僕らの中身不思議な夢を見た。
僕の体の中から綺麗な光が漏れていて、それがなぜか無性に気になって自分の体に手を突っ込んでそれを引っこ抜いてみれば、それは鶴見中尉…篤四郎さんとの思い出だった。あの日あの時、初めて誰にも言えない、二人だけの唯一無二の思い出。僕の生きる核。
そこで僕はなるほど、と納得した。これはその人間を構成するものなのだ、と。
僕を構成するものを大事に抱えながら、ふと思う。
門倉部長の「核」って何だろう。
普段、のらりくらりと昼行灯を徹底している狸親父が、大事に抱えているものがふと気になった。
どうせ土方歳三関連ではあるだろうが、もしかしたら僕と同じように、何か根本を掘ってみれば、あの狸親父にも後ろめたい黒いものがあるんじゃないのかと。そう期待したのだ。
もし気に食わないものだったら叩きつけて壊してやればいいやと思いながら、僕は夢の中で門倉部長を探して回る。
「あ、いた」
夢とはご都合主義でできているものだ。
いつものだらしない後ろ姿を見つけて、僕の心は踊る。
貴方の中身は、貴方の核は一体何なんですか?
どうせ夢の中だからと、問答無用で覆いかぶさり、服を剥いで相手の胸に手を突っ込む。
苦しげに呻く門倉部長の声もそそるけれど、残念ながら今の目的は別にある。
ばりばり。布が剥がれるように、門倉さんの皮膚が、紙のように剥がされていく。実際の人間で想像するとものすごくグロいけれど、これは夢の中。ポロポロと溢れ出すのは肉片でも血でもなく、門倉さんを構成する小さな輝きたちだ。
そのどれもが土方の姿がある。そこは予想通り。予想通りだけれど。
(……あれ?)
僕は首を傾げる。
門倉さんを構成するキラキラしたものに、みんな土方歳三が映っている。でも、土方歳三とその周りの人間たちだけだ。どれを見渡しても、門倉部長本人の姿がない。
あれ、おかしいな。貴方を構成する欠片のはずなのに、なんで貴方がいないんだろう?
もっと奥に何かあるのかと、馬乗りになって全て曝け出させたそこは……何もない、真っ暗闇の空洞だった。
***
がばりと音がしそうなほどの勢いで、僕は布団を跳ね除けた。
慌てて隣をみれば、僕に背を向けて眠る門倉部長の姿がある。僕は息をするのも忘れたように、その背に手をかけてこちらに向き直させた。
「……んぁ?何……」
寝ぼけた眼がこちらを見る。門倉部長の声でようやく呼吸の仕方を思い出したのか、大きく息を吐き出すと、僕はそのまま思い切り門倉部長の鳩尾を殴った。
「ぐホァ!?」
「……っ!門倉部長のくせに!!」
「っゲホ、何!?俺なんかしたぁ!?」
彼の深淵を覗く時。