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    heath_crown

    @heath_crown

    ゼロロイは健康寿命に良い。

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    heath_crown

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    ゼロスの婚約の話とか書きたいな〜!と軽い気持ちで始めたのが、ものすごい文字数になりそうで諦めました。ゼロスの結婚てタイトルだけど結婚してないしハピエン厨なのでハッピーエンドだよ(終わってないけど)

    #ゼロロイ
    zeroloy

    ゼロスの結婚1 .イセリア/ジーニアス

    「ゼロスが結婚!?」
    その日珍しく、イセリアにあるジーニアス達の家に客人があった。ちょうどその時、リフィルは町長に依頼された仕事で留守にしており、家にはジーニアスだけだった。そもそも、ジーニアスもリフィルも、現在は拠点を移しながら研究をしているので、イセリアに常駐しているわけではない。たまたま、イセリアの家に里帰りしていたこのタイミングを見計らうように現れたのは、目的は違えど、同じく世界中を旅している、ロイドだった。トレードマークの赤い服ではなく、落ち着いた色合いの服ーー恐らく、ゼロスが見立てたのであろう、ロイドによく似合っているーーを着ているので、近頃少し精悍になった顔立ちと相まって、ジーニアスの記憶の中のロイドより随分と大人っぽく見えた。ジーニアスは、ロイドのーー人間のその成長の速さに、少し胸が熱くなった。
    ロイドと久しぶりの再会を喜んでいたのも束の間、わざわざジーニアス達を訪ねて来るなんて何かあったのかとロイドに尋ねると、なんと、ゼロスが結婚するのだという。口をあんぐりと開けたジーニアスを見て、ロイドはおかしそうに、首を傾げた。
    「そんなに驚くことか?」
    あいつもう二十六だぜ、と言うロイドの笑顔に、ジーニアスは違和感を覚えた。長年の付き合いは伊達じゃない。これは、ロイドが無理をしている時の顔だ、とジーニアスは扉を開けた時から直感していた。どれだけ成長しようと、それを見誤ることはない。そこに、ゼロスの結婚、だ。
    「驚くよ。だって、ゼロスとロイドは……」
    ジーニアスは口をつぐんだ。二人がお互いを想い合っていることは、かつて旅を共にした仲間なら誰でも知っている。けれど、それを本人達から直接聞いたわけではない。それでも、ロイドがこうしてジーニアスを訪ねてきたということは、きっと、何か助けて欲しいと思っているはずだ。ロイドは、本当に辛いとき、他人に頼らないーー自分には、泣いたり、逃げる権利などないのだと、強い人間でいることを課している。だからこそ、ラタトスクの事件の時には、もどかしく思ったものだが、そのロイドが今、ジーニアスを頼っている。その事実を信じて、ジーニアスは手を握り、ロイドのヘーゼル色の瞳を見つめた。
    「二人は、恋人同士じゃないの?」
    ロイドは、曖昧に微笑んだ。その微笑みがあまりにもロイドらしくなくて、ジーニアスはショックを受けた。
    「そう、だな。でも、今は違う」
    微かに俯き、影のさすロイドの表情に、ジーニアスは腹の底からゼロスへの怒りが湧いてきた。むかつきすぎて、泣きそうだ。だって、突然現れて、ロイドの心を掻っ攫っておいて、こんな顔をさせるなんて!
    ジーニアスの怒りを感じたのか、ロイドは顔を上げて慌てて言った。
    「違うんだ、ゼロスを責めないでくれ。最初の旅が終わった時から、早く結婚するように、ゼロスはずっと言われてたんだよ。……俺との旅のために、長引かせてくれてたんだ」
    ロイドの言葉に、嘘はないようだった。確かにゼロスの生まれたワイルダー家は、テセアラでは王家に次ぐ力を持っているらしい。シルヴァラント出身のジーニアス達はピンと来ないが、その家名を聞くだけで、擦り寄ってくる輩も多いと聞く。詳しくは知らないが、ゼロスの両親も若くして望まない結婚をさせられたらしいーー次代の神子、ゼロスを産むために。
    ハーフエルフとして生まれたジーニアスとは、ゼロスはまた違う苦しみを背負って生まれたということは理解できる。それは、業のように、逃れられないものなのかも知れない。それでも……ゼロスがロイドをどれだけ想っているか、ロイドにとってゼロスがどれほど特別な存在か、再生の旅で見てきたジーニアスは、言葉を挟まずにはいられなかった。
    「でも、ロイドはそれでいいの?ゼロスだって、あいつがそんな簡単に、ロイドを諦めるわけない……」
    そうだ、ゼロスがロイドを捨てて、簡単に結婚を決めるはずがない。どちらかと言うと、駆け落ちでもしそうなタイプだ。
    (そうだよ、何か、おかしいーー)
    ジーニアスはようやく、話の流れに違和感を覚えた。ジーニアスの疑問に答えるように、ロイドは苦笑した。さっきからロイドは、誤魔化すように笑ってばかりいる。
    「ゼロスは何も悪くない。俺の方から、別れようって言ったんだ。……決めてたから。次にゼロスに結婚の話が出たら、別れるって」
    「どうして……」
    ジーニアスは呆然と言った。こんなの、全くロイドらしくない。そんな、諦めたような笑顔は、ロイドに似合わない。……でもこれは、ジーニアス達の求める、身勝手なロイド像なのかもしれない、と思った。本当のロイドは、本当はーー
    「ゼロスは、優しい良い父親になると思う。……俺は、それを与えてやれないから」
    ロイドは、一瞬泣きそうな顔をしたけれど、ひどく愛しげに、笑った。
    今自分にできるのは、ただ、ロイドの話を聞いてやることだ、とジーニアスは理解した。ロイドの傷を埋めることは、今はできない。きっと、できるのは、あの紅い髪をした、軽薄でどうしようもない、それでもロイドに選ばれた、あの男だけなのだ。


