Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    slow006

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 12

    slow006

    ☆quiet follow

    第9回 菅受ワンドロワンライ「秋の夜長/秘密」
    及菅で参加させてもらいました。 全年齢、18歳及菅です。

    #及菅
    andKan
    #菅受ワンドロワンライ
    kankeWandolowanRai

    第9回 菅受ワンドロワンライ「秋の夜長/秘密」とっぷり、外を出ると街はすっかり夜に浸かっていた。秋の夜長とはよく言ったもので、陽が落ちるのが早い。昼間の暖かさは何処へやら、肌に触れる空気は冷たく思わず首を竦めた。横目でちらりと隣に並ぶ菅原を盗み見ると、同じように首を竦めているところで、「おんなじだな」とじんわり嬉しくなる。思わず声を漏らして笑うと視線に気づいたようで、「なんだよ」と笑いながら体当たりをされた。細まった目は、これまでと違う意味を含む。付き合い始めのむず痒さと温度に浮かれて、「ぐえっ」とわざとらしく声を上げると、今度は前を歩く花巻が「いちゃついてんなよー!」と野次を飛ばしてくる。それを見て、松川と澤村、東峰が笑い、岩泉は振り返り視線を投げただけだった。

    今日、及川と菅原が会ったのはたまたまだった。及川は岩泉と花巻、松川と、菅原は澤村と東峰と、それぞれ出かけていたのだ。途中、映画館でばったり。そのまま合流し、1日行動を共にした。少し前まではライバル校。でも部活を引退した身をしては、とくに敵意を抱くこともなく、「話してみたら結構面白いじゃん」というのが、全体の流れである。

    棚からぼた餅、及川と菅原はおんなじように思った。付き合い始めたとはいえ、受験がまだ残っている。なかなか会う時間も取れない。だから、予定外に会えたこと、一緒に過ごせることは素直に嬉しかった。
    しかしながら、問題がひとつ。まだ、誰にも話していないのだ。岩泉にすら、澤村にすら。ゆえに大っぴらにベタベタするわけにもいかず、時折見つからないように視線を送るのが精一杯だった。

    屋外は思いのほか冷えて、寒さから逃れるようにポケットに手を突っ込んだ。すると、ひやりと侵入者が紛れ込む。突然の来客に及川が思わず肩を跳ねさせると、体当たりをしたまま寄り掛かった菅原のつむじから押し殺すような笑い声が聞こえる。小声で「バレるよ」と咎めると、「へーきへーき」と能天気な声が返ってきた。ポケットに入ってきた手は、及川の手よりもほんの少しだけ小さいが、それでもまあまあの大きさはある。なかはぎゅうぎゅう、菅原が手を抜かない限り、及川の手は抜けない状態だ。ぎゅうぎゅうのなか、もぞりもぞりと菅原の手が滑る。手の甲から指先へ、指の間を埋めるように、被せるように指が交わる。菅原の手の動きには粗さがみえて、色気もへったくれもなかったが、及川にとっては十分な刺激だった。
    今すぐぎゅってしたい。でも抱きしめようにも手は抜けず、結局菅原にされるがまま、秘密を抱え、ひたすらに歩いた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖❤😭💞💕💘💗💚💛💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    slow006

    DOODLE第15回 菅受けワンドロワンライ、「映画・特別」及菅で参加させていただきます。
    映画は「フォレストガンプ」です。面白いので良かったら見てください。1994年だと「天使にラブ・ソングを2」もおすすめです。
    第15回 菅受けワンドロワンライ「映画・特別」―― My momma always said,”Life was like a box of chocolates. You never know what you’re gonna get.”

    スクリーンに文字が流れ切ると一瞬、視界が真っ暗になる。それから一拍ほど置いて照明がつき、同時に静まり返っていた劇場内は賑やかになった。同行者と話し始める人、荷物の整理を始める人、足早に席を立つ人など、さまざまだ。菅原と及川は席に座ったまま、人が捌けるのを待っていた。

    菅原がときおり訪れる映画館では、名作映画を週替わりでリバイバル上映している。上映される映画は、菅原が生まれるより前のものであったり、まだ幼く映画館に訪れることがなかった時期のものだったりと、古くても目新しいものがほとんど。なかには、昔から映画番組で何度も観たことのあるものもあったが、テレビで観るのと、映画館で観るのとでは、没入感や臨場感、ストーリーの理解度が段違いだった。要は映画にしっかり向き合えるのだ。この週替わりの上映を菅原は気に入っていて、めぼしい映画をチェックしては、映画館に足を運ぶ。この日観た映画は、アメリカのヒューマンドラマ映画で及川と菅原が生まれた1994年に公開されたものだ。たまたま上映日と及川の帰国が重なり、菅原は及川を誘って映画館にやってきた。
    2074

    slow006

    DONE第14回 菅受けワンドロワンライ、「とろける」及菅で参加させていただきます。
    第14回 菅受けワンドロワンライ「とろける」夏が終わり涼しい秋へ、と思いきや異常気象により一気に真冬の寒さとなった。つい先日まで真夏日を観測していたのだ。当然寒さへの備えなどなく、寝具は夏使用のまま。どうにかこうにか引っ張り出した毛布のみが頼みの綱である。次の休日、防寒に向けて環境を整えようと及川と菅原は約束……したものの、それまでは寒いもんは寒い。ましてや菅原はバレーを辞めてから随分経ち、筋肉がないわけではないけれど現役の頃よりは確実に基礎体温が落ちている。そんなこんなでここ数日は及川にひっついて眠る。夏の間は暑いからくっつくなと及川を冷たくあしらっていたくせに、とんだ手のひら返しである。
    とはいえ、及川とて満更でもなく、この状況を享受していた。腹に回る手、足は少しでも温度を得ようと及川の足に絡んでいる。背中側は見えないけれど、顔から腰まで沿うようにぴったりくっついているのがわかる。これでもまだ寒いのか、埋まるのではないかというくらいに擦り寄ってくるものだから、及川は一度菅原からの拘束をほどき、寝返りを打って菅原を腕の中に収めた。
    1239

    slow006

    DOODLE性欲なしに、ただただ菅原のことぎゅっとしたい及川書きたいなと思って、書き進めていたけれど、急にスンッってなってしまったので、途中で終わる。及川は「スガちゃんって俺のことでかい犬だと思ってない?」って思っているけど、菅原は及川のこと「でけぇ猫みてぇだな」と思っている。
    拝啓、地球の反対側の人洗剤の匂いと肌の匂い。硬い骨と柔らかい肉の感触。じわりと身体を侵食する温度。柔らかそうだと思っていた色素の薄い髪は想像よりも硬く、それでもさらさらと心地良かった。じっとしていると衣服越しにも鼓動を感じて、呼吸の度に胸が動くのがわかる。背中に回される手に安心した。ときおり、大きい犬だとでも思っているんじゃないかというようにわしゃわしゃと髪を掻き回されるのも嫌いじゃなかった。


    性欲と人恋しさが異なるということを遠くの街に来てわかった。
    慣れない土地、慣れない気候、慣れない言語。唯一言葉がいらないコミュニケーションツールのバレーも、なんだか勝手が違うように感じて上手くいかない。何もかもが目まぐるしく、ついていくのがやっと。そんなこんなで、寂しいだとか、帰りたいだとか、思っている暇はなく、気がつけば及川が日本を出てから半年が経っていた。
    770

    related works

    recommended works