風邪ひいた夢主と看病したい萩原風邪ひいた連絡は一応するけどうつすといけないから絶対家には入ってきちゃダメだよってメッセ送る夢主ちゃんに「一人暮らしだし、色々大変だろ?」とかなんとか看病を許可してもらおうと説得するけど、最終的には萩原が折れて「じゃあ、薬と食べられそうなもの玄関に置いとくからそれだけ受け取ってくんない?欲しいものもあれば一緒に買ってくるから」って言われてそれくらいなら…ってなる夢主。
置いといたよって連絡にありがとうって返してとりあえず薬以外は冷蔵庫に袋のまま突っ込んで、寝るんだけど夜、なんとなく目が覚めてちょっとお腹空いたし萩原が持ってきてくれたもの食べるかーって開けたら『何かあったらいつでも連絡待ってるから。早く元気になった〇〇ちゃんの顔見せてくれよ』って手書きのメモと夢主ちゃんの好きな物がいっぱい入ってるから嬉しさと風邪の時特有の人恋しさに電話したらたったワンコールで出るから思わず笑っちゃう夢主。
「ねぇ、もしかして待っててくれた?」
「そりゃ勿論。◯◯ちゃんに何かあったらすぐ飛んでいけるように準備してたに決まってるだろ」
「ふふ、ありがとう。メモも私の好きな物も色々用意してくれたのが嬉しくて、声聞きたくなっちゃった」
「お、じゃあ明日は看i病しに行っても…「それはダメ」
ちゃっかりしてるなぁと思いながらもそれはしっかりお断りして、スピーカーモードにしてから萩原が買ってきてくれたゼリーを開ける。
「そういえば、◯◯ちゃん動けそうならちょっと窓の外見てくんない?」
「外…?」
何があるのかと思いつつカーテンを開けると綺麗な満月が昇っていた。
「今日は中秋の名月だって」
「そっか、もうそんな時期か」
窓辺に腰掛けて、ゼリーを食べつつ綺麗だなぁなんて呟いてると
「月を見上げてる◯◯ちゃんの方が綺麗だよ」
「風邪ひいてる人間に言うセリフじゃないでしょ…」
「じゃあ来年は一緒にお月見しようぜ。◯◯ちゃんの方が綺麗だって証明するから」
そんなのどうやって証明するのと笑うと身体がそろそろ休めと言っているのか、咳き込んでしまって萩原があたふたするのが電話越しにも伝わってきて思わず可愛いなと思ってしまう。
「心配かけてごめんね」
「ほんとに安静にしてくれよ…」
「うん、ありがとう。じゃあまたね、おやすみ」
って萩原もおやすみって返してくれたから、切ろうかと思った時に
「あ、ちょっと待って!」
「ん、どうした?」
「月が綺麗ですね」
萩原の息を飲むような音が聞こえて電源を切った。
満足感に浸りながら食べたゼリーはさっきよりもなんだか少しだけ美味しいような気がした。