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    Loving_Funny

    @Loving_Funny

    創作の民の真似事をしているヲタク。なんとも呼べないものを生み出しては投げてます。

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    逆ナンさてれる💜さんと、それを目撃してモヤモヤ悩む🤍くんが出てくる あまりか💜🤍
    ※モブ女がいるよ!

    #カリ腐マ
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    【理解から貴方へ(あまりか)】 とある休日、理解はシェアハウスの同居人、天彦と近所のショッピングモールに来ていた。
    “同居人”ではあるが、二人は最近付き合い始めた“恋人同士”でもあった。

    「天彦さん、すみません……あと本屋さんへ行きたいのですが、またお待たせしてしまうかもしれません……」

     モール内の雑貨店で買い物をしていたが、休日ということもあり混雑していて会計に時間がかかった。
    外で待たせてしまった上に、別の店でも買い物があることに理解は申し訳無さを感じていた。

    「お気になさらず。理解さんの行きたいところでしたら、天彦はどこへでもお供しますよ」

    「えと……ありがとう、ございます……」

    「照れている顔も、セクシーですね」

    「なっ!? よくそんなさらっと言えますね!?」

    「本心ですからねぇ」

     当たり前のことのように言いながら穏やかに笑う天彦に、恋人扱いされることに慣れていない理解は反応の仕方が分からず、顔を赤くするばかりだった。



    「ここも混んでいますね……」

     探している本の話などをしているうちに書店に到着し、目的の本を手に取りレジへ向かうと、やはりそこにも長蛇の列ができていた。

    「一緒に並びましょうか? 先程の店は狭かったので外に出ましたが、ここなら広いですし……二人で絡み合っていればあっという間ですよ」

    「かっ絡み合う? ってなんですか!? お店のご迷惑になるかもしれないので一人で並びます!」

    「残念です……わかりました、外で待っていますね」

     理解は“絡み合う”の意味がわからず疑問符を浮かべつつ会計へと向かった。
    時間は少々かかったがどうにか会計を終え、理解は外で待つ天彦の元へ向かった。
    外の通路には人が多かったが、周りよりも頭一つ分以上背の高い天彦の姿はすぐに見つけ出せた。

    「あま……」

     「天彦さん」と呼びかけようとしたが、人混みが途切れた瞬間に見えた光景に、理解は思わず言葉を飲み込んだ。
    天彦の隣で、見知らぬ女性が彼に話しかけているところだった。

    (お知り合いですかね? さすが天彦先生、女性との接し方に慣れて……えぇえっ!?)

     天彦に話しかけていた女性が突然彼の腕に抱きつくという、予想だにしない出来事が起き理解は思わず目を見開いた。

    (あああああまっ天彦さんが女性に抱きつかれている!? 人前でそんな……! もしかして秩序が乱れ!? えっ何これどういう状況!?)

     目の前の光景に一人あたふたしていたが、抱きつかれていても慣れた様子で会話をしている天彦を見ているうちに、理解は自分の胸がざわついていることに気がついた。
    何事においても自信を持って行動しているが─人間関係、特に恋愛─となると苦手意識や気恥ずかしさが邪魔をして、自信を持てずにいた。
    あまりの自信の無さから天彦に相談したこともあった。
    天彦に抱きついた女性に対して─人前で抱きつくなんてふしだらだ─と思っている反面─素直に好意を表せて羨ましい─と思っていることを自覚したとき、考えないようにしていた不安が頭をもたげた。

    (天彦さんには本当は、あの女性のように素直で可愛らしい方が相応しいのではないだろうか……手をつなぐことすら躊躇ってしまう私なんかよりも……きっと……)

    「理解さ〜〜〜〜ん!!」

    「……えっ!?」

     無意識に下を向き、その場から動けなくなっていたところに突然大声で名前を呼ばれた。
    理解が驚いて顔を上げると、女性と話していたはずの天彦がこちらに向かって手を振りながら近づいてきているところだった。

    「理解さ〜〜ん!! 買い物は終わりましたか〜〜?」

    「あ、あの……そんな大声で呼ばないでください……!!」

     周囲からの注目を浴びてしまい、居た堪れなくなった理解は天彦の手を引いて脱兎のごとく駆け出した。
    秩序を重んじる彼らしからぬ行動に驚きつつ、天彦も理解に手を引かれるがまま走った。
    建物を出たあたりで前を走っていた理解が力尽き、ようやく足を止めた。
    走り慣れておらず肩で息をする理解の背を、天彦が心配そうに撫でた。

    「理解さん……? 急にどうしました……?」

    「ハァ……あんな、大声……で……ハァ……叫ばないで、ください……よ……」

    「ああ、それは……すみません、なんだか不安そうに見えたものですから……」

    「そ、それは……なんでもな──!」

     理解の「なんでもない」と言いかけた言葉は、天彦に抱きしめられたことにより身体ごと閉じ込められてしまった。
    幸い建物の影で人目は避けられているが、それでも恥ずかしさは拭えなかった。
    理解は腕から抜け出そうともがくが、元々の体格差に加えて腕に力を込められたことにより、身動きが取れなくなった。

