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    ako8beniiro

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    東ディバ 大我×特待生

    【注意】

    ・作者の性癖以外なにものにも配慮しておりません。

    ・作者の考える特待生ちゃん前提で書いてます。

    ・大我の性質については自己解釈(後述)

    ・持ってるカードのDチャ内容が入る場合あり。

    ・ちゅーしてるかもしれない。

    No title 大我×特待生【全体条件的なもの】
    以下、現在配信してるEP分までのネタバレ長い解釈

    グールになる条件って悪魔に何か対価を取られてる(ルカ=弟?、陽さん=肉体の耐久力?)ことを前提に考えてるんだけど、なら大我は何を?って考えた時に【人間としての理性】だと思ってこれを書き始めたものの、よくよく考えたらギャンブルと怪異にしか興味ないってセリフとかジャバウォックに出入りしてることとか怪異の鳩食べてるところとか見ると理性じゃなくて怪異を食べる体質になることが対価になってるんじゃないかって自己解釈したらこの話が矛盾し始めたので、特待生ちゃんは怪異に取り憑かれてる&呪われてるってことで特待生=人間以上怪異未満(と、大我に認識されている)というふんわり設定として読んでる方にも納得してもらえるととてもありがたい。よろしくお願いします。

    ここから本文↓

     後頭部には冷たい金属の感触。
     目の前には重厚な扉。

     「テメェ…誰だぁ…」

     そしてもう何度目かも分からないこのやり取り。
     私はシノストラの寮長室の前で両手を挙げて固まっていた。

     「と、特待生です…。Dチャで…」

     連絡した件です、と言い終わる前に、僅かに硬い音ががした。銃のトリガーに指をかける音だ。
     もう何度も同じ目に遭っているというのに、どうしてもこの瞬間は慣れない。声どころか足まで震えて今にも腰が抜けてしまいそうだが、私は血が滲むほど唇を噛み締め、グッと耐えた。

     (今腰を抜かしたら、本当に撃たれる…!)

     慌てず、騒がず、冷静に。話せば分かる。森の中で遭遇するクマと違って、相手は人間。いきなり襲いかかってはこないはずと、私は自分に言い聞かせた。

     そして、相手にも言い聞かせなければ。

     「特…? 誰だっけ、お前?」
     「あの、先日、シノストラの怪異事件の際にお世話になった…」
     「あ〜? 怪異? 事件?」
     「シノストラのグールの針条くんと、一緒に、カジノで…」

     震える声でそこまで告げると、張り詰めていた背後の気配がパッととける。

     「あ〜! あのアホと一緒にいた女か!」

     危うく殺しちまうところだったわ〜と物騒に笑う星喰先輩に銃口で後頭部を小突かれる。地味に痛い。

     「はい、昨日Dチャした件で…書類を確認して欲しくて」
     「書類〜? ふぅん。んじゃ、邪魔だからそこどいて」
     「え? は、はい…?」
     「あ? 書類見んだろ? 」

     銃口が引いたと思ったら、そのまま頸を伝い、背中の、肩甲骨の間のあたりに押しつけられる。
     邪魔だと言われ、前に進もうにも、目の前には扉。

     (は、入れってことかな…)

     ぐりぐりと押しつけられる銃口の感覚から、前に進むよう促されている気がして、私は扉に手をかけた。

     「失礼します…」
     「あ〜だりぃ〜。弱いやつに合わせるったって限度があんだろーよ」

     どうやら間違いではなかったようで、一歩踏み込むと横をすり抜けた星喰先輩がいつもの大きなソファにどっかりと座り込んで、わざとらしく肩を回す仕草をした。
     どうやらロミオ先輩の指示の元、カジノで一仕事した後らしい。

     (…タイミング、悪かったな…)

     私はようやく解放された安堵でホッと深く息を吐く。しかしまだ油断は出来ない。星喰先輩のその手には、銃が握られたままなのだ。
     昨日の放課後、ハイド先生から不備を指摘された報告書を持っていく連絡をしたものの返事はなく、もちろん寮長室も不在。今朝ようやく了承の返事があったのでこうして訪ねて来たのだが、どうやら機嫌が良いとは言えなそうだ。

     (とは言っても、星喰先輩のタイミングなんていつも分からないけど…)

     追い返されなかっただけ良しとしよう。私は書類を星喰先輩に差し出した。

     「それで…先日の怪異事件の報告書の、4ページ目の記述についてなんですが…」
     「無理、読むのだりぃわ。なんて書いてあんの?」
     「あ、はい。ええと…」

