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    くいっくすた

    @quickst0000

    置き場です。長いの書か(け)ないしあんまりえちくもないですが…読んでくださった方、ありがとうございます🙏

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    くいっくすた

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    SS門キラと夏たろと針と糸✳️🦌🌻🪡🧵
    かんちゃんから見たおっさんたちのしょうもない痴話喧嘩?っぽい何か

    #門キラ
    #金カム腐
    golden-camRot

    被害者K青年は溝を縫う キラウㇱさんがしょげている。しょげながら台所で鳥の羽をしょもしょもとむしっている。
    「どうしたんすか……?」
    「別にどうもしない」
    「いやなんかあったでしょ」
     いつも丁寧にむしられている羽も今日はちょろちょろ取り残しがあるし、どこからどう見ても分かりやすく意気消沈している。
    「水くさいじゃないすかぁ」
    「……門倉が」
    「はい、どうしました?」
     まぁそんなことだろうとは思っていたが。
    「クツシタに穴空いてたから繕ってやったんだ。そしたら縫い目が当たるって文句言った……」
    「あー……」
     なんと心ないことを。門倉さんの発言は恐らくほんとにただの無神経によるものだろうと思う。でもそれがもう深く刺さっちゃうんだな……この人には。
    「針仕事は馴染みがないから上手くないのは分かるけど、せっかくやったのに……門倉のやつ……」
     いつもの快活さはどこへやら、花占いでもするみたいに手元でちまちましにゃしにゃ羽を弄んでいる。あーあ、こりゃ罪重いぞ門倉さん。
    「……あ、すまん夏太郎……。その椀はあっちに置いといてくれればいい。ありがとな」
    「はーい」
     台所を後にして、火種を探しに行くと当の本人は縁側でのんきにごろ寝していた。まぁこちらもそんなことだろうと思ったが。
    「門倉さん、キラウㇱさんに繕い物してもらったんすか?」
    「あ?ああ……。別にいいってのに足引っ掛けたら危ねえとかなんとか言って無理くり脱がされてよ」
    「んで出来に文句言ったんすか?」
    「は? 目が爪の縁っこに来てたからゴロつくなぁつっただけだよ」
     はー、これだ。いい年こいて心のキビっつーか乙女心のひとつも感じ取れないもんかね。まぁキラウㇱさん紛うことなきおっさんだけど。でもさすがに俺でも分からぁそんなの。
    「うっわめちゃくちゃ落第回答じゃないすか」
    「なんだよ、思ったままを言っただけだろが」
    「あーもー。……はぁ、門倉さん。じゃあ俺がそれ直しましょうか?俺こう見えて案外手先器用なんすよ」
    「えっ、いや。別にいいょ……」
    「当たるんでしょ? 直しますって。今手ぇ空いてるし大丈夫っす。ほら脱いで脱い……」
    「っいいんだってば! 触んなっ!」
     俺の手をはねのけ声を荒げてしまった門倉さんは気まずそうに頭をガリガリ掻いたりあらぬ方を見てごまかしたりしている。
    「あー……ほら、ずっと履いてるからさ。汚ぇじゃん? だからいんだよ」
    「あ、そっすか。そんなら遠慮します。せいぜいその汚ぇ靴下ものともせず大事に繕ってくれた恩返しでもしてくださいよ」
    「っ!? うるせえガキが! 大人からかうんじゃないよまったく」
     あーやめてやめて、ほの赤く染めるな耳を。初心な想いに揺れるおっさんなんか見たくないんだ俺は。
     門倉さんがまだなんかぶつくさ言ってるのを聞こえないふりして台所に引き返すとキラウㇱさんは依然としてしょんもり羽をむしっていた。
    「キラウㇱさんキラウㇱさん」
    「……なんだ、手伝ってもらうこと今特にないぞ」
    「これだけしっかり縫えてればもうほつれてこないなって門倉さん嬉しそうでしたよ」
    「ほ、ほんとか……!?」
     萎れてた花に水をやったみたいに、キラウㇱさんの顔色がぱああっと晴れてみるみる元気を取り戻していくのが分かる。
    「俺見せてもらおうとしただけなのに『触るな!』って怒られちゃいましたもん。よっぽど大事なのかなぁ」
    「そうか……よかった……」
     あーやめてやめて、桃色に染めるな頬を。初心なおっさんたちの心が通う場面なんか見たくないんだ俺は。
    ……でもまぁキラウㇱさんはニコニコしててくれた方がいいかな。土方さんも喜ぶし。
     もうすっかり活力を漲らせているキラウㇱさんは意気揚々と羽むしりを再開してあっという間に下ごしらえまでしてしまった。
    「か、夏太郎っ、悪いんだがこの桶洗って立てかけといてくれないか!?」
     はいはい、もう一刻でも早く顔見たいんですもんね。俺はこれ以上おっさんが蕩けてる顔見てたくないんで早く行ってくださいよ。お安い御用で。
    「分かりましたー。あ、そうだキラウㇱさん」
    「えっ、な、なんだ!?」
     もう半身が台所を出かかっているキラウㇱさんにダメ押しをしてやる。ちょっとくらいからかってもいいだろ? 迷惑料だ。
    「門倉さん、反対側も穴空いてましたよ」
    「……! わ、分かった! ほんとにしかたのない奴だなぁっ、門倉は!」
     背後に花を咲きこぼしながらキラウㇱさんは走っていった。「かどくらぁ〜」だって。何が悲しくて俺はおっさんとおっさんの間を行きつ戻りつ綻びを繕ってやってるんだか。自分のこともまだまだだってのにさ。――いつか俺にもできるのだろうか。あんな「相棒」が。
     
