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    slow006

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    slow006

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    第8回 菅受ワンドロワンライ、「アイドル」及菅で参加させてもらいました。 全年齢、18歳及菅です。大遅刻です。運営さんいつもすみません……。
    性的ではないですが不躾な視線の描写があるので、苦手な方は読むのを避けてください。

    #及菅
    andKan
    #菅受けワンドロワンライ

    第8回 菅受ワンドロワンライ「アイドル/デートなんだ、邪魔すんな」じわり、首筋に汗が伝う。ギラギラと刺すような陽射しとうだるよう暑さに辟易しながらも、菅原はどうにか待ち合わせ場所に辿り着いた。及川と合流したら、喫茶店にでも入ってちょっと休憩させてもらおうと考えながら周囲を見渡す。待ち合わせ場所はショッピングモールの中庭。夏休みというだけあって、平日でも人が多い。こりゃお互い見つけるの大変かな、と一瞬不安になったが杞憂に終わる。
    中庭の隅にあるベンチ。日陰になったその場所に数人の女の子がたむろしている。どうやらベンチに座った誰かを囲んでいるようで、その人物を中心にキャイキャイとお喋りに花を咲かせている。
    もしや、と思い菅原がベンチに近くと、女の子たちの隙間から見覚えのある鳶色の髪が見えた。及川である。
    「遊ぼうよ」とか「ちょっとだけお茶だけしない?」とか、女の子たちの色の含んだ言葉をのらりくらりと交わしているようだが、結構長いこと相手をしていたのだろう。若干声色が焦れている。

    「お待たせ」

    羨ましいような腹立たしいようなでもうしばらく放っておこうとも思ったが、それもそれで癪なので、そばについてすぐに声をかけた。一瞬名前を呼びそうになったが、周囲の女の子たちにいらん情報を与えるのも良くない。
    菅原の登場にお喋りが止まり、女の子の壁が左右に綺麗に割れた。気分はモーゼだ。お喋りが再開する前に、するりと及川の手を絡めとり立ち上がらせる。「一緒に遊ぼうよ」という声も聞こえたが、被せるように「俺たちこれからデートなんで!じゃ!」と及川の手を引いて、その場を脱出した。


    「おモテになりますねぇ、及川サン。アイドルかなんかですか?」

    誰も付いてきていないか、後ろを確認して手を離す。揶揄うような菅原の口調に合わせて、「いやぁ、アイドル並みにモテちゃって大変申し訳ない」とおどける及川。揶揄ったのは自分だが、なんとなしに腹が立って、菅原は静かに眉を寄せて尻に一撃、蹴りをお見舞いした。

    とりあえず中庭から離れておこうということになり、宛てもなく歩く。中庭と違い、キンキンに冷えたモール内がありがたい。気がつけば汗は引いて、程よく肌も冷えてきた。道すがら、気になるショップを転々と歩くなか、菅原はあることに気が付く。及川に対する視線だ。背が高いのもあるだろうが、やはり容姿が整っているからなのか目を引くのだろう。中庭の一件はその場に留まっているからかとも思ったが、移動していても注目されるのか。

    「歩いてるだけでも結構ジロジロ見られんのな」
    「あー、まあ、うん。嫌?」
    「俺は気にしないけど、いや、なんかちょっとむかつくけど」
    「やきもち?」

    ニヨリ、と目を細める及川を菅原は小突く。半ばやけくそ気味に「そうだよ」と言うと、ますます目を細め、口はニッコリ三日月のかたちになった。「えへへ」とあざとく笑う顔がちょっと可愛いのがまた憎らしい。

    「でも、なんか……疲れねえ?」
    「注目してもらえるのは好きだけど、たまにね。消耗するっていうか疲れたなーってときはあるかな。あっでも、自分と同じくらいとかそれ以上の身長の人とすれ違うと、俺も「おっ」って思って見ちゃう」

    ちょうどまた、一人の女の子がチラリと及川を見た。顔を見て、そのまま視線を落としていく。頭のてっぺんから爪の先まで、舐めるように確認するような動作に、菅原は胸がひんやりとした。「ああ、これか」と冷えた胸がざわつく。気がついたら及川の手を絡めとり立ち止まっていた。突然に手を握られ、及川はきょとんとする。

    「今日は平気?」
    「ん?」
    「見られるの」
    「ああ、ごめんね。気にさせちゃった?」
    「俺は良いけど、お前がしんどかったら」
    「大丈夫だよ今日は」

    「スガちゃん一緒だし」と、握られた手をそのまま目の高さまで掲げる。再び「えへへ」と笑う及川は菅原が考えていたよりも大丈夫そうで、ぎゅむぎゅむと遊ぶように手を握り返す。じわりと及川の手の温度が伝わって、菅原の冷えた胸の内は少し温度を取り戻した。

