理由断末魔と共に魔物が地に伏せる。刃に付いた血液を振り払って、ゼロスはため息をついた。連戦が続き、流石に疲労が募っていた。
「……ったく、もうすぐ街だってのに、この辺やけに魔物が多くねえか?」
傍で、同じように魔物を倒し終えたロイドに問いかけるも、返事がない。どうかしたのかと振り返ると、ロイドは二振の剣先から血を滴らせたまま、ぼうっと突っ立っている。
「ロイド?」
怪我でもしたのかとゼロスが側に寄っても、ロイドは少し荒い息を吐きながら、返事をしない。いつもと違うロイドの様子に、ゼロスは眉根を寄せて肩に手をかける。
「ロイドく〜ん、……聞いてる?」
「え……、ああ!ごめん、ちょっとぼーっとしてた」
急に我に返った様子で、ロイドが笑う。その笑顔に違和感を覚えて、ゼロスはロイドの目を覗き込んだ。思えば、今日は朝からどことなくおかしかった。それはゼロスでなければ見逃してしまうほどの、小さな変化ではあったがーーー。
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