしまうのだから。

    『そろそろ入れてもいいか?』

    『俺に拒否権与える気ねェクセに訊くか?好きにしろや』

     身体を重ねても恋人じゃねェなら俺は単なる性欲処理の道具なのか。抱いている時はこの上なく丁寧に扱ってくれる轟が何を考えているのか解らなくて、考えても考えても出口のない迷路を彷徨う不安を払拭するために与えられる快楽に溺れて頭を空っぽにして、翌朝腹の中にたっぷり詰まった轟の欲をドロリと溢しながら、空っぽなのか満たされているのか解らない俺の身体を抱き締めて眠る轟の顔を眺める、

     それは轟に好き勝手させてやった俺への駄賃、俺は団子より花なのだ、この美しい男を眺めていられるなら、飯も強制的に与えられる快楽もいらねェ。

    +++

     雄英2年生を半分過ぎた頃だろうか、爆豪のことが好き過ぎて苦しくなった。男の身体ってのは好きになると解りやすくチンコが立つ、ああ俺は爆豪とセックスしたいのか。自分の身体に教えられたけれど、どうやって爆豪にアプローチすれば良いのか解らなくて、

     そうこうしているうちに恋愛にうつつを抜かしている間もなく月日は経ってあっという間に卒業して、これでもう爆豪と会えなくなると思った俺は自暴自棄、がむしゃらに仕事を引き受けてボロボロになって収集つかなくなった頃に偶然爆豪に再会した俺はいの一番に爆豪に助けを求めた。

     潔癖症の爆豪だ、てっきり拒絶されると思ったのに、俺に美味い飯を食わせてくれ泊めてもくれた。ずっと焦がれていた爆豪の部屋、目の前の妄想じゃない現実の爆豪を前に俺はとても理性を保っていられず甘え倒した。

     以来俺は味を占め、何度目かの訪問を経て我慢できずに爆豪を押し倒して抱いた。爆豪はスゲェ驚いた顔をしたけれど俺の行為を拒絶せず、

    『こういうことは好きな女としろよ』

     とだけ言った。好きな女?そんなのいねえのに、だから俺は、

    『女とはこんなことしねえ』

     今にして思えばその言い方が悪かったのだろう。タイミングも悪かった、なにせその時俺は爆豪の中に思い切り中出ししていたのだから。俺が爆豪を妊娠しない都合のいい穴扱いしていると会話の齟齬から爆豪に勘違いさせちまった。SNSにわんさか沸いてくる【ショートの女】を名乗る奴らを面倒だからと野放しにしたのもいけなかった。まさかソイツらが爆豪のSNSに合成した俺とのツーショットを送りつけていたなんて、

     俺がどうにか爆豪の恋人になれないかと必死になっていることなんて世間にはダダ漏れだったのに、当のお前だけには伝わらなくて、気が付いたらこんなに思い詰めさせてしまった。

    『爆豪、起きてくれ』

     眠り続ける爆豪の身体には生命維持の点滴が幾つか繋いである。俺の腕の中で眠りに落ちたまま目を覚まさなくなった爆豪は、いつの頃からか食えなくなっていたという。

    『この検査の数値からすると、もう2週間くらい碌に食べていなかったと思います』

     そんなにまで追い詰めてしまった、でも、まだ俺はちゃんとお前に気持ちを伝えていない。お前には聞いてほしい、お前がもしも俺のことをまだ少しでも好きでいてくれるなら、今度こそ俺は真っ直ぐに気持ちを伝えるから、

    『お前のことが、お前だけが好きなんだ』

     何度か繰り返していると僅かに瞼が持ち上がる、

     耳元でうるせーな、

     ああ、もっと煩くしてやる。何なら世界中のSNSに拡散されるよう窓から大声で叫んでやるぞ、

    『やめとけ大炎上するわ…ずっと、聞いてみたかった。俺はお前の何なんだ?』

    『今日までは片想いの相手だった、そして今からは俺の恋人だ。実はもうSNSにはそう書いちまったし既に大炎上している最中だから安心しろ』

     何だそのジョークはっ、て涙を浮かべて笑い出した恋人にジョークじゃねえって言うのは後回しにして、随分と痩せてしまった愛しい人を力一杯抱き締めると、弱々しく抱き返してくれ、

     それが無性に嬉しくて、俺は久方ぶりにボロ泣きした。
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