学パロ ハンバーガーいっぱい食べるルカかわいいねの話
僕が持つとそうでもないのに、ルカが持つとハンバーガーは途端に小さく見えた。包み紙を半分剥がして、ぐわっと大きな口を開けて、ばくっとかぶりつく。おお。ちょっと圧倒されちゃった。
そしてもう一口。その時にはもう、ルカの手に残っているハンバーガーは少ししかなくて、次の一口で全部なくなってしまった。
おお、早い…。いや、何回かこの光景は見ているけど、何回見てもすごいんだよね。
「んむ」
「へ?」
ルカは指を紙ナプキンで拭くと、僕の手元のハンバーガーを指さした。
「食べないの?」
「きみ、飲み込むのも早いよね」
「え?普通だと思うけど!シュウは食べないの?もしかしてお腹空いてない?」
「いや、食べるけど…」
その返事を聞いてルカは、にっこり微笑んで、二つ目のハンバーガーを手に取った。
普通の男子高校生ってのがどうなのかわからないけど、ルカは結構食べる。お弁当箱も大きいし、購買で買ってくるパンは大きさ重視だし、ハンバーガーは最低三個は注文するし。僕のお弁当箱はルカの半分くらいだし、パンは…あまり買わないけど、そんな大きいものは選ばないし、ハンバーガーもポテトがあるからひとつで十分。
部活で毎日動き回っているルカと、特に何も動いていない僕を比べるのが変な話なのかもしれないけど。
ルカは二つ目のハンバーガーを手に取った。包み紙を開けて、また大きな一口。本当、気持ちいい食べっぷり。見ているだけでお腹いっぱい…にはならないけど(僕も一応男子高校生なので)、なんとなく満足した気持ちにはなってしまう。
しばらくその食べっぷりに見惚れて、二つ目がほとんどなくなったところで、僕は自分のハンバーガーのことを思い出して、一口食べる。ルカの食べるところを見ていたから、自分の一口がひどく小さく見える。いや、全然気のせいなんだけど。
「シュウは少食だよね」
「ええ〜、そうかなあ?ルカが大食いなんだよ」
「男子高校生ならこんなもんじゃない?」
「ルカほど食べる男子高校生は見たことないよ」
「これでも我慢してるんだよ」
「そうなの?」
難しい顔をして頷いたルカは、ポテトに手を伸ばした。数本まとめて掴んで、大きな口を開けて、バクっと一口。こちらもいい食べっぷりだ。ちなみに、セットでMサイズだったポテトを、ルカは追加料金を払ってLサイズに変更している。
さすがにハンバーガーのときよりスピードは落ちるものの、それでも一口が大きいので、吸い込まれるみたいにしてなくなっていく。
僕はハンバーガーをもう一口食べて、ドリンクを飲んだ。
「だってさ、オレたち高校生だよ。オレは部活あってバイトもできないし。食べたいだけ食べてたら破産しちゃう」
「破産するほど食べたいの?」
「食べてみたくない?」
「…ううん、いらないかな」
「あれ、そうなんだ」
驚いたみたいに目を丸くする。いや、そんな変な回答でもないと思うけど。
ポテトをほとんど食べ終え、ルカは三つ目のハンバーガーを掴んだ。今まで同様、包み紙を開いて、かぶりつく。その勢いは衰える様子もない。
があ、と口が開いて、ばく、とかぶりつく。ばく。ばく。その三口で、もうハンバーガーはなくなってしまった。はあ、て僕が惚けてるあいだに。
…いやあ、本当に。
「よく食べるねえ…」
「部活仲間と行ったらそんなことないんだけど。シュウも、いらないんだったら食べちゃうよ」
と言われて、初めて自分の食事があまり進んでいないことに気がつく。いや、だって、いつものこととはいえ、あんまりにもルカの食べっぷりがいいもんだから。
「ああ、足りてないの?いいよ、食べても」
「違うよ!ほら、ちゃんと食べなよシュウも。痩せちゃうよ!」
トレーごとポテトを差し出したけれど、押し返されてしまった。別に痩せはしないと思うけどな。
それからルカは、(ルカに比べれば)小さな一口でゆっくり食べ進める僕が食べ終わるまで、ずっと目の前で楽しい話をしながら待っていてくれた。
けれど僕がもうすぐ食べ終わるってところで、少し恥ずかしそうに言うんだ。「もう一つ食べていいかな?」って。僕は笑いながら、「もちろんいいよ」って答えるね。