何れ夢中にさせてやる「恋人に何を求めます?」
「えっ。なんですか藪から棒に…」
「ふふ、いえ。観音坂さんの好みはどんな男性なのかなと思ったので聞いてみたんです」
「……」
「そんな警戒心剥き出しで見つめないでください。純粋な興味ですよ」
「…好み、なんて考えた事もなかったです。私みたいな女に好意を持ってくれる男性なんていないと思いますし…。けど、そうですね。こんなだらしなくて頼りなくて影の薄い女でもいいよって言ってくれる人…ですかね」
「…自分を受け入れてくれる相手が良いと?」
「もちろん、ありのままの自分を愛して!なんて言うつもりはありません。私だって相手の為に何かしてあげたいと思うし、その為に出来る事なら頑張りたい…だからそう、ですね。お互いに刺激し合える人がいいかな」
「…貴女は自分で思っている以上に努力家で魅力的ですよ」
「今なにか言いましたか?」
「いいえ、何も」
「入間さんこそどうなんです?好みの女性」
「そうですねぇ、一緒にいて心地好い方が良いですね。あと人知れないところで努力をする頑張り屋で、ちょっと抜けた所もあるけどいつも自分ではなく人の為に全力を出す優しい女性が良いです」
「いやに具体的ですね…。そんな人、入間さんならすぐに見つかりそう」
「ふふ、それはどうも。…これが中々手強いんですがね」
「てごわ…え?」
「お気になさらず。…まあ、その内俺しか見えなくしてやりますよ。おや、グラスが空ですね。なにか頼みますか」
「あ、はい。じゃあハイボールを…」