     星喰先輩は書類を一瞥もしない。私は仕方なく、該当箇所を開いた書類を片手に、星喰先輩に近付いた。

     その時…

     「ッ…! お前……ッ!」
     「キャッ…!」

     突如、星喰先輩の眼がキロリと眇められ、書類を持った手を強く引かれた。

     「痛っ…!!」

     私はバランスを崩して星喰先輩の膝に乗り上がる。すぐさま降りようとしたものの、それを阻止するように腕を握る力が強まった。

     「っは、離してっ…!」

     まるで加減など知らないような力だ。体の内側から骨が軋む音が聞こえた気すらする。思わず突き出した反対の手が、星喰先輩の手に当たり、ゴトンと重い音がして銃が落ちたことを知った。
     しかし、私の抵抗も虚しく、今度は空いた手が私の背に回り、上体がグッと引き寄せられる。

     「…ッ…はぁ…く…っ」

     星喰先輩の綺麗な顔が、私の眼前に迫って来た。鼻先に吐息がかかる距離で、苦悶するように顔を歪めた。

     「…な、なんッ…なんで急に…! 星喰先輩…どうしたん、で…っ!?」

     -ベロリ

     「っひ!」

     星喰先輩のあまりの苦しそうな表情に胸が痛くなったのも束の間、私は唇に触れたぬめる感覚に絶句する。

     (な、舐められた…!?)

     星喰先輩の生暖かい舌が、私の唇の端を辿った。呆然とする私を他所に、彼の行動はエスカレートしていく。
     そのまま唇に差し込まれ、歯にあたる手前の、内側の粘膜をなぞるように舐められる。

     (っ…痛…!)

     そこは先ほど、唇を噛み締めて血が滲んだ部分だった。

     「っは…はぁ…」

     私は驚きのあまり無意識に呼吸を止めていたことに気づき、苦しさに喘ぐように大きく息を吸い込んだ。

     「っ…ッ!?」
     「…っ、なっ、わぁぁっ!」

     涙の膜で滲む視界の中、星喰先輩が大きく目を見開いたのが分かった。そして次の瞬間、私は星喰先輩に力一杯突き飛ばされていた。 
     しかし、星喰先輩は自分の体の制御が出来ていないかのように、左手は先ほどまでと同じく私の手をガッチリと掴んだままだった。突き飛ばされた衝撃で左腕が限界まで引っ張られ、激痛が走る。

     「いったぁ…」

     星喰先輩の膝の上で、掴まれた左腕がぷらんと揺れる。星喰先輩は未だ私の左腕を見つめたまま、言葉もない。どう見ても様子がおかしい。いつもおかしいと言えばそうなのだが、今の星喰先輩の瞳はまるで恐ろしいものでも見たかのように不安と恐怖に揺れている気がした。
     星喰先輩の手が僅かに震えている。
     私と先輩を繋ぐこの手を、私は離して良いのだろうか。

     「……あ、の…って、うわあああっ!」

     星喰先輩は数秒の沈黙の後、唐突に私の腕を離した。バランスを崩した私は、当然彼の膝から転げ落ちる。

     「いったた…」

     -パァン

     「っひ…!!」

     突然の銃声。私は咄嗟に頭を抱えて丸くなった。私の頬のすぐ横の床に穴が空いているのが見える。

     (もう本当に、いつも以上に訳がわからない!)

     今度こそ撃たれる。私は逃げることも出来ずに、ギュッと目を瞑った。

     「……?」

     しかし、いつまで待っても体にはなんの衝撃もやってこなかった。
     私は頭を抱えたままチラリと横目で様子を伺う。

     「…ッチ」

     舌打ちを一つこぼした星喰先輩が、私に構うことなく部屋を出て行ってしまった。その表情まではわからなかったが、心なしか足取りはふらついていたようだった。

     「…助かった…のかな…」

     私は一人残された寮長室で、星喰先輩が出て行った扉を呆然と見つめるしかなかった。

    ***

     寮長室を出た後、私は私にとってある重大な事実に気がついた。

     「…そう言えば、ファーストキス…かもしれない」

     一般的にあれをキスにカウントするかは微妙だが、この何かを奪われたかのような喪失感。少なくとも私の感覚としては1カウントに含まれたらしい。

     「特待生さん、どうされましたか? 具合が悪いなら寮に帰る前にまず保健室、あるいはモルトクランケンの寮に行くことをお勧めしますが」

     私が気もそぞろに歩いていると、針条くんが正面からやってきた。よほど酷い顔をしていたのだろう。どんな時でも溌剌としている針条くんが珍しく心配そうに眉を下げていた。

     「……針条くん、ファーストキスを奪われた場合、法律何条に違反するのかな…」

     私はなんとなくそんなことを聞いてみたくなった。

     「特待生さん、法律は貴方ではなく専門家である僕が………、…え…?」
     「やっぱりなんでもない。心配してくれてありがとう。今日はもう寮で休もうかな」

     針条くんに手を振って、別れを告げる。シノストラの寮を出ると、緊張が解けたのかドッと疲れが押し寄せてきた。
     なんだかシノストラの寮の方向が騒がしい。針条くんに似た声が聞こえる気がしたが、私はもうシノストラへ戻る気力はなかった。

    END


    翌日あたりにフロストハイムに寮長に腕の怪我を見抜かれてよしよしされると思う。
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