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    らいし

    一次創作のみならず、色々なジャンルでかいています!
    らくがきなどは新しいページを作らずに編集で追加していっています!
    いちページにたくさん載せているのでよかったら見ていってね!!

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    らいし

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    現パロのモリ若モリで考えている、自己設定マシマシ一連のストーリーの真endルート、その最後のさらに後日談という訳の分からないものです
    まだ書いてない設定(第二再臨の人格が発現している)を入れて書いています
    ちょっとだけ工ッ×なシーンがありますが、僕のことなので最中は書いてません

    #モリ若モリ

    過去の君が未来を得る話「ね…?ジムの体が回復したら、君とデートがしたいのだけど」
    まだその時は夢に終わるかもしれない話だったのだが、終わり良ければ全て良し。
    リハビリも途中ですぐに疲れてしまうのだが、出歩けるくらいにはジムの身体は回復した。
    ジムの中に潜んでいた<私>は、身体の回復が確定した段階でもう、出てこないつもりだったようだが…。
    身体本来の人格であるジムに気を遣ったのか、デートなんて、と散々嫌がられはした。が、ジム自身が構わないと言ったと伝えると「一度くらいなら…」とようやく了承してくれたのだ。
    約束を取り付けてしまえばこちらのもの、意外と律儀な性格をしている彼はもう逃げられない。
    言っておくが、これは浮気ではない。このジェームズ・モリアーティ、ジムの中にいた<私>も紛れなくジムの一部であり、ジムに欠かせない要素であると私自身が思っているのだから。
    衰弱が始まり、出歩けなくなった彼と始めた眠る前の語らいの時間は習慣になって今でも続いている。用がなければ静かに添い寝することもある。今日のようにベッドに腰を掛けてオヤスミの後、ただ眠るまで見守ることもある。
    「どこか行きたい場所はあるカナ?」
    今はジムがウトウトと眠った後、少しの間だけ話をしに出てくる<私>名乗る彼が、その時間に現れるようになった。身体に無理が掛からないように、睡眠時間を削らない程度に短時間しか話をしてくれない彼と、ゆっくり過ごせる機会が欲しかった。
    「……まだ、私は歩き回れないから…どこか景色のいい場所の温泉なんてどうだろうか…?」
    「うん、イイネ」
    「旅館でゆっくりして、湯治だな。うむ、<老齢の私>の趣味にも合うだろう」
    「年寄りを強調するの止めてくれないかナ~? これでも若いつもりなのだがネ?」
    「気持ちだけ、だろう?」
    フフッと口の端を上げて悪い顔をされた。どうもこの子はジムより悪ぶる傾向にある。根っこの所は変わらない、性根の良さを感じているのだけど。
    「じゃあ、いくつか候補を探しておくからまた明日話そうか」
    「ああ、分かった」
    明日話せる約束を、今日も積み重ねる。会えなくなる隙を与えないように。
    「本当にいいのだろうか…? 本当にいいと思っているのか?<僕>が」
    瞼を閉じかけた<私>が不安そうにつぶやいた。
    デートの当日(旅館と言っている段階でお泊りになるのに気付いているのだろうか)は、ジムの意識を眠らせて<私>と入れ替わることになっているのだ。
    「言っていたヨ、ジムも君の味方だから安心しなさい」
    落ち着かせるようにそっと髪を撫でる。子ども扱いするな、だのなんだの聞こえた気がするが放っておく。実は喜んでいることくらい、この私にはお見通しなのだからネ。


