催眠で負かす「彷徨を、負かしたい?」
「負かしたい!」
授業終わりの放課後、未夢は三太を呼び止めた。彷徨を負かしたいと言う何とも微妙な理由でだ。長年彼の親友である三太ならば、何か負かすための方法を知っているはずだと踏んだ。
「アイツに勝つ、ねー…って、俺だって無理な話なんだよ?勝った事ないし」
「そこをなんとか!三太くんなら弱点とかさ、ギャフンって言わせる何かを知ってるでしょ?」
弱点って多分目の前の君だよ、とは思うがそれは言っても良いものなのかと悩むが、流石に言いづらいので敢えて考える。負かす方法、そんなのあったら全校男子が知りたい所だと思う。
あっ、と三太は声を上げ、最近図書室で面白い本を借りたのでそれを鞄から取り出す。
「分かったこれ試してみない?」
"催眠術"と書かれたタイトル。
「ちょ…三太くん…いくら何でも…」
「分かってる、みなまで言わないで。でも試してみたくない?催眠かかって何でも言う事聞く彷徨ってどう?手のひらで転がす事が出来んだぜ」
やや興奮気味の三太に未夢は若干引き気味だったが、催眠にかかった彷徨と言うのは何ともワクワク感がある。が、にわかには信じがい。テレビでよく見るが、あれはかかっている演技にしか見えないからだ。
三太はその本を拡げた。
「えーと、催眠にかかりやすい人は…」
相手の言葉を鵜呑みにする
イメージするのが得意
自分で決断できない依存体質
他人に振り回されがちで自分に自信がない
スピリチュアルが好きで催眠術にかかるのがメリット
目を見て話すことで相手に共感しやすい
催眠術にかかった経験がある
恐怖感から心霊現象だと勘違いしてしまう
催眠術にかかった人を見て信じてしまう人
集中するのが得意
「これが、条件なら彷徨無理じゃない?あっても、2番目と最後しか当てはまらないと思うんだけど?」
「とりあえずやるだけやってみる前に、俺らが体張って実験だな!条件的に未夢ちゃんかかりやすそうだけど」
「わ、わたし絶対かからないよ!三太くんの方が良くない?」
ってまでやっといてその先を諦めたさくみさん。だから、こっちに投げました。ごめんなさーい!