    2.イセリア/リフィル
    「……ロイド、来てる?」
    「奥さんに逃げられたみたいな情けない顔になってるよ、ゼロス」
    ジーニアスにそう言われても、軽口も返せない様子で、ゼロスは大きなため息をついた。
    リフィルがイセリアでの仕事を終え家に戻った時、既にロイドは発った後だった。ジーニアスが何度も引き止めたようなのだが、ロイドはゼロスから逃げ切らなくてはならないから、と言って、行ってしまったらしい。ジーニアスから事情を聞き、粗方の成り行きを理解したリフィルには、それと同時に、次の展開が分かった。ロイドが危惧したように、ゼロスは必ず、この村にロイドを探しに来る、そして、自分達の家を訪ねて来る、とーー。
    リフィルの予想通りーーむしろ想定より大分早くーーゼロスは、セイジ姉弟の家の扉を叩いた。王都では、神子制度の廃止にかこつけて、元神子のゼロスとコレットを【最後の神子】として、様々な祭事に引っ張りだこにしていると聞く。尤も、テセアラとシルヴァラントの力関係を調整するため、ゼロスはとにかくコレットを立て、自身は影の存在になるように努めているらしいが、見目麗しいゼロスをプロパガンダにしようと、旧テセアラ領の権力者達は、ゼロスに接触を続けているらしい。以前、旅の合間にメルトキオに帰ったゼロスが、これ好機とばかりにしばらく教会と王室に捕まっていた、とイセリアに来たロイドが困った顔で話していたこともある。メルトキオ滞在中のゼロスには、元の神子生活以上に自由がないのだ。だから、ゼロスがイセリアに来るのが予想より早かったことに、リフィルは驚いて見せた。よほど無理をしたのだろう。
    「早かったわね。でも残念だけれど、ロイドならもういないわよ」
    リフィルの言葉に、ゼロスは落胆の色を隠すことなく、眉根を寄せた。近頃のゼロスは、世界再生の旅をしていた頃よりも体つきがしっかりとして、落ち着いた雰囲気を纏い、かつて本人が自称していたーー【大人の魅力】を放つようになっていた。現に、イセリアの女性達の間では、時折ロイドと共に現れる紅髪の貴公子の噂で持ちきりだ。
    ジーニアスは、じろりとゼロスを一瞥して、唇を尖らせた。
    「それに、ロイドには、ゼロスが来ても、何も言うなって言われてるし」
    「おい、がきん……いや、ジーニアス。……頼む、ロイドはどこに行った?」
    ジーニアスに掴みかからんとする勢いで、ゼロスは詰め寄った。しかしジーニアスはゼロスを睨んだまま、口を結んでいる。リフィルは溜め息をついて、ゼロスを諌めた。
    「落ち着きなさいな、ゼロス。まずは、話を聞かせるのが、筋ではなくて?場合によっては、私たちも協力するわ」
    「……悪い、気が動転して」
    ゼロスは息をつき、力無く笑った。それから、昔のように、ジーニアスの頭をポンポンと叩いた。ジーニアスがその手を嫌そうに払い除けるのを、瞳を細めて笑うと、ゼロスは二人に向き直り言った。
    「話を聞いて欲しい」

