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    マレレオ政略結婚ネタをこすりたい
    (名前のないモブ妖精がめちゃくちゃ話してるよ!)

    プロローグ的な…?学園を卒業後、マレウスにはいくつもの縁談話が届いていた。知らない国やはたまた見知った顔の大臣の娘など千差万別だった。マレウスは、世間一般でいえば長いこと生きているが、妖精の中ではまだ若者に入る年齢だった。マレウスの祖母にあたる茨の谷女王も、孫にはまだはやいと見合いの話は断っている様子ではあるが、マレウスの手元には見合い相手の写真やらプロフィールやらが届く。それに辟易して、城にある植物園で身を休ませているとき、幼い頃から見知った顔の妖精がマレウスに近づいてきた。
    「マレウス様!最近、お疲れのようですがどうしたんですか?」
    「ああ、お前は薔薇の……」
     思い出したかのように妖精の名前を呼ぶと、彼女はにっこりと笑顔を返してくれた。それに、幼少期に戻ったかのような錯覚をマレウスは感じた。
     今のマレウスは、魔法力が溢れんばかりにその身から漂っている。だから、小さき妖精族たちはマレウスに近づくことすら出来ない。身体が恐怖により支配され、近づこうとも思えないのだ。彼女だけが唯一、マレウスが大きくなっても昔のように話しかけてくれる妖精だった。
     マレウスは最近疲れている理由を、端折って彼女に伝えると、彼女はまあまあ、と口に手を添えぽっ、と顔を赤らめた。
    「あんなに小さきマレウス様がもう縁談の話がくるお年頃になっただなんて!時間って過ぎるのも早いものですわね。」
    「ああ、僕もそう思う」
     そう、時の流れだなんて妖精にとっては瞬きの間。諸外国からも、縁談の話は持ちかけてこられているが相手が生きているのも100年も満たない間だけだ。そんな相手に、どのようにして情をもてというのだろう。マレウスはまたため息を着きたくなった。
    「それならばマレウス様、わたくしからも縁談話をもちかけたいのです」
    「お前から、縁談話、だと…?」
     ぱちくり、と瞬きをするマレウスにくすりとその妖精は笑う。
     ぱっ、と光の粒子が舞ったと思うと妖精は小さきその手にカメラのようなものを携えていた。
    「最近の人間たちはこのようなもので記録を見るのでしょう?マレウス様も若者が多き場所に居たと聞いておりますのでこのような形状にしてみました」
     また光の粒子が舞う。辺りは先程よりも暗くなっており、これはあの異世界からきた人間が言っていた"エイガ"というものではないだろうか、そうマレウスは思った。
     えい、と妖精はカメラらしきものについてあるボタンをポチッと押した。ジジっ、と音を鳴らしそれはマレウスに記録を共有した。
    「確か、少し前のフェアリーガラのことです。わたくし、とうとうお呼ばれしましてねそれはもうおめかしを気合を入れて赴きましたの。けれど、そこにはわたくしよりも遥かに綺麗で美しい猫の妖精の方がおりました。わたくしはあの妖精の方のような美しい方にマレウス様の隣に立ってほしいのです」
     きゃっきゃっ、と頬を染めて話す彼女の話にマレウスは耳を傾けなかった。いや、傾けられなかった。
     マレウスは、今目の前で共有してもらった記録に目が釘付けられていた。美しく、煌びやかに照らされて輝くブルネットの髪。隣で彼女がこの時のお題はエキゾチックだった、と語っている。
     ああ、マレウスはよく知っている。彼女が猫の妖精と呼ぶ彼のことをマレウスはよく知っているのだ。なんなら、その作戦の時に概要を聞いていた。マレウスは小さき妖精たちに怯えられるからとフェアリーガラの舞台に選ばれた植物園に寄り付きもしなかったし、猫の妖精、もといレオナ・キングスカラーとカリム・アルアジーム、ジャミル・バイパーがショーにでると聞いた時もなにも興味がわかなかった。同学年のイデア・シュラウドの手腕でその様子は中継されていたようだが、マレウスは微塵も興味がなかったのだ。
     それがどうした。今になって、そのときの記録を目の前に突きつけられてこんなにもマレウスは動揺している。胸の動機が激しい。こんなこと、生まれてこの方したことなかった。
     妖精は、マレウスの反応がなにもないことを不思議に思いその顔を覗き込む。すると、まあ!と色めいた声を出してにこにことまた微笑むのだった。

     マレウスは恋の表情をしていた。番をみつけた妖精の顔をしていたのだった。

     これは女王様にも早く連絡しに行かないと、と妖精は魔法を自身から切り離し、独立させるとマレウスにその記録を握らせた。
    「茨の谷次期国王様、マレウス様。あなたの未来に幸多からんことを、わたくしはいつも願っております」
     そういうと、妖精はまたどこかへとひらり消えていく。その場には、放心状態で宙を見るマレウスだけが残されたのだった。
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