    翌朝、ジムと旅行の計画を話した。<私>に伝えた通り、<私>と過ごすつもりでいることは話してあるし、回復のためのヒントをくれた彼にお礼をしたいと思っていたジムに反対意見は無いようだった。
    「折角なら二泊か、それ以上がいいなあ」
    ジムは朝食後の紅茶を飲み干すと、旅行について自分の意見も上乗せする。おかわりも要求されたので、カップに半分ほど注ぎ入れた。なみなみと注いでしまうと、筋力が戻り切っていない彼がカップを取り落としたときに危ないからネ。食卓の席も以前は向かい合わせだったが、今はすぐにサポート出来るように隣に座るようになった。
    「湯治というならせわしないのは逆に疲れるだろうしねェ」
    「それもあるけど、一日目は<私>と過ごすのだろう? だったら、二日目は僕とゆっくりするべきだと思うのだよ? 僕だって景色のいい温泉を楽しみたい」
    「おや、ヤキモチ?」
    「そういうのではないけど、まあ…折角なら」
    便乗だろうか?
    「手紙を書いてみようと思うんだ。<私>に渡してくれないか」
    「良いアイディアだネ。私が見ても?」
    「それはダメ」ダメと言われてもこっそり見ますケド。
    「僕は<私>も僕自身だと思っているので、略奪なんて思わないよ、気にしないでって」
    「ずいぶん過激な言葉選びをするネ」
    「えっ?!そ…そうかな…?」
    うむむ…と唸って、ジムは手紙の文面を考え直し始めている。テーブルの上の眼鏡を手を伸ばして付け、携帯機器で類義語の単語など調べ始めている。これはどうやら時間が掛かりそうだ。こちらはこちらで旅行先の選定をするとしよう。
    景色の良いところ…海か…山か…自然のあふれる場所で、おそらく人目に付きたくはないだろうから人の少ない旅館……しかし、食事は美味しくて滋養のあるものをジムに食べさせたい。
    「いっそのこと、貸し切りかナ…?」
    「ゴージャスだね」
    呟いた単語を聞き取ったジムから茶々が入る。
    「人目が無い方が都合のいいことも多いからねェ…♪」
    「フフッ、ジェームズの方が旅行が楽しみになってるじゃないか」
    「そりゃあだって、久しぶりに君とふたりっきりで旅行だからサァ」
    やっぱりここは己のツテを最大限に利用させてもらおうか~。人気のない、山奥の温泉宿…というか、あそこは昔保養所だった建物だったか。極上のおもてなし(を叩き込まれた)デキる人員。スタッフの口も堅い(開けばその口の持ち主ごと無事では済まない)うん、イイネ。
    二泊三日…は少し短いが、今はまだリハビリを続けなければいけないから、それの中休みとしてはそんなものだろうか。
    <私>にすぐ見せられるよう、風景の写真や、温泉の様子、地理条件を簡単にタブレットにまとめる。先にジムに見せようと振り返ると、彼は手紙の文面の下書きをあーでもないこーでもない、とスマホに打ち込んでいる最中だった。うーん、時間が掛かりそうだネェ…。出しっぱなしだった朝食の食器を先に片づけてしまおうカナ。
    「今日の午後も病院に行くからネ」
    声を掛けると、ん~と生返事だけが返ってきた。


    旅行先の提案は<私>にそのまま受け入れられた。
    行ってやってもいいが? なんてすましつつ耳元が赤くなっていたし、布団の中で顔が見えないように俯いて、にこにこしてそうなのは気配で分かった。うわァ、かわいい。
    今日は共寝しているものだから思わず抱きしめるとジタバタされた。恥ずかしがり屋なのはどうにも治らないネ。
    夜までには書けていたジムからの手紙も先に読んでいたから、遠慮しなくていいと思ってくれているというのは分かってくれたようだった。(ジムと<私>の記憶は繋がっているが感覚や感情までは完全にリンクしておらず。見ないようにもできるようで。手紙は直接読みたかったから書いているときには見なかったそうだ)
    「金曜の朝から出かけるからネ」
    「私はその日は朝から表層に出ているから…。私もその事を<僕>に手紙を書いておく」
    「渡しておくヨ」「いや、メールで打つから。貴様、どうせ紙の手紙は検閲するだろう」
    「おやバレてた」「見られて困ることは書かないが、しゅうちゃ……過保護なのは知っているとも」
    執着って言いかけたネ?私ってば前世からそんな感じだったのだろうか。
    なら、メールどころか携帯機器の中身ごと検閲できることは、口に出す必要はないよネェ?
    電話を掛ければすぐに予約は取れる。明日は旅行の準備をしてしまおう。とはいえ、向こうではゆっくり過ごすだけだし、ちょっとした着替えぐらいしか用意するものが無いのだが。
    チェスがやりたい、とふと思い出したように<私>が言う。
    「得意なのかネ?」「勝率にして7割ほどだが」
    「ちなみに私との勝負は全体の何割?」「…………………2割5分」
    「んっふふふふ♪ 残りの5分の相手が気になるところだがネェ」
    「分かった顔で笑うな! 確かに……貴様には一度も勝てなかったが!今度こそ負けないからな!」
    再戦の機会ができたことが、余程<私>には喜ばしいことなのだろう。いつも声のトーンを落としていた<私>が珍しく大きな声を上げるのだ。
    「私が負けるまで放してもらえなさそうで嬉しいヨ」
    喜ばしくて笑いかけると、うぐぐと呻いて大人しくなってしまった。…もっと喰いついてくれていいのにィ~♪
    「………おやすみ」
    「ん、オヤスミ。また明日ネ」


