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    arei_ash

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    景丹/景恒

    R-15
    仕返しのつもりが返り討ちにあった🍁の話

    #腐向けHSR
    #景恒
    #景丹

    好奇心は猫を何とやら「……丹恒?」
     景元が驚いたように目を見開く。それもそうだろう。何故なら丹恒が景元の上に乗り上げているからだ。
     いつも丹恒が景元と共に夜を過ごす時は、決まって共に湯浴みをし、時に身体を重ね、同じ寝台で抱き合って眠るというのがいつもの流れだった。その過ごし方に問題はない。問題があるのは景元との夜の行為。

     すなわち性行為であった。

     彼が乱暴だとかそういう訳では無い。ただ途中から記憶が飛んでしまうくらいに乱れさせられる事が問題なのだ。丹恒はいつも精一杯なのに、どこか余裕のある景元に少し不満があった。余裕を無くした姿を見てみたいと思うのは何らおかしな事ではないだろう。

    ──ほんの少しの意趣返しのつもりだった。

     深く呼吸をして覚悟を決める。今からする事を考えたら顔から火が出そうだが、後には引けない。引きたくない。
     蜂蜜を溶かしたような金色を半ば睨むように見据えてから、景元の顔の横に手を付いて顔を近づける。そしてその勢いのまま唇に唇を押し付ける。勢いがつきすぎて、ガチンと歯と歯がぶつかってしまい、思わず唸る。
    「う、」
    しまった。こんなはずではなかった。気を取り直して今度はそっと口付ける。ふにりと柔らかな感触がして、彼が好んでいる香油の香りが鼻腔を擽る。唇を離してもう一度口付けようとした瞬間、視界が勢いよく回った。
    「っ、」
    ばふんと大きな音を立てて、背中が寝台に埋もれる。弾くように目線を上げた先で、思わずひゅっと喉がなる。
    「……けい、げん、」
     射抜くように、鋭い視線でこちらを見据える金色がいた。月の明かりを受けて瞳が妖しく輝く。その様は、まるで獲物を前にした獣だった。彼は大きく息を吐いて目にかかる前髪をくしゃりと握る。それは内なる衝動を抑え付けようとしているように見えた。
    「丹恒」
    それはとても静かな声音だった。はっきりとした声で名を呼ぶと、景元はそっと丹恒の額に口付ける。それからまるで内緒話でもするように耳元に唇を寄せて、低い声で囁いた。
    「……あまり煽ってくれるな」
    次の瞬間には噛み付くように唇を塞がれていた。
    「ん……っ!」
    ぬるりと舌が侵入してきて、口内を好き勝手に蹂躙する。歯列をなぞり上顎を舐め上げ、逃げる舌を追いかけてくる。息継ぎをする暇もない。
    「っ、ふぁっ、」
    ぞくりとしたものが丹恒の背を駆け上がる。思わずぎゅっと彼の服を掴むと、景元は空いている手で丹恒の後頭部を押さえつける。そしてさらに深く口付けると同時に、景元の膝が足の間に割って入ってくる。ぐりぐりと刺激されて身体が跳ねた。
    「んむっ!……ふ、ぁ……ッ」
    ようやく解放された時には息も絶え絶えだった。頭がふわふわとして上手く纏まらない。
    「駄目だよ、丹恒。……仕掛けるなら最後まで手を抜いてはいけない。でなければ、やり返されてしまうからね」
    景元が笑む。それは、にっこりという効果音が付いたのかと錯覚するくらい綺麗な笑みだった。背中に嫌な汗が伝う。
    「自分から仕掛けたからには、……相応の覚悟が出来ているのだろうね?」
    ひくりと頬が引き攣った。どうやら今夜は眠れないかもしれない。後の祭りとはこの事かとどこか冷静な自分が独りごちた。
    「夜は長い。ゆっくりと話をしようか」
    どうやら逃げる事は出来ないらしい。覆い被さってきた景元の首に腕を回して、唇を重ねた。
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    DONEこのあといつかフィガファウになって欲しい気持ちで書いてます。フィ→ファ風味だけど恋みたいな愛についてはまだ自覚なしみたい感じ
    【フィファ】フィガロ先生にはわからないフィガロ先生にはわからない

     たとえば、とフィガロは思う。
     設えられた大人が三人並んでも十分余裕のあるテーブルの上に広げた文献。己の前に置いたそれの手前に左手で頬杖をつき、その紙面を滑らせた右手の指を、重なってまとめられた紙の淵、それらを守る堅い表紙を飛び越えて、使い込まれた艶と使用者によってつけられたであろう小さな傷をもつテーブルの天板におろした。人差し指と中指を立て、板の上を歩くかのように動かして、隣に座るひとへと近づけてみる。
     そこにいるファウストは、フィガロと同じようにテーブルに広げた文献を、けれどもフィガロとは異なり頬杖をつくこともなく、椅子に座ってもなおぴんと背筋を伸ばしたまま、文献の両脇でページを押さえるために手を添えて、視線をそこに綴られた文字に落としていた。指先を包む白い手袋には汚れひとつみあたらない。手のひらまでを守るその手袋が終われば素肌が見えるが、しかしそれも、すぐに黒く広い袖口の中に隠される。袖口はひろく、天板に置かれた腕の下で綺麗な形でもなく広がっていた。
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