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    mituguu

    @mitu_25pupu

    20↑|🔞腐向け小説を書く文字書き|アクナイ銀博♂︎中心|完成版は支部にて↓
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    mituguu

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    【銀博♂】花を吐き続けるやまいになった博の話|博の顔はボカシ気味|まだ途中なのでシリをばしばし叩いてやってくださいまし|なつかしいネタをやってみたかったなどと供述しておry

    #銀博♂
    #アークナイツ
    arkKnights
    #腐向け
    Rot

    唾液と一緒に洗面台へ散らばったのは、白と赤が交じった花びら。白地のタイル地な洗面台に、まばらに落ちる赤い花弁は目を引く。
    今まで二色の花びらを吐いた事はなかった。隔離生活をして二日目、ついに病状が進行したのかと、ドクターは唇を引き絞った。
    荒れた息を整えようと、シャツ越しに胸を撫でる。
    「はぁ、はぁ」
    慣れてはきたが、咥内から花を吐くのも連日だと結構辛い。文字にしたら甘美なのだろうが、実際は体力の消耗が著しいものだ。
    洗面台に散った蘭を思わせる尖った花びらを一枚摘まんで、ドクターは採取袋に丁寧にしまい込む。二色の花は初めて吐いたから、サンプルとして保存しておく。
    鉱石病の患者に反感を持つ者が、飲み物に混ぜた液体が原因で、ドクターは花びらを嘔吐する症状が出ている。
    病にも呼称が必要なので「花吐き病」と一時的に名をつけてみた。
    採取袋を洗面台に置き、蛇口を捻ると白と赤い花びらが、サーッと音をたてて排水溝に流れてゆく。
    口に水を含んで吐き出すが、嘔吐感はない。水の風味は感じるが、花のかおりは得ない。
    今のところ、花びらを吐く以外の症状はないが、未確認の部分が多くドクターは自ら隔離を願い出た。
    現在は食欲もあり、熱も咳などもなし。
    しかし一定の間隔で、花びらを吐くだけの症状なのが不可思議だ。一体なにを目的として、花を吐き出させているのだろう。
    ロドスに強い恨みを持つのなら、致死性の毒を与えてきても良さそうなのに。けれども花びらを吐くだけなのが謎すぎる。
    しかも嘔吐したら、とった食事も出てきてしまいそうだが不思議なもので、花びらのみを吐き続けるだけが続いていた。
    「はぁー」と溜め息を吐く。
    げっそりとした、青白い顔色の男が洗面台の鏡に映っている。
    幾ら花のみを吐くとはいえ、体力は消耗してゆく。
    そこを狙い、徐々に体を弱らせて殺そうというなら、実に遠回しな方法だ。
    映画や小説の類いではないのだし、効率が悪そうだけれども、相手方の情報が少ないので断言できない。
    腫れぼったい瞼のしたに、大げさなクマが鎮座しており、皮膚を指先で引いてみる。伸ばしても薄くはならないけど、ちょっとマシになりたい。
    ふと、ベットに放り投げたスマートフォンが、無機質な電子音をたてていた。
    「はいはい」
    誰も居ないのに、軽い返事をして足早に呼んでいるスマートフォンまで行く。
    目映い光を放つ画面上には、予想していなかった名前がいた。
    『シルバーアッシュ』
    友人にしては異常に距離の近い大型フェリーンであるシルバーアッシュ。やたらと良い声と顔で、日夜構わず囁かれる言葉は友というカテゴリにそぐわない程に甘い。
    ついつい勘違いをしてしまいそうになるが、相手方はなにかの目的を得ようとしてるに違いないと推察する。
    そうでないと、懇切丁寧にドクターへ接する意味が分からない。
    (…話したくないな)
    あの落ち着いた声で哀れむ言葉を聞きたくなかった。なんの為に一人で隔離をすると手を上げたのか。
    誰にも花吐き病を移したくないけど、ことさらシルバーアッシュには移したくない。
    それに心配する声も聞きたくない、同情なんてもってのほか。
    少しくらいは格好つけて、ひとりで処理しておきたい。せめて疲れた声音にならないようにと、咳ばらいをした刹那。
    着信を取ろうとスマートフォンの画面へ落としたドクターの目が滑った。
    「う、ぐっ!」
    慌てて口元を抑えたが、せり上がってきた吐き気に間に合わない。
    唾液と一緒に落ちてきたのは、白い蘭の花びら。手袋を外した指の隙間から、蘭の花弁がはらりはらりと落ちてゆく。
    「ごほっ、ごほっ」と咳き込むと、花びらに続いて蘭の花そのものが出てきた。
    症状が進んでいる。花弁から進行し、花柄まで出てきてしまった。
    このまま行けば花の茎まで吐いてくるのかと想像したら、息苦しくなる。
    「ははっ」
    乾いた声で笑ってしまう。隔離をしている部屋の個室で、花を吐き続けている。
    足下に、ぽたりぽたりと白い洋蘭の花が落ちてゆく。
    いつか蘭の花に囲まれて、体力を消耗して死ぬのだろうか。それとも喉に茎が詰まって窒息するのか。
    見た目は甘美かもしれない、なかなか斬新な殺し方だ。
    いつしかシルバーアッシュからの着信は止んでいた。ドクターは蘭の花を吐き続けながら、洗面台へ歩いて行く。
    こちらからシルバーアッシュへかける気力も余裕もない。
    短い距離なのに、とてつもない疲労感を得てしまい、壁に手をついて身体を支えながら歩く。洗面台についた途端、耐えきれずに溢れんばかりの洋蘭をわっと吐き出した。
    ついには立っていられなくなり、ドレッシングルームの床に座り込んで白い花柄をただ嘔吐する。
    (…なんで、急に酷くなったんだ?)
    突然せきを切ったように洋蘭の花を吐き出し続けてしまう。時間差で発動する毒なのかと考えている思考を遮るように、激しい嘔吐感が襲ってきて白い花を吐く。
    「げほっ、がはっ!」
    続く吐き気で涙と涎が溢れて、視界が眩み、よく見えない。白い床を埋める洋蘭のかおりと花から、逃れるようにバスルームに身を滑り込ませた。
    もちろん病が消える訳ではない、花を嘔吐する状態は続いている。
    浴槽に寄りかかって蘭を吐き出していたら、シルバーアッシュからの着信を取れば良かったと後悔が襲ってきた。
    このまま本当に茎が喉に詰まって窒息するなら、忌々しいほどに澄んだ声を聞いておけば…と悔いが押し寄せる。
    「げほっ、おぇっ」と強い吐き気に浴槽の縁を掴んで、口から出したのは白い薔薇だった。もう花びらではなく、花柄まであるおおぶりな薔薇が溢れ出る。
    かぐわしい薔薇は美しくて、香りが強い。
    「ははっ」
    また乾いた声で笑ってしまった。急激に悪化しているのに、美しい香りと見た目の花を吐くようになるのは、趣味が悪い殺し方すぎて小説にも出て来ないだろう。
    白い蘭と薔薇に囲まれて、死を待つ記憶喪失の男。
    まるで映画のワンシーンような光景だ。どうせ想像の世界のようなら、一等うつくしいと思う人間からの電話に出れば良かった。
    (…出ないほうが、映画っぽのかな)
    脚本的にはすれ違ったほうが盛り上がるだろうが、実際には後悔が残る。ついには耳鳴りがし出したのか、どんどんと壁を叩くような音がする。
    「盟友」
    シルバーアッシュの低い落ち着いた声が、遠くから聞こえる気がした。




    この後に銀灰さんに凸ってきて頂く予定です(言い方
    頑張ります
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