    結局チェスは私が全勝してしまった。キリがないので6回戦までで勘弁してもらったのだがネ……いやァ、本当に負けず嫌いなのは変わらないネ。ああ、変わらないのだろう。直観のように<私>について思うことが度々ある。
    不貞腐れながらも<私>は私に背中を預けて景色を眺めている。座椅子に座った足の間に割り込んできた<私>が頭を私の肩に乗せて力を抜いている。彼の胴に腕を回して温めた。3月のとても暖かい日ではあったものの、少し肌寒い。だから貴様が湯たんぽ代わりになれ、なんて言ってきたのだ。
    普通勝った方が負けた側にアレやコレや要求すると思うのだがネ? コチラとしてもこんなに大人しく腕に納まった<私>と、こんな風にまったり時を過ごせるなら文句は無いが。
    鳥がいるみたいだな、とか、夕飯の後にまた温泉に入りたい、とかのたわいのない会話。しまいにはうとうととうたたねを始めてしまう、そんな時間がこれまでに無いなんと貴重なものだったことか。そっと彼の顔から眼鏡をはずして卓に避けておく。
    浴衣の生地の上に座られているから、こちらも身動きが取れない。暇つぶしに蝶を飛ばす練習などしながら、穏やかに時が過ぎるのを楽しむことにした。


