ワンドロワンライ【傷跡】大きな身体を少し丸めて座る姿が好きだ。可愛らしいそのシルエットがなんだか可笑しくて愛しい、いつもより小さく見えるのに後ろに座るとやはり1m超の身長差は伊達ではなく、視界には背中しかみえない。
「なァ、コラさん」
「んー、どうした?」
そっと頬を寄せた広い背中、間延びした声が頭上から聞こえる。耳に優しく響くその声にうっとりと瞳を綴じる。触れたシャツの薄い生地の下、鍛え上げられた筋肉の弾力と服の上からでも分かるでこぼことした凹凸。その傷痕は弾痕から裂傷、火傷、古いものから新しいものまで多岐に渡る。39年コラソンが生きてきた証。生きている証となる。すりと、甘えるように頬を擦り寄せて布越しの肌の感触とコラソンの匂いを楽しむ。胸いっぱいに吸い込んだコラソンの匂いに甘い眩暈を覚える、まるで麻薬のようで毎日だって嗅いでいないと落ち着かない。掌で背中を撫でる。
1908