    「今日さ、デートなんでしょ?だから、俺のスガちゃんかっこいいだろ!って自慢させて」

    安心させるような柔らかい声に甘ったるい顔を見せられて、菅原はぐうと唸った。手は変わらずぎゅむぎゅむと握られ続け、血流が良くなったのか、手も体も顔もぽかぽかしてくる。
    絞り出すように「メシでも行くか」と呟き、握った手をそのままに足の動きを再開。歩きながら、またいくつか視線は感じたが、その度にべったり及川に寄りかかってやる。すると及川も合わせて、菅原にべったりと寄りかかる。途中、何回かぶつけられた視線を正面から受けてしまったが、「いいだろ」というように菅原はニッカリ笑うことにした。デートなんだ、邪魔すんな。そんな意味を込めて。
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    slow006

    DOODLE第15回 菅受けワンドロワンライ、「映画・特別」及菅で参加させていただきます。
    映画は「フォレストガンプ」です。面白いので良かったら見てください。1994年だと「天使にラブ・ソングを2」もおすすめです。
    第15回 菅受けワンドロワンライ「映画・特別」―― My momma always said,”Life was like a box of chocolates. You never know what you’re gonna get.”

    スクリーンに文字が流れ切ると一瞬、視界が真っ暗になる。それから一拍ほど置いて照明がつき、同時に静まり返っていた劇場内は賑やかになった。同行者と話し始める人、荷物の整理を始める人、足早に席を立つ人など、さまざまだ。菅原と及川は席に座ったまま、人が捌けるのを待っていた。

    菅原がときおり訪れる映画館では、名作映画を週替わりでリバイバル上映している。上映される映画は、菅原が生まれるより前のものであったり、まだ幼く映画館に訪れることがなかった時期のものだったりと、古くても目新しいものがほとんど。なかには、昔から映画番組で何度も観たことのあるものもあったが、テレビで観るのと、映画館で観るのとでは、没入感や臨場感、ストーリーの理解度が段違いだった。要は映画にしっかり向き合えるのだ。この週替わりの上映を菅原は気に入っていて、めぼしい映画をチェックしては、映画館に足を運ぶ。この日観た映画は、アメリカのヒューマンドラマ映画で及川と菅原が生まれた1994年に公開されたものだ。たまたま上映日と及川の帰国が重なり、菅原は及川を誘って映画館にやってきた。
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    slow006

    DONE第14回 菅受けワンドロワンライ、「とろける」及菅で参加させていただきます。
    第14回 菅受けワンドロワンライ「とろける」夏が終わり涼しい秋へ、と思いきや異常気象により一気に真冬の寒さとなった。つい先日まで真夏日を観測していたのだ。当然寒さへの備えなどなく、寝具は夏使用のまま。どうにかこうにか引っ張り出した毛布のみが頼みの綱である。次の休日、防寒に向けて環境を整えようと及川と菅原は約束……したものの、それまでは寒いもんは寒い。ましてや菅原はバレーを辞めてから随分経ち、筋肉がないわけではないけれど現役の頃よりは確実に基礎体温が落ちている。そんなこんなでここ数日は及川にひっついて眠る。夏の間は暑いからくっつくなと及川を冷たくあしらっていたくせに、とんだ手のひら返しである。
    とはいえ、及川とて満更でもなく、この状況を享受していた。腹に回る手、足は少しでも温度を得ようと及川の足に絡んでいる。背中側は見えないけれど、顔から腰まで沿うようにぴったりくっついているのがわかる。これでもまだ寒いのか、埋まるのではないかというくらいに擦り寄ってくるものだから、及川は一度菅原からの拘束をほどき、寝返りを打って菅原を腕の中に収めた。
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    slow006

    DOODLE性欲なしに、ただただ菅原のことぎゅっとしたい及川書きたいなと思って、書き進めていたけれど、急にスンッってなってしまったので、途中で終わる。及川は「スガちゃんって俺のことでかい犬だと思ってない?」って思っているけど、菅原は及川のこと「でけぇ猫みてぇだな」と思っている。
    拝啓、地球の反対側の人洗剤の匂いと肌の匂い。硬い骨と柔らかい肉の感触。じわりと身体を侵食する温度。柔らかそうだと思っていた色素の薄い髪は想像よりも硬く、それでもさらさらと心地良かった。じっとしていると衣服越しにも鼓動を感じて、呼吸の度に胸が動くのがわかる。背中に回される手に安心した。ときおり、大きい犬だとでも思っているんじゃないかというようにわしゃわしゃと髪を掻き回されるのも嫌いじゃなかった。


    性欲と人恋しさが異なるということを遠くの街に来てわかった。
    慣れない土地、慣れない気候、慣れない言語。唯一言葉がいらないコミュニケーションツールのバレーも、なんだか勝手が違うように感じて上手くいかない。何もかもが目まぐるしく、ついていくのがやっと。そんなこんなで、寂しいだとか、帰りたいだとか、思っている暇はなく、気がつけば及川が日本を出てから半年が経っていた。
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