    よほど急いで来たのだろう。ゼロスは、直前まで参加していたらしい、社交会のドレスコードそのままだった。なんと、レアバードを借り受けて、単身イセリアまで来たらしい。後ろに結んでいた長い髪を解くと、ソファに腰掛けて語り始めた。
    「神子制度が廃止になったのはーーリフィル様もがきんちょも、もう知ってるよな。それに伴い、クルシスの神託によって決められた俺さまと婚約者との契約はご破算になった。が、それを皮切りに、ワイルダー家に取り入りたい貴族達が、自分の娘を俺の嫁に、って連日押しかけて来始めたんだ」
    ありがたいことにな、とゼロスは、全く嬉しくなさそうに吐き捨てた。リフィルは頷く。
    「ワイルダー家は王家に次ぐ格と、政治的実権を握っているものね。近頃では、貴族制度自体の存続が議題に挙げられ始めているから……旧テセアラ領の貴族にとっては、死活問題だわ」
    衰退し力を失う前に、確固たる力を持ったワイルダー家に取り入り、地位を確立するのが貴族達の目的なのだろう。ゼロスは「ご名答〜さすがはリフィル様」と微笑む。ジーニアスは「いいからさっさと続きを話しなよ」と悪態を吐いた。ジーニアスの中で、ゼロスはロイドを弄んだろくでなし、に降格しきっているらしい。リフィルは、弟のそんな態度が可愛らしくて、つい笑いを漏らした。ゼロスは、そんな姉弟の態度を気にすることもなく、微笑みを浮かべたまま、しかし真剣な眼差しで続けた。
    「俺さまが不在の間も、うちの屋敷にそういう話が毎日のように来てたらしくてな。セバスチャンとトクナガが、上手く流してくれてたみたいなんだが……ついに、話が国王の耳にまで入っちまって」
    ゼロスの言葉に、それまで斜に構えていたジーニアスも、驚いた声を上げた。
    「まさか、国王まで関わってる話なの?」
    リフィルは驚きこそしなかったものの、眉を顰めた。国が関わっている話であれば、個人の意思の介入がますます難しいものだと、容易に予想がつくからだ。更に言えば、力のあるワイルダー家の結び付く家を、国王が見定めることができる絶好の機会にもなる。ゼロスは口元に浮かべていた微笑みを完全に消して、真面目な顔で告げた。
    「そのまさかだよ。ーー俺の婚約者を決める晩餐会を、来週国王主催で開くってことになった」
    それは、民衆と、絶対的権力の前に公開されるに等しい。ゼロスの結婚は、相手が誰にせよ、もう決まったようなものだ。そこまで話して、ゼロスは喘ぐように息を吐いて、項垂れ、片手で頭を抱えた。長い、真紅の髪がぐしゃりと乱れる。
    「その話をロイドが聞いて……そしたら、別れるって、出て行っちまって……」
    ゼロスは言葉を失って、最後に一言。
    「もう、俺さま、死にそう」
    そう、震える声で呟くと、黙ってしまった。ワイルダー家の事情を話している時の冷静な雰囲気とは打って変わって、ロイドのことになると、ゼロスは感情を隠せない。リフィルは暫しの沈黙ののち、呟いた。
    「なるほどね、話は分かったわ」
    リフィルの声に、ゼロスは顔を上げた。怜悧な瞳は、ゼロスを見て細められた。
    「それで、あなたはどうしたいの?どこかの貴族の娘と形だけの結婚をして、ロイドを愛人にでもするつもり?」
    「ね、姉さん!?」
    思わぬリフィルの言葉に、ジーニアスは焦り、ゼロスは黙ったまま、その双眸を見つめ返していた。リフィルは更に続ける。
