重なる想いは本物へあの日から、1ヶ月か。
珍しく暇な午前中、地味ではあるがその実最も大切と言える事務作業に徹していたサニーは、壁に掛かったアナログ時計を見てふとそう思った。
「何が1ヶ月、なんだ?」
声に出ていたらしい。
溜め息を吐いて煩わしそうに、その声がした方向を向く。
そこには、機密情報が並んだ棚に腰掛ける、派手な服装の男の姿があった。
「ユーゴ、帰ってくれ。同僚でも先輩でも、誰か帰ってきたら確実に俺が叱られる」
そこにいたのは、音楽で生計を立てており、そのおかげで昼間は専ら暇をしている友人だった。
今朝出勤途中にたまたま出会い、今日本部でひとり留守番なんだ、とぽろっと口にしたところ、何故かそのまま付いてきたのだった。
「13時まで誰も帰ってこないって言ったのお前じゃんか」
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