冬の夜の会話:司レオさむいな
ええ、さむいですね
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「『凍えそう』だなんて、それだけをメッセージで送ってくるのはやめて下さい」
弓道場の射場に正座をして、そんなことをじとりと唱えてみたところで、あまり手応えもなく、彼の後頭部に当たって跳ね返ってくる。
「ごめんごめん! メッセージ入れてたの忘れててさ!」
しんと冷えた空気の中で、レオの明るい声がうわんと反響し、その響きはゆっくりと時間をかけて収束した。
「寒いなぁって思ったら、何だか会いたくなっちゃって!」
そんな風にあっけらかんと笑う、能天気な調子のレオは、寒波の注意報が出ている今日のような日であっても普段と変わらない。この人は、こと作曲において、自身の身体を顧みるということをしない人だ。だからこそ、司は常々彼を心配していて、その動向を気にかけている。
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