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    あらた

    @arata00msms

    20↑成人済女性。文字書き。
    現在は原神ヌヴィレット推しで活動。
    CPあり→リオヌヴィ(固定)
    CPなし→ヌヴィレット中心にフォンテーヌキャラや他国のキャラとのお話など。
    旅人は空くんイメージで書いてますが、名前は「旅人」固定です。

    Xのまとめだったり、Xにあげるにはちょっと…という作品置いてます。後日ピクシブにて公開することもあります。
    追放水龍のお話、後ろにお知らせ追加しました。


    🔑
    ⛓🌧の順で誕生月4桁

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    あらた

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    ヌヴィさんが自分の髪に嫉妬しちゃう話。
    リオは眷族化済で長命になってます。
    Xにて公開済作品で一部加筆修正あり。
    短髪🌧さんです。

    リオヌヴィ「……切ってしまうか」
    起きたばかりでまだ結わえるどころか梳かしてもいない自分の長い銀髪を一房指で掴みながら呟く。
    思わず口に出た言葉に背後にいた人物の動きが止まる。
    私はなにか変な事を言っただろうか?
    振り返ればブラシとリボンを持ったまま凍結反応のような状態になっている番……リオセスリ殿がいた。
    リオセスリ殿? と声をかけて彼がようやく動き出す。
    「ああ、すまないヌヴィレットさん。ところで何か切ろうとか言ってたみたいだがまさかコレの事じゃないよな?」
    コレ、と言いながらリオセスリ殿の指先が壊れ物を扱うように優しく髪に触れると一瞬、何か心がモヤモヤしたような気分になる。
    「そうだ。最高審判官ではない今、長い髪を維持する必要がないし手入れも手間がかかるので切ってしまったほうが合理的だと思ったのだが」
    最高審判官の座を退いてそれなりの年月が経った。
    重厚な法衣も着なくなり、面影を残すのは変わらずに長く伸ばされた髪くらいだろう。だがそれも、威厳ある装いの一環だったので無くしてしまっても問題ないだろうと考えての事だ。
    「手入れなら全部、俺がしよう」
    「全部君任せというのも迷惑だろう」
    「ヌヴィレットさんに関する手入れが迷惑だなんて今もこれからも思わないな」
    「それが、嫌なのだ」
    「?」
    「君が私ではなく私の髪に夢中になるのが嫌なのだ。だから手入れなど必要ない長さにしてしまえば……」
    君は私を見てくれる、と続けようとした口はリオセスリ殿の口によって塞がれてしまう。
    「……話を途中で遮るのは無礼ではないのかね」
    「失礼。ヌヴィレットさんが自分の髪相手に焼きもち焼いてるのが可愛くてつい」
    焼きもち。
    そう指摘されて初めて己の内に生まれた感情の正体に気づく。
    「……私は、私に嫉妬していた……?」
    「ははっ、そうだよ。でも、そういう気持ちにさせた俺も悪かった。……ヌヴィレットさんがそうしたいなら切ろうか?」
    短い髪も似合うだろうしなぁ。
    そう言いながら彼が手櫛で私の髪を優しく梳く。その手つきが心地良い。
    「君が髪に触れる行為自体は好ましいので、それが減るのは少し寂しいかもしれない」
    なので今以上に私自身をかまって頂けないだろうか?
    愛しい、愛しい、番殿。






    「ヌヴィレットさん、とっても似合ってるのよ!」
    「ありがとう、シグウィン。……すまない。今日は新しいリボンを見繕ってもらうはずだったのに、今の私には不要になってしまった」
    「そんなこと気にしなくていいのよ。あ、そうだ! なら今のヌヴィレットさんに似合う服をコーディネートしてもいいかしら?」
    「ああ。お願いしよう」
    歌劇場裏手で看護師長やちょうど休日だったメリュジーヌたちが俺たちを待っていた。今日は彼女たちと一緒にフォンテーヌ廷でショッピングの予定。かつての俺たちの身分を知るものは彼女たちくらいなのだが、あまり目立たないようにと看護師長との待ち合わせはいつもメロピデ要塞へ繋がるリフト付近だ。
    真っ先に俺とヌヴィレットさんに気付いた看護師長は耳をピョン、とはねて驚くと共に真っ先にヌヴィレットさんに駆け寄った。他のメリュジーヌたちも同様に。
    視線を合わせるようにしゃがんで彼女たちの話を聞くヌヴィレットさん。嬉しそうに笑うメリュジーヌたちに囲まれるヌヴィレットさん。こちらも大好きな眷族に囲まれて幸せそうに慈しむそうな優しい微笑み。なにこの尊い空間。写真撮っておきたい。俺の番めちゃくちゃ可愛い。
    今日の予定が決まったらしくメリュジーヌたちに手を引かれ、順水艇乗り場まで向かっていく。
    俺も置いて行かれないように後をついていこうとするとクイクイ、と手を引かれる。
    「どうしたんだい。看護師長」
    「公爵、すっごく頑張ったのね」
    「……正直、爵位を賜った時や眷族になった時よりも一番緊張した」
    前を歩くヌヴィレットさんの後ろ姿に見慣れた長い銀髪と腰下で結わえていた濃紺のリボンはなく、毛先が肩よりも上で風に揺れている。
    「ウチ、すっごくびっくりしたのよ。短い髪のヌヴィレットさんを見るの初めてだから。いつかは切っちゃう日がくるとは思ってたけど、公爵なら結える長さは残すと思ってたから」
    だって、公爵。ヌヴィレットさんの髪好きでしょ?
    そうはっきり言う看護師長に隠し事は出来ない。降参だ、と言わんばかりに両手を上げて見せる。
    「俺もそのつもりだったんだけどなぁ……」
    『折角なら君とお揃いにしてみたいのだが、駄目だろうか』
    鏡越しにそう頼まれると駄目とは言いにくい。そもそも、そうなるきっかけが俺なのだから尚更。
    「ヌヴィレットさんに『お願い』されちゃあ、断れないだろ」
    「そうね。公爵はヌヴィレットさんに甘々だもの。……ねえ公爵、こういうのはどうかしら?」
    看護師長がこっそりと俺にだけ聞こえる音量で話す作戦。
    「……それはヌヴィレットさんには効果バツグンだな。なんせ愛しい愛娘からの『お願い』だ」
    「あら。龍は番からの『おねだり』にも甘々なのよ?」
    ふふ、と笑う看護師長の笑みは可愛らしいながらもどこか含みがある。メロピデ要塞……いや、俺の影響か? と若干現実逃避をしかけたが、前方にいるメリュジーヌたちの呼ぶ声に意識を戻す。

    後日、予想通りヌヴィレットさんは俺と看護師長の『お願い』を聞いてくれた。
    そして俺のヘアアレンジスキル(ヌヴィレットさん限定)がめちゃくちゃ上がったのは別の話。
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