    夕飯時「少しだけなら酒を飲んでもいいだろう」との要求に少々考え込む。法的に20歳を超えた頃にはまだ体調が万全ではなかったから、この身体にアルコールを摂取させるのは初めてになってしまう。なんせ彼の耐性が分からない。………食後の温泉の後にこっちも予定があるから、酔い潰れられると残念なことに…いや、それは私の期待の都合だったヨ。
    生まれ変わる前は酒を飲んでいたというから味は知っているのだろう。え?私がバーテンダーだった?なんでそんなコトに???いや、趣味でカクテルぐらいは作るケドさァ……エェ~??
    「……でも、できれば…日本酒じゃなくてワインの方が…」
    アッ、甘党だったネ。スイートワインを少しだけなら大丈夫かナ?遺伝子的には私と彼の身体は同じだから、アルコール耐性は悪くはないハズ…ではあるのだ。
    「和食だからワインは合わないヨ。食事を終えてからデザートと一緒に、ネ」
    胃に食べ物を入れておいた方がより万全だろう。
    「ふふ、一杯ぐらいで済ませてやろう」
    「うちに帰ったら私がカクテルを作ってあげるヨ」
    この提案は喜ぶと思ったのだが、<私>は曖昧に作り笑いを浮かべてごまかした。
    「<僕>はカルーアが入ってるのが好きだった」
    「甘めのカフェオレが好きだからそうだろうネ」
    「色が綺麗なのも喜ぶと思う」
    「うん。君も好みは同じかな?」
    「……私はもう少し大人っぽいものの方が…」
    「なら、少し強めのショートカクテルを作ってあげよう」
    ただし、口当たりの良い甘めの。だが<私>はそれには何も答えずに食事を口に運ぶ。
    「なかなか美味い」
    「美味しいネェ。アメゴの塩焼きなんて久しぶり」
    脂っこい揚げ物は控えめの量にしてもらっている。身体に負担のかからない美味しい料理。元気な若者なら物足りないだろうが、病み上がりと五十代には丁度良い。以前時々通っていたレストランでしょっちゅうハンバーグを食べていたジムを思い出す。<私>も洋食が好きだろうなァ。食べるところが見たいナ。
    せめて一日共に過ごせれば、という願いが叶えば次から次へと欲が湧いてくる。
    釜炊きのご飯に茶碗蒸し、その他少しづつの小鉢料理を堪能する。最後に薄甘く煮た果物を添えたアイスクリームが提供された。もちろん一声掛けておいたから、グラスに一杯の甘い赤ワインも。
    早速グラスを手に取ると、味を確かめるように少しだけ口に運ぶ。気に入ったのか、ふふ、と少し笑ってグラスの縁に残る赤い液体をちろりと舐めた。
    「デザートだから、甘くても許してやろう」
    どうにも恰好を付けないと気が済まないのかネェ。甘い方が好きだろうにそんなことを言う。私?私は甘いのも辛いのも苦いのもイケますヨ。……コラそこ、年のせいとか言わないで。
    「白ワインをジンジャーエールで割ったのがあるだろう」
    「オペレーターだネ」
    「そんな名前だったか。炭酸と生姜の風味が美味しい」
    「私が作ってた?」
    「時々。私にはジュース程度のアルコール度数だったが」
    懐かしそうに語る<私>の姿にほんの少しチクチクした痛みを感じる。私の事を話している、には違いないとは分かってはいる。
    「私が覚えてない私の話は、ちょっと妬けちゃうネェ…」
    「そうか? 私にはどちらも<私>なのだが…」
    「だってェ、折角のお泊りデート中に他の男の話?って気分になっちゃうでショ」
    「…デート……か……」
    目線を逸らした顔が赤くなったのは、ほんの少しばかりのワインのせいだけではあるまい。
    今回はヤキモチをついつい口に出してしまったが、折角気を抜いて楽しんでくれていたのに意識させてしまったようだ。この後の展開のために意識して欲しかったのもあるケド……大丈夫だろうか。ソワソワしながらアイス食べてるのは可愛いのだが、緊張し過ぎてないカナ??
    この後また温泉に入ると言っていたから、それで少しは落ち着きつつ……こう、ホラ。期待を高めておいてくれると良いんだケド。
    はらごなしに少し歩いてくる、と立ち上がった<私>が肌の露出を少しでも減らすように浴衣の袷を直した。
    「行ってらっしゃい。温泉に入るなら一緒にネ」
    「あ……あぁ、分かった…」
    浴場でよろめいて転ぶとか、疲れて眠ってしまうとか…今はまだそういう事故があると危ないから一緒に入ることにしていたのだ。今露出減らしても、どうせ見ちゃうんだヨ~?
    宿に着いて午前中にも一度一緒に入ったが、きっちりタオル巻いてたなァ。湯舟では流石に取るように言ったけど、絶対こっちに近寄ってこないんだヨォ? 後ろから抱きしめて一緒に浸かるのやりたいのに。湯舟が広いのが仇になったようだ。半分ぐらいはさっきのうたたねの時間で夢叶っちゃった気がするけど、あれで慣れたとかで再チャレンジ成功しないかナ
    はい、成功しませんデシタ!
    前世の私は<私>と肉体関係はあった…と思うのだけど、年月は経ってるだろうし気持ちは初めてくらいになっているのだろうか。ジムが積極的な方でアレやコレやの方は割とお任せしていた部分があるのだが、こちらの<私>はオクテっぽいネ。いやァこれは、こちらも覚悟を決めて積極的に行きましょうかネ!?
    浴場から部屋に戻ると食卓も片付けられ、二組の布団が敷かれていた。「もう寝る」と布団に入る<私>の後を追って、強引に同じ布団に入り込む。風呂上りのしっとりと温かい身体を抱きしめると、途端に肩を竦めて身体を固くした彼が、両手でぐいぐいと私を押しのけようとしてきた。
    「な…なにを?! どういうことだ?!」
    「どういう事も何も、そういうコトでショ?」
    「私は、その……<僕>に悪いから……」
    「了承済み」「本当に?!」「本当、ジムも君のことは分かってるみたいだったでしょ」
    君も大事な自分の要素だって、と囁くと、うぐ、と唇を嚙んで眉を顰めた。とりあえず大っぴらな抵抗は止めてくれたから、そのままお構いなして口の端に唇で触れる。ひゃっと息を吸う音が聞こえたから、そのまま開いた口を塞いで舌を押し込んで絡める。
    うっうっと苦し気なうめき声が上がるが、今は知ったことじゃない。最低限の息継ぎだけはさせてあげよう。が、もうしばらくは離すつもりはない。今日は散々チェスにも付き合ってあげたし、お願い事を聞いてあげただろう? これからは私のしたいことをさせてもらう時間だ。さァて、逃げる気を無くすぐらいに私を感じてもらわないと。
    「あぅ”……」抵抗の意志すら無くして弛緩した身体、見上げる顔はもう涙でぐしゃぐしゃになっていた。臥せってから長い事行為は無かったが、<私>の人格はともかく身体の方は覚えていたらしい。ひくひく震えているのはもっと欲しがっているようにしか見えない。
    「わ…私は…ッ こ…こういうのは……あまり、好きではないのだがっ?!」
    「止めてほしいのカナ?」止めるつもりがないのに尋ねる。
    「……やめろ、とは…まだ言ってない…」なんともまあ、煮え切らないし素直じゃない返事だコト。前世の記憶とやらをはっきり思い出したわけではないが、ここで止めたら彼が本当に悲しんで泣いてしまうであろうことは分かった。<私>はそういう、なんとも面倒な性質を抱え込んでいるのだ。
    「じゃ、やめてあげな~い♪」
    「ギャッ!」なんとも色気のない声が聞こえたが気にする必要はない。浴衣の裾を己の膝で割ってぐいっと股間に押し当てる。なんともまあ無防備な衣装で助かるネ。ぐりぐり下着越しに刺激を与えながら、再び口づけを繰り返して首元から肌に触れていく。
    真っ赤に肌を染めて、肩を竦めたまま固まっている……初心な様子に苦笑する。
    「ところで、身体の“準備”は……」
    「………してる」
    「アレコレ言っておいて、思いっきり期待してたんだネェ…」
    うるさいうるさい!と騒ぎ出した今度は手で塞いだ。貸し切りとはいえ流石に宿の人に迷惑が過ぎる。すぐに同じことに思い至ったのか、大声は止めてくれたから良かったが。
    あとはもう、ひたすら優しく抱いたつもりではあるのだが……なかなか緊張がほぐれない身体を気持ちよく開かせるために、かなりねちっこくはなってしまったかもしれない。
    奥の奥まで楽しませてもらった後に、息も絶え絶えにくったりと横たわるまだまだ病み上がりのか細い身体を見て、1mmぐらい反省した。
    「これで死んだらどうする気だ…」
    恨みがましい声に返す言葉もありまセ~ン。立ち上がれなくなった彼を抱え上げ、再び浴場に連れていく。湯舟には浸からず布巾で身体を清めて流す。浴衣を着せ直して使っていない方の布団に寝かせる。
    その間中、ずっと黙って身を委ねてくれていた。
    「……明日の朝には、<僕>に身体を返すから」
    「もっと元気になったら、遊園地でデートはどうカナ?」
    「……でも、私は…」
    「ほら、私たちの行きつけのレストランあるだろう? 君とも行きたいナァ」
    「だから……私は、もう」
    「次の約束をしてくれるまで寝かせない」
    「………<私>」
    「私も、ジムも、君をのけ者にするつもりはないヨ。ずっと傍にいて欲しい」
    「私は……」
    長い事、長い事、考えていた。彼が目を閉じて、黙っていなくなってしまわないように見張っていた。
    「………そこまで、<私>がいうならしょうがない、な…?」
    目つきが悪く見えてしまうと気にしていた上目遣い。青い瞳がうるんで、ほんの少し眉が下がって……きゅっと閉じた口元の、端が少しだけ緩んでいる。
    良かった、嬉しそうだ。
    狭い布団の中で身体を寄せて、包み込むように手を握る。
    「なんだ、その締まりのない顔は」
    「幸せだからネェ…。愛してるよ…ジェームズ・モリアーティ」
    「ん……う…。……………私も、好き」
    消え入りそうな声でようやっと言葉にして、今度こそ安心したようにゆるゆると瞼を下ろした。
    「おやすみ……また……」
    「オヤスミ、また明日」


