慣れたように/箱の中を見ることなく包み紙にくるまれたソレをドレークは取り出した。
思考も視界も別の方角へ。迷いなくチョコの包装を剝ぎ取り、ひょい、と口にいつも通り放り込んだ、その時だった。
「――」
ぱっと口元を抑える。残った片手がテーブルのコップを求め彷徨う間にも口内では未知にして既知となりつつある粘ついた風味が味覚を侵略しつつあった。
ようやく見つけたコップの水で泥じみたソレを押し流すように、喉を鳴らす勢いで容器を空にした。
ふう、と一息つきすぐさまこの悪戯をしかけた馬鹿を探す、までもなく扉が開いた。廊下にて、にまぁと男=ホーキンスが嗤っている。手入れの行き届いた艶のあるブロンドヘアにドレークですら見ただけでわかる質の良い衣服を着こなすせいで、ただ立っているだけで様になるのが腹正しい。実態は同居人に対し珍妙なものを巻き添えで喰わせることが常習化したチェシャ猫じみた仕掛け人である。
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