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    うすきみ

    @usukimi377

    七海建人の沼にハマっております
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    うすきみ

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    #七海建人
    sevenSeasBuilders
    #七夢
    sevenDreams

    術式が使える本屋の店員と七海建人の話「すみません。この本を探しているのですが」
    午後の店が落ち着いた時間。
    棚の整理をしていると低い声に問われた。
    営業スマイルを顔に貼り付けて振り返るとそこには噂の王子が立っていた。
    「はい。こちらです」
    私は彼の前を歩き、お目当ての本のところまで案内する。
    一冊の本を棚から出し「こちらでよろしいですか?」と聞くと、少し口角を上げて「ありがとうございます」と嬉しそうにしていた。
    彼は良く見るお客様だ。
    いつもベージュのスーツに変な柄のネクタイと変なサングラスをしている。
    金髪に高い身長、日本人離れした顔で気にしてなくとも覚えていた。
    レジで対応した同僚は「対応がマジ紳士。マジ神。マジ王子」と興奮して語彙力を無くしていた。
    それが発端となり、私の店ではちょっとした有名人となり、彼が来店した日は女性スタッフがざわめいていた。
    私はというと、さして興味は無い。
    かっこいいとは思うが、どうせ高嶺の花だし、紳士だけど見た目がアッチの人っぽいし、正直どうでもよかった。


    お昼の休憩中、店の裏のベンチで煙草を吸いながら小説を読んでいた。
    本屋に勤めるいい所は、新刊を直ぐに読める所だ。
    今日は大御所ホラー作家の新作が出版された。
    久しぶりの新刊に我慢出来ず、休憩中に買って読み始めてしまったのだ。
    数ページ読み進めていくと、不意に本に影がかかる。
    そちらを見上げると、本に出てくるよりおぞましい姿をした何かがこちらを見ていた。
    開ききった口からは涎が垂れる。
    私はそれを避けるように少し体を捩り、煙草を吸い込む。
    そして煙をそいつに向けて吐きながら、イメージする。
    昔の拷問器具、アイアン・メイデン。
    すると、奴に吹きかけた煙が物体化し、おぞましい姿を包み込む。
    「ギ……グ……」
    苦しむような声が聞こえるが、気にせず次の煙を吐く。
    紫煙は杭の形に変化し、奴を真上から串刺しにした。
    醜い掠れたような声と共にそれは姿を消した。
    私はため息を一つ付き、横に置いておいたコーヒーを飲む。
    はぁ……めんどくさ。
    再び本に目を落とすと、またしても影がかかる。
    ウンザリしながら顔を上げると、今度は噂の王子が私を見下ろしていた。
    「貴女、呪術師ですか?」
    「はい?」


