「少しくらい乱暴にしても大丈夫だけど…」
その言葉と不安そうな笑顔に、俺はまるで金縛りにあったかのように固まった。もちもん、シュウに乱暴しようとした訳ではないし、脅すような事も言ってはいない。しかし、怯えているようにも見える姿に、言葉が詰まった。
シュウのこういった言動はこれが初めてではない。
今だって就寝前に愛する恋人へのスキンシップをとっていただけだ。形の良い頭を撫で、額にキスを送る。ただそれだけの事であって、スキンシップ自体珍しいものでもなく毎晩していることだ。それが何故“乱暴”に繫がるのか。
時折、シュウは怯えるような表情をする。決まって落ち着いた空間で、シュウを大切に扱っている時だ。最初こそ、乱暴なんてしないよ、って食い気味に応えたが、その答えに安心するどころか、シュウは居心地が悪そうにしていた。何かあったのかと尋ねても何でもないの一点張り。また何かがシュウを襲っているのだと気づき、撫でていた頭を引き寄せて抱きしめた。
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