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    akatk13

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    akatk13

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    『これは愛なのか恋なのか。』

    ダイが♀️設定のマム→ポプダイ♀️です。原作終了後、ダイ帰還後のお話です。最終回ネタバレ注意。ポプ←マ、ポプダイ♀️描写ありますが、全員に恋愛感情があるかよく解ってないお話。
    レオナ姫が性格悪いです。ご注意ください。

    これは愛なのか恋なのか。――――――――5年前、空に消えた勇者が、帰還した。

    彼女の帰還に、誰もが喜んだ。彼女は皆に愛されていたから。

    私もそうだ。

    明るくて優しくて強くて暖かくて、まるで太陽のような彼女が、私は大好きだったから。



    誰よりも、一番彼女の帰還を喜んだのは――――――――――彼女の捜索に一番功績を残した、仲間の魔道士・ポップだった。

    彼は、勇者の一番頼もしいパートナーであり、そして、親友でもあった。
    涙を流し、再会を喜ぶ彼を見て、私も喜びで胸がいっぱいになる。


    ――――――――――けど、どうしてかしら。同時に私に迫りくる、もやもやしたこの感情の波。

    これは、一体―――――――――――





    ***************


    ダイが無事に帰還して、数日が経った――――――――――――

    勇者帰還の記念としてレオナがパーティを開くらしく、私達はパプニカ城に招待された。

    主役のダイは勿論、戦いを共にしたポップやヒュンケル、クロコダイン、ラーハルト、ヒム、チウ、メルル、ノヴァ、アバン先生、フローラ様、ダイのお祖父さんや…………他にも、お世話になった人達が沢山来ていた。他の国の王様とかも沢山来てて、レオナの人脈も凄いけど、やっぱりダイって色んな人に愛されてたんだなって実感した。誰もがこの日を待っていたもの。




    宴が始まり、誰もがダイの側に集う。でも、彼女はポップの側を離れない。いや、正しくは、ポップがダイの側を離れないのだ。仕方ないものね、ポップにとって、ダイはとても大切な人だったから――――――――
    彼女が行方不明になった時の彼は、それはそれはもう見ていられなかった。
    ダイ捜索の旅が始まる頃には回復していたけど、それまで、何日も何日も実家の部屋に篭って泣き続けて、食事もロクに取れなかったらしいから―――――――――
    今考えたら、レオナがダイを捜索してくれって頼んで、本当に良かったと思う。
    それが今では、彼女が―――――ダイが、側にいる。ここに居る。そりゃあ、離れたくないものね。


    ダイ―――――――5年間の間、何があったか知らないけど、17歳になった彼女はとても綺麗になっていた。小さかった背丈は少しばかり伸びて、漆黒の髪は背中まで長く伸び、身体つきもだいぶ女性らしくなっている。宴の為に用意されたドレスが、よく似合っている。

    そんな彼女を、ポップはどう思っているのかしら――――――――――――
    何だか、前に比べて彼女を見る目つきが、何だかいやらしいような…………気のせいかしら?


    「………どしたの?勇者帰還を祝う宴なのに、何だか浮かない顔してるわね〜?」
    「………ひゃあっ!??」

    突然、何者かに背後から乳房を鷲掴みされた。びっくりしたのと変な感触で変な声を出してしまう。
    レオナだ。お酒を飲んでかなり酔っているのか、顔は真っ赤。呂律も回っていない。それに、大好きなダイの帰還パーティなので、テンションもかなり上がっているようだ。本当に彼女、お姫様なのかしら………?

