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    mituguu

    @mitu_25pupu

    20↑|🔞腐向け小説を書く文字書き|アクナイ銀博♂︎中心|完成版は支部にて↓
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    mituguu

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    【銀博♂】銀灰が先に博を発見し嫁にした話の銀灰視点|全て捏造しかない|いつもよりワルな銀灰で博を利用としているが後にがちにヨメにしたくなります

    #銀博♂
    #アークナイツ
    arkKnights
    #腐向け
    Rot

    それはまさに棺で、一目見たとき私は亡骸ではないのかと思った。厳重に閉じられた棺から出てきた人間は、死者と呼んでもいいような華奢な姿をしている。
    「ここどこ…」と虚ろな表情で、か細い声で話す姿はとても生きていると思えなかった。
    差し伸べた私の手を遠慮がちに受け取ったとき、生きているなと、確認できたほどだ。
    擦り切れたカードに製薬会社のエンブレム付きのコート。一瞥すれば、会社勤めのただの医師だとみえそうだ。
    けれども、ただの医師を棺に閉じ込めるほどロドスという組織は暇な様子はない。
    死者を起こして、無理に生き返らせたような希薄な姿。中身のない虚ろな人間に最初は思えていたのだが、日々を過ごす程にその異常な姿に気がついた。
    軍の部隊数を見ただけで、実際に配置されているポイントを言い当てたではないか。記憶喪失で役職は『ドクター』という人間が、軍隊の行動と指揮系統を理解している。
    (…これはただの医師ではない)
    無駄のない指揮に、長い経験と知識が覗える。記憶を失っても、そつなく熟すという事は充分なほどの指揮官経験があるということだ。
    有事の経験とは積みたくても、そうそう出来るものではない。この大陸では日々、争いが起こっているが、それ全てに対応できる知識を持てる人間は少ないだろう。
    だが、この『ドクター』は環境適応能力も高かった。イェラグほどの雪国はないはずなのだが、雪などの災害に左右されず指揮を行える。
    亡骸と思われた人間は、私にも表現のしようがない素質を持っていた。
    こんな人間、見たことも聞いたこともない。
    棺にしまい込み、眠らせておくべき存在。
    つまりは隠すべき存在なのかと推察しても、納得してしまう程の異質さがある。
    最初は同僚になってくれと頼んでみたが、ドクターはふたつ返事で許可をした。
    披露された知識に、ここへ留めておく必要があると感じていたからだ。
    記憶喪失になっているから平気だろうと踏んでいたが、異様な程の指揮官ぶりに急に予定を変更せざるを得ない。
    友人から、我が家に嫁に来てくれという頼みには、些か抵抗をされた。
    ときには隙をみて逃げられたり、耳先まで真っ赤になって固まったりと、想像とは正反対な仕草をされて驚いた。
    そんな初々しい姿を、私は求めていなかったからだ。まるでおとぎ話の、白雪姫のようだと万人が喜びそうな表現を使って、私はドクターを嫁にすることに成功した。
    もし記憶が戻り、意見をして邪魔になるようなら、口約束だったと終わらせてしまえばいい。
    それよりも、この異質なドクターを他へ渡すことが、あってはならない。きっと大きな脅威になる。
    とにかく、家に入れてしまえば、その後は私が自由にして良いだろう。
    本人がどう考えているのか、分からないものの不満そうな様子はない。私の嫁になったからと、意欲的に仕事を手伝いたいと申し出てくる。
    そのわりに体力がないようで、情事のあとにはぐったりとベットに横たわっているのだ。逃げるにも力がなく、快楽に弱くて私に従順な姿をみせている。
    オークションでの買い物は、想像よりも安くすんでしまったようだ。



    「ロドスも、なりふり構ってられなくなった様です」と言いながら、ヤーカは私に一枚の写真を手渡した。
    幾度か、やりとりをしているケルシー女史が、雑踏を背景に映っている。彼女が前線へ出て探しているものは『棺』なのだという。
    私がオークションで買い取ったドクターが入った棺を、製薬会社のロドスが探し回っている。
    擦り切れたカード、そしてドクターが着用していたフード付きのコートには、この製薬会社のエンブレムがあった。
    もちろん気がついてはいたが、こちらから親切に問い合わせるほど、お人好しではない。しかし必死で探し回るほどの存在ではあると私も感じている。
    ただのドクターではない、これで証明できた。
    「こちらまでたどり着くのも、時間はかからなそうです。コンタクトは…」
    「いいや―」とヤーカに間髪入れずに答える。
    「たどり着くまで、待ってやろう」
    ロドス製薬、今後の為にもよりよい関係を築きたいが、取引の駒は手元に多いほうが楽になる。
    私は最大の駒を手にしている、嫁という立場のドクターを。
    ケルシー女史は非常に嫌がるだろうが、高見の見物というものをさせてもらう事にする。
    やはりシルバーアッシュ家に嫁がせておいて良かった。今回のゲームは私が早く上がらせてもらえそうだ。



    つづく…
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