つまんない「次男まてぇぇぇ」
「はぁ」
「教えろ次男」
他人から見れば教科書とノートを見開きながら、ダミアンを追いかける少女の様は恐怖映像だろう。
「………」
いよいよ2期目の期末間近。
アーニャは心から悲鳴を上げていた。なぜなら父ロイドの勉強の教え方はさっぱり理解不明である。
(父は昔からそう…教え方、下手!アーニャの頭じゃ分からない)
しかしそんなことを言っている場合ではなく、今回赤点が1枚でもあれば雷確実である。そんなことになれば、また父からとてつもなく長い説教を受けることは明白。かと言って母ヨルも当てにならければ、叔父に当たるユーリもだ。ならば、とアーニャは勉強が得意なダミアンに頭を垂れるしかないのである。
「次男、勉強教えろ、ください!」
「あー、お前って…本当にアホなんだな。よく今まで進級出来てたもんだぜ…」
(そ、それは心の声を聞いてるからー…はまだ言えない)
いつまでも読心と言うカンニングをしている訳にも行かず、少しでも頭のレベルを上げたい所であるため、いよいよアーニャは覚悟を決めた。
「よろろすお願いするます!」
「暇じゃねぇぞ俺様だってな!し、仕方ないから教えてやる!有難く思えよ」
「ウィッ!」
期末テストは1週間後だ。ダミアンによるスパルタが始まった。
「はぁ何でだよ何でこの答えがそうなるんだ違ぇって言ってんだろにやけブス!」
「ああん?ブスゆうか今こそ必殺の最上級パンチをお見舞いするしか」
「いいから早く解け」
(この、くそやろう…)
「…赤点回避したらピーナッツの何かくれてやる」
「えっ、任せろ次男!アーニャめっちゃやる!」
「お前ピーナッツに取り憑かれてんのか?」