     この後、キラウㇱさんの膝枕で真っ昼間から乳繰り合う脳味噌とろんとろんなおっさん二人を縁側に見つけ、ほんの少しだけ羨ましいと思った心を改めて完全否定したことを付け加えておく。
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    くいっくすた

    DONE法務部✳️と工務部🦌のとこにいる✳️推しモブ子による観察記録。
    先日上げたバレンタインの話(問答無用の大遅刻)の日のモブ子視点。以前からたまにモブ子を書いていたので、ちょっとじっくり✳️🦌というか✳️部長の纏う「ニオイ」を探ってもらいました。
    途中途中の細かいとこの補完はできれば前の話を読んで欲しい…っ!
    🦌は影くらいしか出てこないです…。
    定点観測第X次中間報告―それでもモブ子は推したい― 総務、法務、品質、人事、我が経理。リモート業務がすっかり定着した当社にあっても、実は内勤部隊の出社機会は他部署に比べまだ多い。
     御用聞き的なところもあるし、現代的労働環境の申し子であるはずのITチームだって機器が社内にある以上全く出社しないわけにはいかない。
     内部の人間と関わるのが業務の大半を占める私たちは、皆の様子を気にかけておくのも仕事の一部だ。単に私がちょっとお節介焼きなせいもあるけど、職業病に近い。そしてこのところの私の気にかけ職人魂を断然揺さぶり続けているのが法務の門倉部長。
     総務との兼任部長というなかなかの重責ポストでありながら、そんな素振りをちっとも見せない。偉ぶるところはないし上下も部署間も関係なく誰にでも対応が柔らかい。というか柔らかすぎてもはやユルい。
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    くいっくすた

    DONEきょうはなんの日?【耳の日】
    ついったに不定期で載せてるきょうはなんの日シリーズ。ほとんどが140字なんですが、少しだけ長めのSSで。
    例によって3月3日の当日には全然間に合わずの大遅刻。
    竹で作るバージョンが百年以上前の科学本に載ってたそうです。北の大地に竹は自生しないので謎ルートで入手した謎の高級品仕上げに…。
    伝う 長い冬の鎖からようやく解放されつつあるらしい。開く花々に満ちるのはまだ先だろうが、雪解けの土の下には真新しい緑色の気配が顔を出し始めている。
     弥生初めの午後などまださほど温もりはしないものの長閑で、縁側には柔らかく陽が差し込む。座卓にガラクタ様の材料をがらがらいわせながら並べてみたら、早速好奇心の強い男が寄ってきた。
     皆出払って今日は夜まで暇だから気まぐれに思い立って、ちょっとしたツテで調達してきたものだ。いやまぁ大体暇なんだけど。今日はそれなりのやる気と創意が天から降ってくる方の暇な日だったのだ。
    「門倉何だこれ?わざわざゴミ拾ってきたのか?ジジイ見分けつかなかったか?何する気なんだ?」
    「ちょっとちょっとそう矢継ぎ早に訊くんじゃないよ。ひとっつずつ順に訊きなさいっての」
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    くいっくすた

    DONEクリスマス前から6日間の現パロ門キラです。ハロウィンに続き引くほど遅刻して載せます。
    イベント事のまとまったお話がほんとに間に合わせられません…。
    ※年齢操作しています。自分の思う原作軸門キラより10歳くらい若いイメージです。門さん40手前くらい、きらし20代後半~30手前くらい。
    ※オチウもヌンヌンもないよ!ちょっとだけもにょもにょはあるかも!
    シックスデイズワンダー(あるいはホーリーチキンレッグスの威光)――クリスマスに欲しいのは沢山のものじゃないの。
     そうだな、そう思う。休みだよな。またはこのシフトを分かち合って半分、いやせめて二日くらい出てくれる人。今日、二十日からクリスマスの二十五日までフルで六連勤だ。六連勤自体はさほど辛いことじゃない。勤め人なら普通にあり得ることだろうし、世の中もっともっと長い日数の連勤をこなしている人がいることくらい知ってる。でもこの六連勤は普通のそれとは段違いに削られるんだ。心が。疲弊する。萎れてしまう。不幸だとは思わないまでも、流れに受け入れられず川の取水口で引っ絡まっていつまでもくるくる廻ってる枯れ枝を見てるみたいな、なんとも言えない侘しい気持ちになるんだ。
     赤い三角帽子に申し訳程度のムートンもどきなモコモコがついた真っ赤な上着とズボン。どっちも割とペラくて、見た目だけは世のお祭り騒ぎに自分たちもきちんと則っていますよということしか示せない、低すぎる防寒性能。結局ベンチコート着るんだからこんなの仕込んでおく必要あるのか? この装備でこれから寒風に晒され声を枯らし、ひたすら虚空に向かって叫ばなければならない。
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