天猪(付き合う前)秋の夜長とは言うが、私にとっての夜は、季節関係なく長い。
家に帰れば、食事を取り、風呂に入って、少し仕事を片付けてから、定刻になるとベッドに入る。ベッドに入ったからといって眠れる訳では無い。ただ、この体は不眠不休には耐えられない造りであるから、仕方なく横になっているだけだ。何も変わらない日々の中で、夜が最も無駄な時間である。
薄いカーテンは、外の灯りをうっすらと通し、目が慣れていくにつれて見慣れた天井照明の形をはっきりと見せる。それが私にとってのいつも通りの夜。
しかし、今夜はそんな夜とは程遠い夜になりそうだ。
彼と身体の関係になってから、時々、我が家で夕食を共にすることがある(彼は食についての問題を抱えているため、本当にごく稀ではあるが)。今日は少し食事を取れる様子だった為、私が食事を提供した。私が調理した物が、彼の形の良い唇を通り、あの白い歯ですり潰され、飲み込まれる。一連の作業を見ることも好ましい。その細い体を支えられることに喜びを感じている自分がいる。
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