    「もうっ……変なとこ触らないでよレオナ……」
    「ごめ〜んごめ〜ん!相変わらず良い乳だったから〜!……それにしても、何でそんなに不機嫌そうな顔してるわけ?」

    私、そんなに不機嫌そうな顔してた?レオナに指摘され、驚いたが、心当たりのある事を言ってみる。

    「……見てよポップの奴、ダイにデレデレしちゃって。ダイがちょっと綺麗になったからって、鼻の下伸ばしすぎでしょ。」
    「そう?いつも通りじゃない?ポップ君はダイ君の見た目が変わったからって、態度を変えたりするような人じゃないわ。」
    「そうだけど……でも……!!」
    「マァムの気・の・せ・い!……てか、マァム、何でそんなにムキになってんの?別に、ポップ君のカノジョになった訳じゃないでしょ?まだ。」
    「………あ………」

    レオナにそう言われ、頭をぶつけたような衝撃を受けた。


    そうだ私―――――――まだあの時の“答え”を、ポップに出していない。


    5年前のある日、ポップは私に告白をした。でも、その時の私にはまだ返事を返せなくて、その後、ダイが行方不明になったりして、それどころじゃなかったから、保留のままなあなあになってしまったんだ。
    あの時の事を、ポップは忘れてしまったのかしら―――――――――ダイ捜索の時は仕方なかったとして、ポップの事だから、見つかった後に催促してきても良いはずだから、それがないって事は―――――――まさか、本当に。

    「………まあ、あの二人にはまだ“そういう感情”はないんじゃないの?てかマァム、あなた、ポップ君に告白されたんでしょ?だったら早く返事しなさいよ。」
    「………無理よ、私だってまだ、彼の事をどう思っているのか分からないもの……」
    「はあ?まだ分からないの?あなた、大人になったのにそういう面は子供のままね!………ダイ君に嫉妬してる時点で、彼にもう好意はあると思うけど?」
    「!!嫉妬なんて、そんな事………!!」
    「あら、図星?………ねえ、早く本当に返事しないと……

    ダイ君に、ポップ君取られちゃうわよ?」

    レオナが耳元で囁いた言葉に、何故かぞくりとした。何なのよ……本当に何なのよ!??

    「…………なーんてね!冗談よ!あー!マァム揶揄うの楽しいわ〜!じゃあね!私は忙しいから、宴が終わってからまたお話しましょ☆」

    レオナは若干おぼつかない足取りで去っていった。レオナは冗談だと言っていたが、私は宴が終わるまで、胸騒ぎが止まらなかった―――――――――――


    ***************


    宴は終わりを向かえ、お城の人達が片付けに勤しむ中、私達はレオナに用意された各自の寝室に戻っていた。

    外の空気が吸いたくなり、私はお城のテラスに出ようとした、その時だった。

    テラスに、月明かりに照らされた、二人の人影が見える。
    ダイとポップだ。二人は先程の正装から着替え、寝間着のような服を着ていた。でも、ダイが着ていた寝間着はまるでネグリジェ?のようなワンピースで、まるでお姫様のように見えて綺麗だった―――――――――――。

    そのまま二人の会話に入ればよかったのに、私は何故か気配を消すようにテラスの植木の後ろに隠れた。

    私は、二人の会話を盗み聞きする。


    「あ〜今日は楽しかったなあ!久しぶりに皆に会えてさ!」
    「そうだなー。今はこーゆーことがねえと、皆に会える事ねえもんな。」
    「魔王軍と戦ってる時は、毎日のように顔あわせてたのにね。」
    「………そうだな、魔王軍との戦いの日々は毎日辛かったけど、今思えば、おまえらと毎日顔合わせれた分、あの頃が幸せだったのかなーっておもうぜ。」
    「ポップ………」

    ポップは悲しそうな顔をしている。そうだ、ダイを捜索していた時も言っていた。魔王軍と戦ってた頃に時を戻してくれって、嘆いていた。
    それだけ彼は、彼女に会いたくて会いたくて、仕方がなかったんだ。

    すると、ダイは――――――ポップの背中に抱き着いた。ダイよりも大きな、彼の大きな背中に。
    私は、息を飲んだ。鼓動が止まらない。

    「………ダイ………!」
    「………ごめんねポップ、おれはあの時、ポップが……世界中の皆が助かればいいって思ってた………でも……その結果、ポップを悲しませてしまった……。悲しい思いをさせて、本当にごめんね……」