    翌朝、ジムに「日常生活で使わないところが筋肉痛なのだが」と言われてしまった。
    ゴメンよ…。アラフィフなのに久しぶりでちょっと本気出しちゃったカモ。
    多分私は明日ぐらいに筋肉痛になるのだろう。ちょーっとばかし腰が痛いし……うん、ちゃんと温泉に入っておこうかネェ。
    「あのさ、これまでどうにも上手く言葉にできなくて言えなかったんだけど」
    ジムが布団の中で頭を胸元に押し付けてくる。
    「僕の中にずっと…こう……隙間みたいなものがあって、そこが埋まらないみたいな…そんな感じがしていて」
    「うん」
    「<私>が幸せでいると、その隙間が温かくなって……とても、良い…と、いうか…うん」
    「知覚できなくても、ずっとジムの中にいたというからね…そういうことカナ…?」
    「ちょっと性格は違うけど、やっぱり<私>も僕だし、ひとつの存在なのだなって思うから」
    だから、今後もまとめて末永くよろしくお願いします。と、胸元から見上げて笑う。
    「こちらこそ、命尽きるまで付き合ってもらうヨ?」
    「あはは、先に死にかけた僕には言い返せないじゃないか!」
    よくよく考えればとてつもなく重い会話を笑い飛ばし、何でもない事のように今日の予定に話題は変わっていった。今日も何もしない、気が向いたら温泉に入り、景色を見て、ただただ一緒に過ごそう、と。

    Raishi 20230507,
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    身体本来の人格であるジムに気を遣ったのか、デートなんて、と散々嫌がられはした。が、ジム自身が構わないと言ったと伝えると「一度くらいなら…」とようやく了承してくれたのだ。
    約束を取り付けてしまえばこちらのもの、意外と律儀な性格をしている彼はもう逃げられない。
    言っておくが、これは浮気ではない。このジェームズ・モリアーティ、ジムの中にいた<私>も紛れなくジムの一部であり、ジムに欠かせない要素であると私自身が思っているのだから。
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