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    medekuru

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    medekuru

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    まどめ二次小説でバルシャスです。
    16巻、エリゴル戦のあとでシャス誕生日前の話になります。
    ピアス、魔術は込めてなくともバルバロスの手作りだといいなと思ってます。

    今回は短めです。

    望むものは 〈魔王〉エリゴルとの衝突から無事に生還していつものようにシャスティルと共に紅茶を飲む。
     飲みながら交わすのは他愛のない雑談などだけど、この時間は嫌いじゃない。
     ……もしエリゴルについていった場合、こうやって飲むことも出来なくなっていたのかもしれないのか。
    「しっかしウェパルの野郎、あんな手札隠し持ってたとはな……」
    「私もびっくりしたよ……聖剣を媒体に神霊魔法を使うなんて……しかも聖剣は神霊魔法の増幅装置で、それを作り出そうなど……」
    「まあな。でもあんなの見せられたら疑う余地はねえかもな。ま、そのおかげで何とかエリゴルと殺り合えたんだけどよ」
    「そういえば元々あの〈魔王〉はあなたを引き抜きに来ていたのだろう? どうして争いになっていたのだ?」
    「条件に合わなかっただけだ」
    「条件?」

     お前と戦いたくないから。
     シャスティルの苦悩する可能性に繋がるから断ったなど言えるわけもなく。

    「互いの望みや利益、不利益などだな。メリットだけみりゃうまい話ではあったんだけどよ」
    「望みや利益……ちなみにどんなものだったのだ?」
    「そりゃ魔術師の望みっつったら魔術関係に決まってんだろ? まあ対価が受け入れ難いものだったからな。断ったら襲ってきたってわけだ」
    「それで戦っていたのだな」
     実際普通に断るだけならあそこまで争いにならなかった気もするけど……それを訂正する必要はないだろう。
    「そういや人に聞いておきながらお前はどうなんだよ? なんか望みとかあんのか?」
     話の流れを利用して、自分にしては珍しく自然に聞けた。ここで何か情報を得られれば……
    「うーん……やっぱり聖騎士と魔術師の共存だな」
    「それ、お前の望みとは違うんじゃねえの? んな綺麗事じゃなくてもっと自分の欲に忠実になれよ」
    「……十分忠実だと思う」
    「はっ、流石共生派筆頭の聖騎士長様だな……まあいいや。俺はそろそろ帰るぜ」
    「ああ、ありがとうバルバロス」

     いつものように影に飛び込み煉獄へ戻る。
     これ以上は問いかけても無駄だろう。変に話を拗らせるくらいならウェパルの案でいけばいい。
    「さてと……どんな感じで作るかな」
     どんなものなら似合うだろうか? どんな感じだったら喜んでくれるだろうか?
     出来れば自分を意識してくれるような……そんな品になれば……
     可能なら魔術を仕込んで少しでも安全を確保したいところだけど……聖騎士長なら魔術のかかったものは嫌がられるだろう。
     素材やデザインなど真剣に考え始め、外の音はほぼ意識の外に追いやられる。
     これだけ集中するのは魔術の研究ぐらいだろう。
     ――いや、もしかしたらそれ以上に……



     影に潜るバルバロスを見送ったあと、空になったカップを手に取り先程の会話を思い返す。

    「自分の欲に忠実……か」

     あれは共生派としてではなく、本当に自分の望みだったのだ。
     ようやく自覚したばかりの自分の望み。
     バルバロスに持ちかけられた事柄と比べた内容は分からないけど、でもきっとそれよりも自分の欲は大きいのだろう。

    魔術師あなた聖騎士わたしが共に歩める世界が欲しいなんて……きっと誰よりも大きな欲なのだろうな」
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