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    hagoromo_09

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    hagoromo_09

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    現パロうさかど。
    なんでもないとある日の夜の会話

    #うさかど
    houseFrontage

    愛される条件「ねえ、門倉部長。愛される条件って何だと思います?」

    いつの間にか人の家に居着いて我が物顔でソファに寝転がる宇佐美は、携帯を弄りながらそんなことを宣った。

    「いや……知らないけど。どうしたの急に」
    「なんかRTで回ってきたんで。ほら」

    そう言って携帯の画面を見せて来る。そこには、可愛い動物のアイコンがあしらわれたブログ記事のようなものが添付してあった。ピンク系で統一されたデザインから、これが女子向けのものであるとひとめで分かる。

    「……そんなもの、おじさんに聞いてどうするのよ」
    「いいじゃないですか。早く答えてくださいよ。僕暇じゃないんで」

    思いっきり横になって携帯弄っているのの何処が暇じゃないと言うんだと、喉まで出かかった言葉をすんでの所で飲み込み、俺は自前の髭をゾリ、と、手でなぞった。

    「……愛される条件ねぇ……そりゃ、可愛い、とかじゃねえの?愛らしいとか」
    「ふーん。なるほどなるほど」
    「あとは甘え上手だったり、ほっとけなかったり、こっちに純粋な好意を向けていたら、こっちも愛情を向けざるを得ないだろうからなあ」

    広義の意味で愛される、といえば、パッと思い浮かぶのは可愛い犬猫などの動物の姿だ。彼らは愛される事で生き残る術を手に入れた。であれば、人間にもいくらかの共通点はあるだろう。
    そう考えてうんうん唸りながら言えば、寝そべった男は明らかに気分を上昇させ、満面の笑みを俺に向けた。

    「門倉部長、僕の事そんなに大好きなんですね!」
    「はぁ!?」

    何をどうそう思って、今の言葉からそう結論付けたのか。まったく意味がわからない。
    何だ?こいつの頭はお花畑か?いや、そんな可愛いものじゃなかったな。頭花畑な人たちに失礼だった。

    「失礼ですねぇ。ぶん殴りますよ?」
    「いや、失礼も何も文脈が意味不明すぎるんだよ」
    「えー?だって、可愛くて、甘え上手で、ほっとけなくて、好意を向けてる人、でしょ?それって僕じゃないですか」
    「……ええ……」

    最早ツッコむ気力もない。まず、俺よりも若いとはいえ、三十代の成人男性捕まえて「可愛い」はキツい。甘え上手と自称してはいるが、こいつは甘えるというより脅迫だ。昨日だって、寂しいからと言ってものすごい力で俺を押さえ付けて寝床に潜り込み、挙句の果てに結局おっぱじめて俺の尻が犠牲になった。かわいそうに、俺の尻。
    ほっとけないというのも、ある意味はその通りだが、『ある意味』が強調される。当たり前だ。放っておけば、家中に盗聴器は仕込むは盗撮はするわ、挙句GPSまで仕込まれてありとあらゆる面で監視下に置かれる。というか置かれかけた。たかだか出張で三日留守にした程度で家中に盗聴器とカメラが仕掛けられてた時は背筋が凍りついた……のだが、この話をすると長くなるので一端傍に置いておく。
    とにかく、『放っておけば何をしでかすかわからないから、まだ一緒にいた方が安全』というだけなのだ。
    好意的……というのは、悔しいが間違いない。と、思う。良くも悪くも、こいつは偏愛的とも呼べるほどに執着がものすごい。それは裏を返せば、それほど愛があるということでもある。こんな弛んだ腹のおじさんを、というツッコミどころしかない点は差し置いて。
    などなど。総合して出した俺の結論は「キツい」。この一言しかない。あと追加で言わせて貰えば「寝言は寝て言え」か。

    「……本当に、前から思ってたけど、お前のその自信はどこからくるんだよ」
    「そんな事言って、門倉部長ってば。そんなに夜酷くされたいならそう言ってくれればいいのに」
    「話が飛びすぎだ馬鹿、そんな事一言も言ってないし文脈に含んですらいねえよ」
    「いんですよ門倉部長は僕に愛されておけば。……あ、そう考えると、門倉部長も愛され体質ですよね」
    「はぁ?どこがだよ。中年のオッサンだぞ」
    「そうですね。でもくそムカつきますけど、土方歳三にも、キラウシとかいう男にも可愛がられてるじゃないですか」
    「いや、土方さんはみんなにあんな感じだし、キラウシはどちらかというと俺を邪険にしてるだろ……」
    「ふぅん……ま、あなたがそう思っているなら好都合ですし別にいいですけど〜」
    「……何だよ含みのある言い方だな」

    べつにぃ~?と、宇佐美は言いながら携帯をいじり始める。

    「僕だけが門倉部長に愛されていればいいですし」
    「別に俺はお前を愛してるなんて言った事ないだろ」
    「じゃあ今日愛してるって言うまで気絶しても抱き続けてあげます」
    「勘弁してくれ……」

    そっと腰に回された手をげんなりと見つめながら、振り払った所で後でひどい目にあうのは目に見えているので、俺は諦めたようにそれを受け入れるしかなかった。

    「門倉部長は僕から愛されて幸運ですよね!」
    「もうそういう事でいいよ……」




    END











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