    「誤魔化さないでください……もしかして、僕が女性と話しているところを見ました……?」

    「──!」

     核心を突かれ、理解はびくりと肩を震わせた。
    理解の動揺とも取れる反応に、天彦が「やはりそうでしたか……」と小さく呟いた。

    「申し訳ない……なるべく早くお引き取り願ったのですが、迂闊でした。理解さんを不安にさせてしまうなんて、恋人失格ですね……」

    「失格だなんて!……それは違います」

     天彦の悲しみが含まれた声に、胸が締め付けられるような苦しさを感じた理解は、無意識に彼の背に腕を回した。

    「理解さん……?」

    「ごめんなさい……天彦さんを悲しませる気なんてなかったのに、私が勝手に不安になったせいで……」

     理解は天彦の肩に顔を埋めながら少しずつ、思っていたことを話した。

    「私には、あの女性のように感情のままに好意を表すことが難しくて……少しあの女性のことを羨ましく思ってしまって……天彦さんの隣には私は相応しくないのではないか、なんて……勝手に考えてしまいました……」

     顔を見られていないからか、まっすぐ気持ちを表すことができた。

    「理解さん!」

     理解の言葉を静かに聞いていた天彦が、突然抱きしめていた腕を解いて理解と顔を合わせた。
    自身の頬が熱を帯びはじめていることに気がついた理解は咄嗟に顔を背けようとするも、天彦の両手に阻まれた。

    「あの、あんまりこっち見ないでもらえますか……?」

    「やはり照れている顔も、セクシーですね」

    「うぅ……」

     天彦からの視線に耐えきれず、理解は両手で顔を覆った。

    「ああ、隠さないで……大胆な理解さんも、それはそれでセクシーだと思います。でも僕は、こんなにも初心な反応を見せる理解さんを愛おしいと思っています」

    「あ、あの、わかりましたから……」

    「では、顔を見せてくれますか? 僕から愛されていること、分かったんですよね?」

    「えっ……と、それは……」

     あまりにもストレートな言葉を受けて、理解は顔の熱さが増しているのを感じ、余計に手を離せなくなってしまった。

    「……僕はこんなにも理解さんを愛しているのに……理解さんは、僕と同じ気持ちではないのですね……」

    「えっ……!? 違います! って天彦さん、なぜ笑って──!」

     わざとらしく天彦が悲しそうに呟くと、また天彦を悲しませたのかと思った理解は慌てて顔から両手を離した。
    手を離した視線の先では天彦は穏やかに笑っていて、笑っている理由が分からず目を白黒させている理解の口に、天彦の唇が触れた。

    「ななな、何して……!?」

    「何って、キスですよ? 愛情表現の一つですね」

    「キッ……!? あ、愛情を表現……あの、他にも、その……表現する方法ってあったりしますか?」

     「キス」という単語に過剰反応したものの「愛情表現」という言葉に興味を惹かれた理解は天彦に尋ねた。

    「そうですねぇ……簡単なスキンシップで手をつないだり、ハグをしたりすることも表現の一つと言えると思いますよ。あとは……まあ、ココでは言わないでおきましょうか」

     最後の言葉に疑問を抱きつつも、理解は「なるほど……さすが天彦先生!」と天彦に尊敬の眼差しを向けた。

    「ありがとうございます、先生! キ……などはまだまだ私からはできないと思います……ですが、がんばりたいと思います……!」

    「そう言ってもらえて嬉しいです。でも理解さん、こういったことは考えるよりも行動する方が理解できますよ。なので早速、手をつないで帰りましょうか!!」

     勢い良くそう言って、天彦が理解に向かって左手を差し出した。急な展開について行けず、理解は狼狽えた。

    「えぇえっ!? い、いきなりそれは……」

    「さっきは天彦の手を引いて走ったじゃないですか? 走り出したことには驚きましたが、手をつなげて嬉しかったですよ」

    「あああ、あの時は無意識で!」

    「では今度は意識して、つなぎましょうか!」

     「がんばる」とは言ったものの、差し出された天彦の左手を見つめたまま理解はまたも「うぅ……」と呻いた。
    願望がないわけではないとは言え、そう簡単にはいかないものだった。
    なかなか行動に移せない理解を見て「我ながら性急でしたね……」と天彦が苦笑しながら呟いた。

    「すみません、調子に乗りすぎました──っ!?」

    「きっ今日のところは、これで勘弁してください……」

     理解は蚊の鳴くような声でそう言うと、差し出された天彦の左手の小指を握った。手をつなぐには覚悟が足りず、それでも勇気を振り絞った結果だった。

    「……!? エクスタシ〜〜〜〜!!!!」

     恋人からのあまりにも可愛らしい反応に、堪えきれなくなった天彦の今日一番の叫びが、夕暮れ時のショッピングモールにこだました。
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