    ダイは、ポップの背中に身体をぴったりとくっつけたまま、涙をぽろぽろと溢した。
    すると、ポップは彼女の身体をぐるりと反転させ、自らの方に向けて叫んだ。

    「………馬鹿野郎!!おまえだけが謝んじゃねえよ!!!!」
    「………ポップ………!」

    ポップは、目に涙をいっぱい溜めながら言葉を続ける。

    「………確かにおまえは大馬鹿野郎だ……自分だけ犠牲になればそれでいいって考え方……本当に馬鹿だと思ったぜ……。おまえが居なくなってから、毎日が苦しかった……おまえが居なかったら、おれは生きてる意味がないって思った程だ……。でもな、そもそもアレを防げなかったおれの力不足でもあるんだ!!何度己の無力さを嘆いたか!!!だから………」

    ポップはそう言うと、ダイの小さな身体を、抱き締めた。強く、強く―――――――――――

    (…………え、ポップ、嘘でしょ………???)

    「だからおれは、もっと強くなって、おまえを一生守ってやる!!ずっと側にいる!!!!世界を敵に回しても、おまえの味方であり続ける!!!だから、おまえもずっと一緒にいてくれ……勝手にどっか行くんじゃねえぞ!!!!……………………約束だからな。もう絶対、離さねえ!!!!」
    「…………ポップ………!うん………ずっと一緒だよ………ありがとう………!」

    ダイは涙を溢しながら、ポップを強く抱きしめ返した。ポップも――――――――――――


    (…………え?一生守るって………一緒にいるって………そんな………!!)

    『ダイ君に、ポップ君取られちゃうかもよ―――――――――?』

    「…………!??」

    私は急にレオナの言葉を思い出し、息を飲む。すると、私の呼吸音が聞こえたのか、ポップがこちらの気配に気付いたようだった。

    「し……しまっ……」
    「………あれ?マァムじゃねえか!そんなとこに隠れてどうしたんだよ!まさか……おれが泣いてたとこ、見ちまった……?だったらチョー恥ずいんだけど……」

    ポップはこっちの気も知らず、呑気にぼりぼりと頭を掻く。

    「マァム!隠れてないで一緒にお話すれば良かったのに〜。積もる話もあるからさ!」
    「いや……その……なんでもないの!!」

    ダイの笑顔に胸が痛くなる。私は逃げるようにして、その場を離れた。



    ***************



    「はあ………はあ………もう、なんなのよ………!!」


    私は逃げるように自室に戻り、壁にもたれかかりぺたりと座り込んだ。
    鼓動が止まるどころか、更に強さや速さを増していく。更に、私は自分の顔に触れる何かに、衝撃を受けた。

    「涙………私………泣いてるの………?」

    何故泣かなくてはならないのか―――――――ポップに何も感情がないのなら、このような思いはしていなかったのか。

    そういえば前にも、似たような事があった。エイミさんが、ヒュンケルを愛していると告白した、あの日―――――――あの時も私は戸惑い、でも、自分の彼に対する感情がよく分からなくて、ポップに相談したら、怒られたっけ――――――。でも、あの時はきっと、エイミさんの彼への思いの強さに衝撃を受けただけだったんだろうな。

    でも、今は、その時よりも切なくて、苦しくて、悲しくて―――――――――――――

    私はポップに恋愛感情があるの?それとも、彼が私の事を好きって言ったのに、今はダイの事が好きかもしれなくて、裏切られたと思ったから、悔しいだけ?

    そもそも、ポップは、ダイに対して恋愛感情はあるのかしら―――――――ダイも、ポップが好きなのかしら?
    お互いがとても大切な存在である事はとても分かる。それは、一番彼女の捜索に意欲的だった彼を見てたら、分かること。
    そうよ、ヒュンケルも言っていた。「愛」には色んな形があるって。愛があれば命も賭けられる。だから、彼らに“そういった感情”がなくたって、彼らのあの行動には納得が出来る。………………筈なんだけど………………



    何度自分にそう言い聞かせても、私の心の霧は晴れないままだった。


    私は……………一体、どうしたら良いのだろうか。
    答えは、まだ、分からない――――――――――――――






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