    「私は七海建人といいます。呪術師をしています」
    「はぁ……」
    仕事帰り、近くのカフェで何故か噂の王子と向かい合って座っている。
    というのも、あの後話がしたいと言われたのだか、休憩も終わりそうだったので、仕方なく終業後に会うことにしたのだ。
    あわよくば逃げようかとも思っていたが、彼はしっかり店の前で待っていた。
    そして今に至る。
    「呪術師とは、あなたが昼間祓った呪霊を祓う仕事をします。呪霊とは、人の負の感情からーーー」
    彼は教科書を読んでいるような説明を淡々としている。
    が、そもそも興味もなく、言ってる意味が分からない私には退屈でしかない。
    どうやらそれが顔に出ていたようで、彼の眉間に少し皺が寄る。
    「興味無い、という感じですね」
    「まぁ……正直」
    「では、話題を変えましょう。貴女の術式は何ですか?」
    「術式?」
    いやだから。
    「専門用語使われても分かりません」
    「もしかして……あなた本当に何も知らずに生きてきたんですか?」
    「はぁ。私は何の変哲もない普通の家庭で育ちましたよ。その術式?とかいうのもよく分かりません。物心着いた頃には変なの見えてたし、中学生の頃にはあれ使えました」
    「中学生の頃から煙草吸ってたんですか?」
    「違います。私の口から出た物の形をイメージして変化させる事が出来るんです。だから中学生の頃はジュースとかガムとか使ってました。冬は息が白くなるので何も無くても出来たし」
    「なるほど。貴女は口から出される物に呪力を乗せる事が出来るんですね。それをイメージで具現化することが出来ると。かなり強力ですね」
    王子様は顎に手を当てた何かを考えている。
    そして数分考えた後、私を真っ直ぐ見つめ言った。
    「あなたも呪術師になりませんか?」
    「は?嫌です」
    「即答ですね」
    「呪術師?がどんなかはよく分かりませんけど、あんなのと戦わなくちゃいけないんですよね?そんなの嫌ですし、私は本が好きで今の仕事に就いたくらいなので辞める気はありません」
    「本が好きなんですか?」
    「はい。あなたが先日私に聞いた本。あれ絶版なの知ってますか?」
    「はい。だからダメ元で聞きました」
    「あの本、私のチョイスで置いてたんです。あの作家さん好きで何とかして取り寄せたんです」
    「そうなんですか。本当にお好きなんですね」
    「はい。だから辞める気はありません」
    彼は暫く私を見つめた後、ため息を吐いた。
    「分かりました。危険な仕事ですし、無理強いはしません」
    危険な仕事なら最初から誘わないで欲しい。
    口には出さなかったが顔には出ていたようで、彼はふっと息を吐いて笑った。
    「ところであの作家の作品、お好きなんですか?」
    「え?」
    急な方向転換に思わず聞き返す。
    「あの本は貴女のチョイスなんですよね?」
    「あぁ、はい。基本はホラー作品が好きなんですけど
    あの作家さんのミステリー作品だけは全部読んでます

    「なるほど。どんな所がお好きですか?私が一番好きなのは三作目のーーー」
    そこからは、あの作家のこの本が好きだとか、彼がどんなジャンルが好きかなのかとか、ほとんど本の話をしていた。
    始めは嫌々話していた会話も、帰る頃には楽しくなってしまって随分と話し込んでいた。
    「あ、もうこんな時間ですね。随分と長居してしまいました」
    彼はそう言いながらスーツの内ポケットから名刺を取り出し、何かを書き足した。
    「これ、私の連絡先です。もし何か困ったことがあればいつでも連絡して下さい」
    「はぁ……分かりました」
    名刺を受け取り少し見つめた後、スマホケースにそれを仕舞う。
    「ご自宅はこの辺ですか?送ります」
    スマートに伝票を持ち立ち上がる。
    「大丈夫です。ここから五分くらいなので」
    「いえ、送ります」
    「いや「送ります」
    「はい……ありがとうございます……」
    強情だな。
    あんなに紳士と言われている彼でもこんな所あるんだなとぼーっと思っていると、あっという間に会計が終わっていて、「払います」と財布を出そうとすると、それを制止された。
    「久しぶりに楽しい時間を楽しめました。これはそのお礼ということで」
    優しく細められる目に「確かに王子だ」と思いながらお礼を言った。
    その後私のマンションの前まで送ってもらい、その日はそのまま別れた。


    仕事を終え、明日の休みに読む本を物色していると後ろから声をかけられた。
    「お疲れ様です」
    振り返ると、そこには王子が立っていた。
    今日はいつものスーツだが、あの変なサングラスは取られていた。
    「お疲れ様です」
    「もうお仕事は終わったんですか?」
    「はい。終わりました」
    「もしよろしければこの後食事に行きませんか?」
    「は?」
    確かにこの前、一緒にカフェには行ったけど、それは話をする為であって。
    てか、一緒に食事に行くほど仲良くなった覚えもない。
    なんだ、また勧誘でもしようと思ってるのかな。
    私の考えは相変わらず顔に全て出ていたようで、彼は少し困ったように笑う。
    「勧誘するつもりはありません。あなたとまた話がしたいと思っただけなのですが、ご迷惑でしたか?」
    あぁ……この人本当に顔がいいな。
    イケメンにそんな顔されたら、いくら興味のない私でも多少の申し訳なさは感じてしまう。
    「いえ、迷惑ではないです。本を買ってからでもいいですか?」
    私が答えると彼は嬉しそうに目を細め返事をした。

