私からは離せない 「ネロ、申し訳ありませんが、キッチンで朝食を済ませてもいいですか」
ネロはいつも魔法使いのために朝食を1人で黙々作っている。会話が苦手な訳でもないが、1人が良いのだとクロエに聞いたことがある。
黙々と朝食を作るネロが首をクルリとこちらを向いて問いた。
「え……まぁ……いいけど、どうしたんだ? シャイロック」
「ムルが少し」
「はぁ……。あんたらいつでもベッタリなイメージあるけど、離れたいときだってあるよな」
他の魔法使いから見て私達はベッタリなんて見られていたのは心外だった。
「私とムルはそんな風に見えますか?」
少し棘のある言い方をしてしまった。私の表情を見て、ムルは何かを察したようだった。首をひねりまた正面に戻す。そして続けた。
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