髪を乾かす前に大浴場でエッチする話(仮)イングランド棟 大浴場。
「んでさ、あの後半のパスだけど、次はもうちょい低めでもいけると思うんだよな」
「うん」
薄白い湯気が立ちこめる中、広い湯船から、2人の会話の隙間でちゃぷ、ちゃぷ、と水面が波打つ音がする。
さっきまでラッコみたいに仰向けで湯船を泳いでいた凪は、湯船の縁に背をつけて足を伸ばすと小さくバタ足をしている。
隣に凪がいる。
隣で凪の声がする。
それだけで自分の口角が上がるのがわかる。
「レオ、ごきげんだね?」
ふふっと凪が小さく笑う。正確には"笑ったように見える"程度の変化だが、凪の表情の変化を俺が見逃す訳がない。
「ん?」
「鼻歌歌ってた」
仕方ねぇだろ、実際嬉しいんだし。同じように湯の中で足を伸ばすと、凪が肩に頭をのせてくる。
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