紅葉流るる 親父から頼まれたごとがあって、車で行かなかんとこだで、手伝ってくれんか?
空却からの電話に「おっけ、行くわ」と仕事のスケジュールを調整して、降り立った早朝のナゴヤ駅。
「一郎ー!」
いつものように、思い切り手を振ってくる空却の赤髪をみとめ、一郎も「おう!」と手を振り返す。
お互いに二年前の誤解がとけてからの再会。あれから何度となく彼がこうして新幹線の降車口で出迎えてくれる光景が、一郎は嬉しくて仕方なくて。
必死で崩れ切ってしまいそうになる顔をなんとかきり、と保ちながら改札を潜る。
今回もちゃんと仕事の依頼だでな、交通費も依頼料も親父が出すでよ、とカラカラ笑う空却の横を共に歩みながら、親父さんに余計にイロつけなくていい、て言ってくれよ、いつも倍くらい出そうとするから逆にめっちゃ悪いんだよ、と答えれば
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