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    きゅう

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    POIPOI 11

    きゅう

    INFO10/27 COMIC CITY SPARK 19にて頒布予定の新刊サンプルです。
    《以下注意点》
    ・上下巻となっているので、上巻からの続きものです。下巻のみだと話の流れが分かりづらいかもしれません。
    ・ミスラとルチルがギスる描写があります。
    ・暴力を示唆する描写あり
    桃花と弾丸 下 手狭な部屋に響き渡る生活音。小さなちゃぶ台。大雑把な手料理の味。早朝の静寂。ノートに向かって走る筆。そして「ミスラさん」と名を呼ぶあなた達の声。
     食って、眠って、暴れて、そしてまた眠る。
     そんな空虚な日々に突如舞い込んできた彼らとの生活は、案外刺激的で、安らぎがあって、日を追うごとに身に馴染んでいった。まさかこの俺が、あの女……チレッタの息子とこうして一つ屋根の下で暮らすようになるとは夢にも思わなかった。

     そんな共同生活にも慣れてきたある日、いつものように窓から飛び降りると、俺の眼前に見慣れた色が映り込む。満開の花を背にかかるのは黄金色の傘。
    「……ドン・スノウ」
    「ほう。やはりミスラか」
     スノウは振り返らずとも、足音だけで俺がミスラだと言い当てる。背から漂うのは、計り知れない重圧と威厳。護衛と招集以外でこうして鉢合わせることなんて滅多にないのに、どうしてこのタイミングで……ばつが悪いな、と眉間に皺を寄せる。
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    きゅう

    DONEミスルチWebオンリー 展示①
    「平凡で特別な贈り物を」
    ルチルに対する感情をいまいち自覚していないミスラが、誕生日に贈り物をする話。2部後、魔法舎軸です。
    ※涙の果てで紫花の微笑みを(イベスト)、2024ルチルBDカドスト、ルチルBDボイスのネタバレを含みます。
    平凡で特別な贈り物を 心底面倒な任務を仕方なくこなしてやり、魔法舎の広間へと空間を繋げた。大階段の側から無邪気な笑い声が聞こえてきて、振り返るとルチルがフィガロとミチルと談笑を広げている。
     その表情に、ちょうど目が止まったのだ。
     気の抜けたように笑う姿を見て、ああ、やっぱりしっくりくるな、と思った。
     
     先日、ミスラとルチルを含めた魔法使い8人で、大鴉を鎮めるまじないの儀式を取り行った。
     その際、終始思い悩むように眉を顰める表情がどうにも見慣れなかったのだ。
     ミスラの言動に立て付く勢いもなく、思い悩むように眉を引っ提げ、口を噤む。無事儀式を終えた後だって、ほっとしたような、泣き出してしまいそうな顔で笑うから、またよく分からなくなった。だったら直情的にバスケットで殴られる方がまだましに思えるくらい。それくらい不自然で、見慣れないものだった。
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