    「それとも、駆け落ちでもするつもり?それで、その後ロイドは幸せかしら。貴方に、家と、家族を捨てさせての逃亡生活なんて、優しいあの子にはきっと、耐えられないわ」
    「姉さん、言い過ぎだよ!」
    思わず、ジーニアスが言葉を止める。愛人だの、駆け落ちだの、あまりにもゼロスとロイドの関係に似つかわしくない言葉だと思った。
    「……いや、リフィル様の言う通りだ」
    ゼロスは静かに、リフィルの言葉を肯定した。その声には、怒りも諦めもない、平坦な声だった。
    「確かに俺がワイルダーの家に縛られている限り、俺とロイドの未来には、その二択くらいしか普通、思い付かない。そしてそのどちらも、ロイドを傷つけるだろうな」
    ジーニアスは耳を疑った。だがゼロスは、すぐさま「でも」と強い声で言った。
    「それでも俺は、ロイドを愛してる。ロイドを諦めるなんてできない」
    リフィルは、何も言わずにゼロスの瞳を見た。アイスブルーの瞳の奥には、強い炎が燃えている。それは、昔のゼロスには決してなかった輝きだった。
    「世界再生の旅で、ロイドは、世界も、コレットちゃんも、俺もーー何も諦めなかったんだ。今回は俺が、ロイドと一緒に、幸せに居られる道を探す。道がなきゃ、無理矢理にでも作ってやる。ーーだから、少しでいいんだ、知恵を貸してほしい」
    二人のことを、俺もロイドと同じで、頼りにしてるんだ、と深く頭を下げられて、ジーニアスは「……これ、ほんとに、あのゼロス?」とつい口に出していた。リフィルは口元に微笑を浮かべた。
    「愛情というものは、本当に計り知れないわね。あんなどうしようもなかった貴方を、ここまで変えてしまうなんて」
    リフィルはゼロスの肩にそっと手を置き、顔を上げさせた。
    「きついことを言ってごめんなさい。貴方の覚悟を確かめたかったの。ロイドは私にとって、可愛い大切な教え子だから」
    そう言われて、ゼロスはようやく顔を上げた。ジーニアスはわざと、あの旅の頃と同じように、ゼロスの頭をポカリと叩いた。ゼロスの瞳が、驚愕に見開かれる。
    「でも、ロイドを傷付けたのは、許さないんだからね。だから……一緒に考えようよ、二人が一緒に生きていける方法を」
    「……ありがとう」
    ゼロスは、そこでようやく、安堵したように笑った。それは、ロイドが取り戻した、ゼロスの心からの笑みだった。

    ここまでで諦めた。
    この後場所と視点が切り替わっていって
    3.アルタミラ/コレット→ 4.みずほ/しいな→ 5.フラノール/ロイド→ 6.メルトキオ/リーガル→7.ガオラキアの森/ヒルダ→ 8.メルトキオ/ゼロス→ 9.オデット/プレセア
    で終わるみたいな予定でしたが長すぎて……誰だ?こんなプロット書いたの。俺か……。
    いつか書けたら良いなとは思いつつ1年以上放置してたのでここに上げます。やっぱり時間が経つと、自分の中のゼロスとロイドの解釈とこの頃の二人では若干キャラが違うので、その微調整が一番難しい。
    もしかしたら、いつか続きを少しずつ書けるかもしれないし、もう書けないかも知れない。
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