    どんなお洒落な店に連れていかれるのかとヒヤヒヤしたが、連れてこられたのは普通の居酒屋だった。
    酒好きの私としては嬉しい限りだ。
    「何を飲まれますか?」
    メニューを差し出しながら彼が問う。
    「あ、ビールで」
    私の答えを聞くと、タブレットで飲み物と少しのツマミを注文してくれる。
    「結構飲まれるんですか?」
    「えぇ、それなりには」
    「それはよかった」
    注文したドリンクが届き、軽く乾杯をする。
    「はぁ……うまっ」
    「あなたは本当に顔に出ますね」
    ジョッキを起きながら彼が言った。
    「そんなに分かりやすいですか?」
    「えぇ。私がよく見てるからかもしれませんが」
    「は?」
    言葉の意味がわからない。
    確かに友人や同僚にも顔に出やすいとは言われるけど。
    「私は貴女と親しくなりたいと思っています。できれば友人以上の関係になりたいと」
    「え?」
    「貴女とお付き合いしたいと思ってます」
    きっと今私は口をぽかんと開けたまま呆けた顔をしているだろう。
    「いやいや。何処にそんな要素が。そもそも話したのだってこの前のがはじめてだし」
    「貴女からしたらそうでしょうね。私はもっと前から貴女の事見てました」
    「こわっ」
    彼の眉間に皺がよる。
    「別にストーカーでは無いですよ。貴女のお店に通っていたのでという意味です」
    「はぁ……」
    「棚で本を並べている時の嬉しそうな顔が印象的で気になっていたのですが、なかなか話すきっかけがなかったので、声をかけられずにいました」
    え、見られてたの?
    何か恥ずかしい。
    「術式を使えたのは驚きましたけど、それでも貴女と話すきっかけが出来たのは嬉しかった」
    話をする彼の顔は真剣で、決してからかってるとかでは無いようだ。
    「もし宜しければ、これからもこうして食事に付き合って貰えませんか?お付き合いをする前提で」
    「七海さん押しが強いって言われません?」
    「貴女にだけです。この機会を逃したくない。客の一人で終わりたくない」
    「私に彼氏がいるかもとか考えなかったんですか?」
    「考えましたが、口説き落とせばいいかと」
    「くどっ」
    私は一瞬で顔が真っ赤になった。
    「ふふ。顔が真っ赤ですよ」
    「あなたのせいですよ」
    「その感じですと恋人はいなさそうですね」
    そう言ってジョッキのビールを飲み干す。
    「では、これからよろしくお願いします」
    「七海さん押しが強い」
    「貴女にだけです」
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    うすきみ

    DONE呪詛ミン×非術師女夢主
    曖昧な関係を続けていると思っていた夢主のお話
    関係に名がつけば 私には微妙な関係の男性がいる。セフレと言うには甘過ぎて、彼氏と言うには確信の無い関係だ。

     彼と出会ったのはたまに行くバーだった。その日は厄日かと思う位ついてなくて、ただでさえ落ち込んでいるというなか、トドメの様にクソ上司に残業を押し付けられた。何とか終電前には終わったけれど、そのまま帰る気にもなれずそのバーに寄った。空腹に構わず強い酒を煽っていると低く良い声が声を掛けてきた。振り向くとそこには大層なイケメンが立っていた。
     酔っていたし何の話をしたかは良く覚えてないけれど、彼が私の隣に座って琥珀色の液体を水の様に飲んでいたのは覚えている。会話をしながら飲んでいるうちに、自然な流れで手を握られ、耳元で何かを囁かれ、私はよく分からずにそれに頷き、肩を抱かれて店を出た。そのまま何処かの綺麗なホテルで体を重ねて、気づいたら朝だった。しかし、何をしたか、どんな風にしたかを薄ら覚えている辺りが恥ずかしい。いっそ記憶を無くしていればどんなに良かったかと思うほど、昨夜の私は乱れに乱れていた。言い訳をさせてもらえば、酒と疲れのせいだ。
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